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光の砂漠 闇の迷宮  作者: 立花招夏
第一章 闇の迷宮
9/33

第六話


「君、身分証は?」

 威圧感のある巨体の警備員は、その厳つい顔を努めて和らげ、体を屈めて話しかけてきた。

「み、身分証?」

 ディモルフォセカはうわずった声で呟くと、反射的に服のポケットをまさぐった。身分証など持っているはずがないのは分かっていたが、予想していなかった質問を突然ぶつけられて、咄嗟にとった行動が良い結果をもたらした。

「家に忘れてきちゃったのかなー?」

 警備員は悪戯っぽく笑った。

「ほらほら、取りに帰る! 身分証を持っていないと公安に連れて行かれちゃうぞ?」

 警備員は小動物でも追い払うように小さく手を振った。


「身分証忘れかい?」

 通りすがりの別の男が警備員に声をかける。

「そうらしい」

 警備員は笑って返事をした。男が左腕を軽く曲げてスキャナーに近づけると、モニターに緑色のAcceptedの文字が浮かび上がった。警備員がゲートを開ける。

「子供も身分証じゃなく、生体認証システムを導入すれば良いのに、そうすれば忘れることもない。なぁに、痛いっていったって、ほんの小一時間我慢すれば済むことさ。政府は子供に甘いからなぁ」

 男はそう言いながらゲートをくぐり抜けた。

「まったくさ」

 警備員もにこやかに相槌を打つと、男に軽く手を振る。

 ディモルフォセカは、男たちのやりとりをしばらくの間ボンヤリと眺めていたが、間もなく、自分がここから立ち去らなければならないことに気がついた。なぜなら、警備員が不審気な顔でディモルフォセカを見つめ始めたからだ。


 地下都市ハデス、人はこの都市をそう呼ぶ。薄闇のこの都市に、死を司る神ハデスの名を冠したのは、皮肉なのか、自嘲なのか。


 あのゲートを通るには身分証が必要だ。分かったのはそれだけ。トボトボと歩きながらディモルフォセカは思案する。思うことは一つだけ。地上と地下都市を繋いでいるガイアエクスプレスの駅から、少しでも早く、少しでも遠く離れなければならないということ。

 見つかればどうなるのか……実は自分でもよく分かっていない。でも、家に連れ戻されて、叱られて終わりという生半可な罰では終わらないことだけは分かっていた。

 更に下へと続く、細くて、暗い階段を見つけたのは、間もなくのことだった。地下都市から更に下へ降りる階段。ゲートをくぐらずに、このエリアを出られるかもしれない、自らを鼓舞し足を踏み入れた。

 下りた先の錆びついた門扉をガタガタ揺すると、金属が擦れ合う厭な音をたてながら開き、僅かばかりの隙間ができた。そこは下水道だった。黴臭く、湿っていて、暗い。それでも目が慣れてくると、ぼんやり光る壁面に照らされて、内部の状況がつかめてきた。生活排水用の下水道らしい。ぬるそうな汚水が流れる溝の脇には狭い歩道があって、どこまでも続いている。下水道は曲りくねり、分岐し、蜘蛛の巣のように張り巡らされていた。ディモルフォセカはゲートをくぐり抜けられる方角を目指して歩きだした。歩いた時間はほんの数分。後悔は一瞬にしてやってきた。

「どきなさいよっ!」

 そうわめいてディモルフォセカを突き飛ばしたのは、長い髪をなびかせて走ってきた女だった。彼女の後ろから、数人の男たちが追いかけてくる。突き飛ばされたディモルフォセカは、壁に背中を強かに打ちつけた。蹲ってしまったディモルフォセカに足をとられた男の一人が転んで舌打ちをする。逃げていた女は、すぐに捕まってしまったようだった。男たちは女を捕まえると、ディモルフォセカが蹲っている場所まで戻ってきた。

「あんたのせいよ! そんな所でぼんやり突っ立ってるからっ!」

 女は蹲っているディモルフォセカを憎々しげに見つめて言った。

「あ、あの、ごめんなさい」

 ディモルフォセカの震えるか細い声に、男たちからヒューという口笛が起こる。

「暗いから、細っこくて分かんなかったが、こいつも女だぜ」

 男たちの下卑た嗤い声があがる。不穏な空気にディモルフォセカが後ずさると、ディモルフォセカに躓いて転んだ男にぶつかった。汗臭く、酒臭いすえた匂いの息が顔にかかり、ディモルフォセカは顔を顰めた。

「おっと、まだお詫びをしてもらってねーなぁ。お前のせいで、随分派手に転んじまったんだぜ?」

 男はそう言いながら、ディモルフォセカの背中をドンっと力いっぱい押した。

「ご、ごめんなさい」

 ディモルフォセカの震える声に、男たちは更に下卑た笑い声をあげた。

 次の瞬間、ディモルフォセカには何が起こったのか分からなかった。男に押されて前につんのめった体を別の誰かが、更に別の向きに力任せに押したのだ。押されたディモルフォセカの体は、女を捕まえていた男をなぎ倒し、もろとも下水の中に落下した。最後に聞こえたのは、女の「はなせよっ!」という悪態と、男たちの怒号と、共に落下した男の悲鳴だった。

 


* * *



 すすり泣く声が聞こえた。あれは誰の声だったか……。

『ちがう、ちがうわ。この子は森の民なんかじゃない!』

 必死な形相で叫んだ女の……しかし、その顔はのっぺらぼうで輪郭しかない。

 ディモルフォセカは、はっと目を覚ました。

 薄暗い部屋の中。扉が僅かに開いていて、隣の部屋の明かりが漏れ入ってくる。女の声は隣の部屋から実際に聞こえていた。拒絶し、すすり泣き、呻く声。幾人かの男たちの息を弾ませた声や、他にも女が居るのかさざめき笑う声や、嬌声も聞こえる。ディモルフォセカは耳を塞いだ。

 その時、部屋の奥から小さな足音が響いて、ドアをきっちり閉める。隣の部屋の音は遮断され薄暗い部屋は静寂に包まれた。

「おまえ、下水に落ちてラッキーだったな。臭くてヤルきにもならないって、みんな文句言ってたぜ?」

 ディモルフォセカは驚いて声のする方に目を向けた。ディモルフォセカと同じくらいの年頃の少年が部屋の隅のソファに座っている。

「あ、あの?」

「俺はヒース、おまえは?」

 ヒースと名乗った男は、灰汁色の髪とアイスグレーの瞳を持っていた。

「ディモルフォセカ……」

「なんだって? ずいぶんややこしい名前だな」

 ヒースは顔を顰めた。

「友達は、私のことをディムと呼ぶけど……」

「俺は、おまえの友達じゃない」

「……そだね」

「でもディムと呼ぶか。面倒くさいからな」

「……うん」

「じゃあディム、説明しておこう。ここで無事に生きていたいと思うなら、俺の言うことを聞くことだ。ここの男たちは俺の言うことなら聞く。俺の一存で、おまえは男たちの慰みものにもなるし、無事でいられることにもなるという訳だ」

 ヒースはそう言って意地悪そうに笑った。

「あの人は、あなたに逆らったの?」

 ディモルフォセカは閉じられたドアを見る。

「あの女は話しにならなかった。喚き散らして人の話を聞かないから、好きなようにしろって言った」

「ちがう……」

 ディモルフォセカは黙り込む。

「ちがうって何だ?」

 ヒースは怪訝そうに眉間にしわを寄せた。

「あの人は怯えてただけ。あなたの話を聞かなかったんじゃないよ、聞けなかったんだよ」

 ディモルフォセカは、あの女の追い詰められた目を思い出す。

「おまえ、馬鹿じゃないの? あの女は自分が逃げる為に、おまえを盾にして男もろとも下水に落としたんだぜ?」

 ヒースは馬鹿にしたように嗤った。

「分かってる……分かってるよ」

 ディモルフォセカは小さくため息をついた。


 何時間か経った後、隣の部屋は静かになった。男たちがいなくなったのを見計らって、ディモルフォセカは女を奥の部屋へ運び込んだ。ヒースが渋々許可してくれたのだ。女は半裸状態で、いたるところに内出血の痣があった。

「ひどい……」

 ディモルフォセカは、ヒースが自分に貸してくれた大きめのタオルを彼女に羽織らせる。彼女がどういう目に遭ったのか分からない歳ではなかったが、何をしたら少しでも楽にしてやれるのか、知識も経験もなかった。

 女はキッと恨めしそうな顔でディモルフォセカを見上げた。

「あんたのせいよ。あんたのせいで、あたしの人生はめちゃくちゃ。なんであたしが……なんであたしが、こんな目に遭わなきゃならないの?」

 赤い髪を振り乱して、女はわめき散らした。

「……あなた、どうして、あんな所にいたの?」

 ディモルフォセカは躊躇いがちに問いかける。

「それはあたしのセリフでしょ? あんたがあんな所にいるからっ!」

 女はまくしたてた。

「そうじゃなくて、どうして下水道なんかにいることになったのって訊いてるんだけど」

「逃げてるからに決まってるじゃない。こんな所に好きで来ると思う? あたしは森の民の管理官なんかになりたくなかったのよ! あんな人たちと関わりたくなかったのっ! 拒否したら、国家反逆罪になるぞって脅されて。だから逃げ出したのよ! 他にどうしろって言うの?」

 ディモルフォセカは女の言葉にたじろいだ。思わずヒースの顔を見ると、彼は能面のような顔をして女を凝視していた。

「あの……森の民と関わりたくないって、それって……」

 ディモルフォセカは口ごもる。

「当然だな」

 その時、突然ヒースが甲高い声で言った。

「あれって、感染うつるらしいじゃないか? 俺だってごめんだ」

「感染るって……」

 何が? と訊きそうになってディモルフォセカは顔を歪める。無意識に女から体を引いてしまう。その僅かな動作に女が反応した。

「あたしは関わってないわ。感染ってないわよ!」

 女に睨まれて、ディモルフォセカはびくりと肩を震わせた。

「だが、あんた、もう元の生活には戻れないぜ?」

 ヒースは冷たく言い放つ。

「ここは腐りきったハデスより更に腐った場所だ。もう分かってるんだろう?ここで、俺の言うことを大人しく聞いて生きていくか、別の場所へ逃げてそこで更にひどい目に遭うか、どっちかだな」

「なによそれ。あんた何者なの?」

 睨みつけて咬みつく女に、ヒースは容赦ない平手打ちをくらわせた。

「人に名前を聞く時は、まず自分の名前を名乗るのが礼儀ってもんだ」

 その顔は憎悪に満ちていた。

「あ、あたしはカメリアよ」

 女は怯んで、うわずった声で名乗る。

「それでいい。俺はヒース。カメリア、一ついいこと教えてやろう。ここに住んでる男たちだがな、まだたくさんいるぜ。ろくでもない奴らばかりさ。この部屋だけは、俺が許可しなければ入ってこれない。この部屋にいられるかどうか、あんた次第ってことだ」

 ヒースの言葉にカメリアはびくりと体を震わせた。


「ねぇ、ヒース、訊いてもいいかな?」

 気絶するように眠り込んでしまったカメリアにブランケットを掛けながらディモルフォセカは話しかけた。隣の部屋は酒盛りでも始めたのか、ドアを閉めていても騒々しい声が微かに漏れ聞こえてくる。

「なんだ?」

 小さな明かりで本を読んでいたヒースが顔を上げた。

「ヒースは、どうしてここに……」

 ディモルフォセカの言葉をヒースが遮る。

「俺がどうしてここにいるかは教えるつもりはないぜ。事情があるから、それだけだ」

 そう言い放つと、ヒースは再び本を読み始めた。

 この部屋には上等そうな家具が一式揃っていた。柔らかそうなスプリングのきいたベッドも、温かな色のソファも、読書用の小洒落たランプも、小さなテーブルと椅子も、飢えないだけの食料と水も、書物も……。

「外の男の人たちは、ヒースの何なの? 友達? 親戚?」

「冗談はやめてくれ。俺が一番関わり合いになりたくない連中だ」

 ヒースは不快そうに顔を顰めた。

「勝手に住み着いてるんだ。追い出す理由もないし、面倒くさいから放ってある。それだけだ」

「ふぅん。ずっとここに一人でいたの?」

「ずっとって訳じゃない。現に、今はおまえらがいるだろうが?」

「……お父さんやお母さんは?」

「親父は時々会いにくる」

「お母さんは?」

「うるさい。俺は本を読んでるんだ。静かにしろ」

 ヒースは眉間にしわを寄せる。

「ごめんなさい……」

 ディモルフォセカは俯いたと同時に、自分の服から立ち上る臭いに顔を顰めた。布を引っ張り上げて臭いを嗅いでみる。クラクラするくらい臭い。ディモルフォセカの仕草にヒースが失笑する。

「ここにはシャワーがないんだ。今日はシャワーのあるところまで行けない。その古い服を出せよ、新しいものと替えてやる。体は拭くくらいしかできないな」

 部屋の隅の暗がりで体を拭く。ヒースはその間に汚れた服をどこかに持っていき、代わりに新しい服を用意してくれた。

「ありがとう。ごめんね。こんな新しい服……良かったの?」

 ヒースが持ってきてくれた服は真新しくて、地下都市流行の服らしく、今まで着ていたものとは随分デザインが違っていた。

「良かったも何も……普通だろ? こんなの……」

 ヒースは不思議そうに首を傾げた。



* * *



 次の日目覚めると、ディモルフォセカの足には細い紐が結ばれていて逃げられないようにつながれていた。

「これ何?」

 ディモルフォセカは茫然と紐を持ち上げる。

「紐だ」

 ヒースは、読んでいた本からちらりと目線を上げてディモルフォセカを見ると鼻で笑った。

「そんなの、見れば分かるよ。なんで私の足に紐が結ばれてるのかって訊いてるんだけど……」

「この部屋の中でなら自由に動き回れるように調節してある。問題はないだろう?」

 ディモルフォセカはあっけにとられてヒースを見る。ふと気づくとカメリアの姿がない。

「カメリアは?」

「あいつなら、出て行った。馬鹿なやつだ。もう元の生活になんて戻れやしないのに」

 元の生活……ディモルフォセカは小さな溜息をついた。

「ねぇ、ヒース、私、話しておかなければならないことがあるんだけど……」

 ディモルフォセカはぽつりぽつりと言葉を選ぶように話し始める。ヒースは顔をあげてディモルフォセカを見つめた。

「昨日話していた、森の民の話なんだけど、実は、私ね……」

 深刻な顔をして、視線を泳がせるディモルフォセカをヒースが遮った。

「そんな話、どうでもいいじゃないか。もうちょっとこっちに来いよ。そっちは暗いだろ?」

 ヒースが近寄って来たので、ディモルフォセカは咄嗟に身を引いた。ヒースはぴくりと体を強ばらせる。

「そ、そうだ、この部屋、もっと明るくしようか? 外に行けば光苔がたくさんあるんだ。とって来る」

 ヒースは少し慌てた様子でドアの外に出た。


「よう、ヒース。お前がこんな時間に部屋から出てくるとは珍しいな」

「!」

 しまった、まだ男たちが部屋に残っている時間だった。

 そう気付いて引き返そうとしたヒースは、あっという間に男たちに囲まれてしまった。

「あの部屋にいなきゃ、あの妖しい術は使えない。そうなんだろ?」

 リーダー格らしい男がにやにや笑いながらヒースに近づいてくる。

「勘違いもいいところだ。どこにいようが問題はない」

 ヒースは言ったが、その声は明らかに上ずって震えていた。

「そうかな?」

 男はずいっと近寄ってヒースの顎をつかんで上向かせる。

「昨日捕まえた女を逃がしたようだが、逃がしていいと誰が言った?」

「逃がしたんじゃない。勝手に逃げたんだ」

「逃げないようにできたはずだろ? その証拠にもう一人のやつは逃げないようにしてあるじゃないか?」

「……」

「おまえ独り占めしようなんて考えてるんじゃないだろうな」

 男は凄んだ。


 隣の部屋からヒースのどなり声が聞こえた。ディモルフォセカは驚いてドアに駆け寄る。隣の部屋でヒースが男たちに囲まれて羽交いじめにされたまま殴られていた。

「ヒース?」

 ディモルフォセカは瞠目する。

「俺の部屋に勝手に入るなっ」

 ヒースの制止にも関わらず、男たちはニヤニヤしながら奥の部屋にズカズカト入り込んできて、ディモルフォセカの腕を掴んだ。

「!」

 抵抗するディモルフォセカはあっさりと拘束され、床の上に乱暴に押し倒された。両腕を押さえつけられ、もう一人がディモルフォセカに馬乗りになる。

「おまえは、そこで指でもくわえて見てな」

 男たちはヒースを散々殴った後、両手両足を縛りあげて床に転がした。

 胸の辺りの布をビリリと破かれたその瞬間、ディモルフォセカの目の前が真っ白になった。気を失った訳ではない、実際に辺りが真っ白な光に包まれたのだ。

 それまで、紐だと思っていた足の拘束がシュルリと解け、空を切ってしなやかな鞭のように男たちに襲いかかった。男たちがかわした紐の鞭が部屋の壁に当たり、轟音とともに壁に亀裂が走る。

「うわっ、なんだこりゃ!」

 男たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


「おまえ……森の民なのか?」

 再び静寂が戻った部屋の中、蒼白になったヒースがディモルフォセカを見つめる。

「わ、私……説明しようとしたんだよ?」

 ディモルフォセカは、上ずった声でヒースに話しかける。

「出てけ、出て行けよ。感染るだろう! 俺は森の民なんかじゃない! おまえのが感染っただけなんだ。そうだ、おまえがうつしたんだ。すぐに治る。だって、俺は森の民なんかじゃないんだから!」

 ヒースはまくしたてた。

 やがて完璧な沈黙が部屋を支配した。ディモルフォセカは服の乱れを整えると、ヒースに微笑んだ。

「ヒース、さよなら。元気で……」

 ディモルフォセカは俯くと部屋を後にした。

 鞭になっていた木の根がゆらゆら揺れる。

――さよなら、ディモルフォセカ。

 その木がそう囁いたのを、ディモルフォセカは確かに聞き取っていた。

 あの木は、もう随分前からあそこにいて、ヒースに寄り添ってきた来たのだ。ヒースに疎まれても、利用されるだけだとしでも……保護者として……。


 森の民の居住区、地上にあるアール・ダー村から逃げ出して地下都市ハデスに来たディモルフォセカは、自分が地下都市のことを何一つ知らないのだという現実に打ちのめされていた。森の民が忌み嫌われている現状も、その理由さえ、彼女は知らなかった。


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