第2話 「なんで女の子って元気なんだろう?」
僕、十夜春希は1年3組の扉に手をかけようとしたその時。手を滑らせてしまいそのまま床に倒れる。
周りの人たちはザワザワと僕の方を見ている。
そりゃそうだ。
扉で手を滑らせてそのまま床に転ぶなんて……もしかしたら前代未聞かもしれない。
不器用にも程がある。
「いてて……」
右肩が床に当たったせいか少し痛い。
「大丈夫?」
「う……うん……なんとか……」
声が聞こえてきたので返答する。
…………って
「誰?」
どうやら女の子らしい……だが僕には女の子の知り合いはいないはず……いや、いたとしても違う中学校のはずだ。じゃあ誰……?
僕はゆっくり顔を上げる。
そこには黒のセミロングでとても可愛い顔立ちの女の子が心配そうに僕のことを見ていた。
……ってもしや……さっきの見てた……?
そう思うとすごい恥ずかしいんだが……
「んっ?私?私ねぇ~~通りすがりの女子中学生とでも言っておこうか」
「…………」
「なんてね」
女の子は僕の方に右手を差し伸べてきた。僕は右手を掴んで立ち上がる。
立ってみると僕より女の子の方が背が少し低かった。
……ってことは僕と同じ1年生か?いや分かんないけど……
でもここは1年生の校舎だから2年生や3年生が歩いているはずはない。ならやっぱ1年生か。
「私、園倉悠菜、君は?」
「十夜春希」
「なんか不思議な苗字だね」
うわっ……小学校の時、みんなからよく言われた言葉だ。
まぁ、みんなから見ると十夜という苗字が不思議かつめずらしい苗字なのかもしれない。
「わ、悪かったな」
僕はそう言うと悠菜は首を横に左右に振る。
「ううん、そういう意味じゃなくて、十夜という苗字、なんかかっこいいなぁ~って思って」
かっこいい?十夜っていう苗字が……?
そう言われたことがないからうれしい。
「そう?」
「うん!かっこいいよ!その上、春希っていう名前!もうかっこよすぎて死にそう……」
「そんな大袈裟な……」
春希って名前はあまり好きではない……それはまた別の話で言うことにしよう。
悠菜はなぜか両手で目をふさいでいる……なにやってんだ?
「じゃあ、僕そろそろ行くよ」
そろそろチャイムが鳴る時間だ。
「じゃっ私もそろそろ行くね~」
僕は再び1年3組の扉に手をかける。次は手を滑らさないようにしないとな。そしてその隣に違う手。
僕は横を見る。
するとそこには――――
『えっ?』
なんと悠菜が立っていた。
同じ1年3組の扉に手をかけたんだから悠菜も……
「ん~~?どうやら同じクラスのようだね」
悠菜はニコッと笑う。
「そのようだ……ね」
「じゃっ!これから1年ヨロシク~」
「あ……うん……ヨロシクね」
そう言うと僕と悠菜は同時に扉を開ける。
読んでいただきありがとうございます。
女の子って男の子と違ってハイテンションな子が多いですよね?
まぁ自分は女友達なんて1人もいませんから分かりませんけど……
自分は女の子=ハイテンションという方程式が頭の中であるので元気な女の子を登場させました
この子はこれから(多分)春希と共に過ごすと思います。
そこで恋がぁ~~~……??
さてどうなるのか!?
では次話もぜひ見てください。
もちろんアドバイス、感想等も受け付けていますのでもし暇があったら書いていただけるとありがたいです。