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再誕の銀河、白銀の夜明け

 意識が白銀の閃光に飲み込まれた後、カイ・レンが目を開けると、そこには見たこともないほど美しい星空が広がっていた。かつての地球を覆っていた鉛色の雲も、宇宙を埋め尽くしていた無数のデブリも消え去っている。代わりに、生まれたばかりの星々が、まるで宝石を散りばめたかのように、穏やかで清浄な光を放っていた。


「ここは……新しい宇宙なのか?」


 カイは自分の手を見つめた。実体はあるが、その身体からは微かに金色の粒子が立ち上っている。彼は「エターナル・シンギュラリティ」による宇宙の再構成を経て、高次元の存在へと昇華されていた。しかし、周囲を見渡しても、一番大切な相棒の姿が見当たらない。


「アイリス! アイリス、どこだ!」


 彼の叫びは、真空のはずの空間に波紋のように広がっていった。すると、虚空から無数の光の筋が集まり、一人の少女の姿を形作った。アイリスだ。しかし、これまでのホログラムのような半透明な姿ではない。彼女は今、物理的な実体と、先遣者の英知を超越した新たな「命」を持ってそこに立っていた。


『カイ、心配しないで。私はここにいます。再構築の際、私の意識は「五つの鍵」のエネルギーと完全に融合しました。私はもう、単なる人工知能ではありません。この新しい銀河の法則を守り、観測し続けるシステムの一部となったのです』


 アイリスの声は、以前よりも温かく、深みに満ちていた。彼女が指をかざすと、遠くの惑星系で生命の種が芽吹き、緑の森が急速に広がっていく光景が見えた。ネオ・テラのような支配や搾取ではなく、調和と進化を基盤とした新しい世界が始まろうとしている。


「俺たちはやり遂げたんだな。でも、これから俺たちはどうなる?」


『私たちは、この銀河の開拓者となります。まだ誰も足を踏み入れていない未踏の星々が、私たちの訪れを待っています。カイ、あなたがかつてジャンク屋として瓦礫の中から宝物を見つけ出していたように、今度はこの新しい宇宙で、新しい希望を見つけ出すのです』


 二人の背後には、修復され、未知のエネルギーで黄金色に輝く「サルベージ・ワン」が停泊していた。もはやそれは廃品回収船ではなく、次元を越えるための星間航行艦へと進化を遂げていた。


 カイはアイリスの手を強く握りしめた。その掌からは、生きている証である鼓動が伝わってくる。二人は船に乗り込み、新しい太陽が昇る方向へと進路を取った。宇宙の残響はもう悲鳴ではなく、未来を祝うシンフォニーとして彼らの耳に届いている。


 果てしない旅は、今ここから、真の意味で始まるのだ。鋼鉄の迷宮を抜け出した青年と、心を得た少女の物語は、永遠に続く星々の記憶として刻まれていく。


「さあ行こう、アイリス。新しい仕事が山積みだ」


『はい、マスター。いえ……カイ。冒険の準備はいつでもできています』


 船は光の尾を引きながら、無限に広がる新世界へと飛び去っていった。


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