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  作者: Tong YinGu


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表情は語る

 人は言葉だけではなく、表情もまた言葉で語る。

 愛している、好きだ、嬉しい、楽しい、可笑しい、等

 大嫌い、悪い、悲しい、嫌だ、面倒くさい、面白くない、等

 地下鉄に乗ると、いろんな顔が見れる。

 たまに不機嫌で、一方的に怒っている人がいる。

 この間、心ここにあらず、そして不機嫌な顔で全く他人に注意が払えない男がいた。

 降りようとすると、それに気づかず、無理やり中に入り、私の傘の持ち手がその人の鞄に引っかかり、傘を持ってかれてしまった。

 それも気づかず、その男は座った。余程、注意散漫だったのだろう。その時だけではなく、普段もそうであるなら、精神障害、精神病、脳の欠陥であるなら身体障害だろう。

 降りようとした降車口とは反対の席に私の傘を引っ掛けたまま、座ってしまったので、私は戻り、その男のどこかに引っかかっている傘を取り戻し、別の降車口から降りなければならなかった。

 その男は、表情が変わらなかった。作り物のように感じた。

 その一日の私側にとっては、嫌な出来事であった。

 この街に引っ越して来てから、二十数年、最初の頃はなかったが、少し経つと、その男のように作り物のように感じる表情が変わらない、そして嫌なことをする人達は大抵この表情のない顔を見せる。

 一種のカルト宗教の人達に思える。そして、彼らは日本人で、外国人は表情があり、ぶつからないよう歩くのが当たり前の習慣なのか、上手くぶつからず、近寄りすぎないように出来る人達をよく見かける。

 最初に変な表情だと思ったのは、買い物に行き、何かないか、どんな店があるかと買い物というより、散歩の方が強かっただろうか?

 ある店、もうどこか覚えていない。

 財布があり、とても好みで手に取ってみていると、描いた顔のような女の人が、その財布を私の手からもぎとっていった。

 私はとても驚き、そんなにしてまで欲しいのだから、買うんだろうと見ていると、その描いたような顔は表情を一つも変えず、その財布をじっと見つめ、適当に彼女の手の届くとこに少し乱暴にポイと置いていた。

 買わないんだ!?じゃあ、どうして人の手から持っていったんだろう?頭のおかしな人の理由のわからない行動の一つ?

 不思議なことに、その財布からは好みで手に取るという私の欲求が失せていた。

 まるで、嫌なもの、穢れた何かが触れたので、その財布の価値がかき消されたようだった。

 表情が描いたように全く変わらなった、その人がいた店も、欲しいものが沢山あったはずだが、その人がうろつくと、又、同じ行動がされるような気がして、気持ち悪い店になってしまった。

 場所も忘れてしまったし、そこへは二度と行っていないか、場所を忘れて、置かれたものが変わった、違う店になった等、本当に二度といかない店になったが、気付かない内にその店に入って、品物を見たり、買ったりしているかも知れない。

 

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