10月29日:あおみどりのけしき
丘の上から、家が見えた
家が、青緑色に燃えていた
…は?
なんで?
なんで?
体の動きが止まる
何だこの色は、青緑の炎なんて聞いたこともない
異常だ、明らかに
頭を殴って冷静さを取り戻す
しかし現実は変わらない、幻覚でも夢でもない
ふと、頭に浮かんだ
「父さん!!!母さん!!!」
そうだ、あの二人は!?俺の家だ、絶対にあの二人はいる可能性が高い!
燃えていることなど構わず家に向かう
「水鎧!!!」
こんな時、水の魔法の適性が低い自分が嫌になる
適性が高ければ一気に火を消すことだって出来るだろうに
走った勢いそのままにドアを勢いよく開ける
…父さんと、母さんがいた
ちが、ながれている?
「とうさん?」
反応がない
「かあさん?」
反応が、ない
「父さん、ねぇ、俺だよ…ダンテだよ…帰ってきたんだよ…」
反応がない
「母さん…俺だよ…戦争から…帰ってきたんだよ…」
反応は、ない
ふと、机を見た
溶けたケーキが、机から垂れていた
………
……
…
流石に村の人達も気づいたようで、駆け寄って家の周りに集まっていた
俺は父さんと母さんを連れ出して、みんなに説明をした
みんなで確認した結果、父さんも母さんも、体に貫かれた跡があった
…即死だった
「これで…みんな集まった?」
「いんや、メルエデんとこの娘が来とらん」
「ミリアが?」
…まさか
燃えた家の跡をみる
少し探すと全く見たことの無い、母の好みの柄では無さそうな、ピンクのエプロンの切れ端が見つかった
「これは…うちの娘の…」
ミリアも…居た…?
あの家に?
疲れだろうか、ショックだろうか、俺は…意識を失った