11月9日:静かな熱と情報を
トジくんが帰って2人きりになった空き家
差し込んでいた夕焼けの光ももう消えかかってきている
「……なんだ、もう私が言える情報はないぞ」
「いやいや、もう一個あるでしょ?」
「研究所の場所か?俺はここで雇われているだけだ、元々ここで隠れ住んでただけだから場所は知らん」
「それだよ」
「?」
「君を雇ったのは誰だ」
ダンテの声色が変わる
今までの喋り方は猫を被っていたのかと思うほどに
ドス黒い感情が漏れ出す
「トジくんはもう居ない、衛兵達はそもそも残らないよう伝えてある」
ダンテはしゃがみこみ、銃口をカドゥの眉間に当てる
「ずーっと……思ってた」
「な、何を」
「火事……子供……魔法使い……」
頭に浮かべるのは……焼けた実家
「緑の炎を使う魔法使いを知っているか?」
カドゥは……目を見開いた
「知っているな!?奴のことについて答えろ!」
ダンテは銃口を強く押し付け、強烈な勢いで尋問する
「お、落ち着け、答える、答えるから!」
ただでさえ耳を双方撃たれた痛みが残っているのに
それを行ったものが目の先にある
死が急速に迫る感覚が口を更に軽くさせる
「そ、そいつは俺を雇った奴の一人だ。」
「一人?」
「俺を雇ったのは二人の……いや双子の兄弟だ。大体一か月前にここでホームレス生活をしていた俺を見つけて勧誘してきた」
「続けろ」
「そいつらは……魔法使いの実行役を探していた。何でも実験体が欲しいんだと。ただ年齢に指定があった」
「幾つだ?」
「少年少女、大体7〜15だ」
「理由は?」
「知らん……これは本当だ!大体このぐらいの奴らを連れてこい以外の指示はなかった!」
……この期に及んで嘘はつかないだろう、信用しよう
「OK、目的はわかった……ならソイツらの名前は?」
「両方とも名前までは知らんが……恐らく苗字なら」
「それでいい」
「フレクシ兄弟と……最初にそう名乗った」
フレクシ兄弟……ソイツが今回の犯人か
「フレクシ兄弟の魔法について知ってる範囲でいい、言え」
「片方が緑の炎の異能を持っている。もう片方は魔法を一度も使わなかったから分からん」
フレクシ兄弟についてはもう聞けなさそうか……
「今回の実行役はお前以外に何人いる?」
「……分からない、だが火事を起こしたのは私じゃない」
「は?」
「わ、私は実験体を集めるのが仕事だった、それ以外は本当に何もしていない!今回の戦闘は……今日突然命令された、着いたら目的の物を既に取られていたから……襲撃した」
「ふーん……なんで襲撃した?そこまで焦ってまで取る必要は無さそうだが」
「今回のが最後の任務だったんだ、お前らが調査しだしたからここでの調達は打ち切るって話が出て……最後の仕事として要求された」
……そうか、ならもう尋問は十分か
銃を眉間から離し、立ち上がる
「こ、これで終わりか……?」
最後にこれは聞いておこう
「今回の話は実入りが良かった、是非とも参考にさせてもらう。では次で最後の質問だが……」
カドゥが少し身構える
今までは俺の私情が主だ、これは彼女の為に聞こう
「北の山の中にある隠れ里について知っているか?」
「……?なんだそれは?」
知らない……か、ならコイツは実行犯じゃない
「OKわかった……これで尋問は終了だ」
「い、生きて帰れるのか……?」
「ああ、お前が今後も協力的ならな」
カドゥは気が抜けたように頭を垂らす
ダンテは少し家屋から離れて……待機させていた衛兵を呼び出した
「んじゃ、コイツの事を頼む。土から出してやるかどうかの判断はそっちでよろしく」
「……は?」
「どうした?」
「衛兵は帰したと貴様が……」
「確かに俺は衛兵を残らないよう伝えたが全員にとは言ってないぞ」
カドゥは衝撃と怒りで声も出ないらしい
「まぁ尋問なんてやってる側は嘘ついてなんぼだよ、それに……」
ダンテは胸元にしまい込んだ銃を触りながら呟く
「あの瞬間に一つでも口を噤めば殺す気でいたからな」




