11月9日:所属不明の奇襲者
「炎砲」
「!」
後ろからの突然の炎魔法。しかも一般人が普通にいるところでの攻撃、普通に考えれば成功する奇襲だろう
しかし
「水蜘蛛ォ!」
トークルは、振り向きながら肩から水魔法を飛ばし、炎の球を受け止める
水と炎がぶつかり大きな蒸発音を立てながら、双方の魔法は消失した
突如発生した2つの魔法に通りがかった人は驚き、恐慌状態で逃げ出す
「リヒデンさん!?」
「トジ!すまんが近くの市民を逃がして衛兵を呼んできてくれ!コイツは……」
黒いボロ布を被った奇襲者は、煽るように手招きする
「……俺がやる」
トークルは軍服の胸元から2本の短剣を取り出し、構える
「……ッ分かりました!お前ら、向こうの方に逃げろ!ビビって動けねぇ奴は安心しろ!オレが守る!」
「おっと、思ったより正確だな、こりゃ頼もしい……こっちに集中できる……なっ!」
トークルは左手の短剣を奇襲者に向かって投げる
当然それを見てから……奇襲者は左へ飛んで避けようとする
「水糸」
トークルは空いた左手から魔法で水の糸を作り、投げたダガーに向けて放つ
水の糸など何も出来ない、せいぜい少しの切り傷か衝撃を与えるのが関の山である。だが……
トークルの水の糸はその形を保ったまま、糸のように短剣の持ち手に括り着いた
「ふんッ!」
そして左に向けて水の糸を振る
短剣は奇襲者の方へ鞭のように勢いをつけて……
「……!」
「チッ、掠っただけか」
奇襲者の右腕から血が見える
「……なんだそれは」
「お、ようやく喋ったか。……俺の異能だよ」
「何……?」
「ヒントは言わんぞ、当てて見やがれ」
魔法の消える15秒が経つ前に、水の糸を引っ張り短剣を回収する
「……炎砲・岩塊」
「はっ、これを見てやって来ることは誰も変わらんなほんと」
奇襲者から先程の炎と直径15cm程の岩の塊が同時に飛んでくる
トークルはそれを見て短剣を両方とも奇襲者の上へ投げた
「ふっ、何処を見て投げている」
そしてトークルは右手を上に上げ……
「水匚」
水の空き箱を作り出し地面に叩きつけ、飛んできた炎と岩を閉じ込める
「何ッ!?」
「二・水糸」
左手から2本の水の糸を出し、先程と同じく短剣に括り付け……
「水蜘蛛……ふんッ!」
短剣と短剣の間に水の蜘蛛の巣を作り出し、その網ごと奇襲者へ叩きつける
「クッ……!」
奇襲者は避けようとするが、少し遅い
「ぐぁっ!」
「今回は手応えありだな」
どうやら右肩に当たったようで、そこそこの傷が出来ている
その衝撃でフードも取れたようだ
「……へぇ、こんな短期間に2度も見るとは思わなかったぜ」
「……」
「あんたどこの所属だ?元ウチの軍部か?それとも……帝国の軍部か?」
「……」
「反応なし……っと。じゃなんだ、そのツラでどっちの軍にも関係ねぇってか?」
「……」
「……まぁいいさ、お前を捕らえて尋問すりゃ何も変わらん」
トークルは再び短剣で構えをとる
奇襲者は、顔に大きなやけど跡を付けていて……右目のある場所には眼帯をつけていた




