11月9日:ダンテの魔法講座
トークルが街へ調査へ向かった少し後……
ラメル軍基地訓練場
「さて、今日はこの前と違ってトークルが外に行ってるから俺がやるな」
「よろしくお願いするわね」
「はは、よろしく……って訳で今日は異能についてだな」
「まず質問なのだけれど……異能について知っておくべきことってなにかあるのかしら」
異能、それは魔法への適正の高さから、魔法の内一属性が変質して出力されることを指す
例えば……
「そうだな、俺の土魔法が『鉄』の異能で鉄になることは多分知ってるよな?」
「私が勘違いして貴方を襲ってしまった理由だもの、さすがに覚えてるわ」
「ならよかった。わかると思うがそのせいで俺は魔法で土を出すことは出来ない」
異能は特別なものではあるが、同時に他者と同じことができなくなる
実際あの時のクルスの雷魔法はかなり危なかった、水魔法と『鉄』では感電して身を守るのは不可能
氷魔法は適性が低いため盾程の大きさは作れない
炎魔法は……雷魔法とぶつけた場合の被害が分からない
トークルが庇ってくれなければしばらく再起不能だったかもしれないな
「そうね、私の里にも水魔法が毒になるから顔も洗えないって人がいたわ」
「トークルから聞いてたけど……ほんとに魔法使いの多い里だな、異能持ちまでいるのか」
「私の弟も含めて7人ぐらいいたわね。……私はなかったけど」
「異能持ちまで多いのか……ん?」
クルスは異能を持っていない?
「クルスさんは異能が発現しなかったのか」
「何よ、悪い?」
「いやいや、あの水魔法と雷魔法の強さならあるのかと思ってね」
「?炎魔法と氷魔法も同じぐらい強いわよ?」
「え」
「やって見せた方がいいかしら?」
「ああいや、大丈夫大丈夫……1ついいかい?」
「?何かしら」
「出来ればそれを……そうだな、俺とトークル、もしくは信頼できる人以外の人には言わないで欲しい」
「まぁ……いいけど……?」
「お願いね」
「……」
俺を襲った時に使った水魔法はかなり強かった
俺とトークルとその場にいた兵士の3人を守る鉄壁を使ったが守らなかった範囲にあったものは最大で20メートル程流されていた
その後雷魔法を連発しようとしていたところからも余力は残した上であの規模である
それと同じ規模の炎魔法と氷魔法……
もしかしたら、彼女はこの国で最も高い出力の魔法使いかもしれない
軍には……知られない方がいい
「さて……異能についてはまぁこんぐらいかな」
「ほとんど私も知ってる話だったわね」
「んー……いやそうだな、やってもらうか」
「何を?」
「ちょっとそこに立って貰えるか?」
「?」
クルスは言われた通り、ダンテから5メートル程離れた場所に立つ
「よし、それじゃあ……すまないが、今からちょっとした確認をしたい」
「だから何をよ」
「君の里を襲った奴の異能についてだ」
「!」
ダンテは持ってきていた箱から3つの金属の板を取り出す
「これはそれぞれ、銀板・銅板・鉛板だ。今からこれを俺の炎魔法で燃やすから、君があの時に感じた匂いと近いものがあれば教えてくれ」
「……なんでいきなり?」
「昨日、行方不明の子がいるって話をしたと思うんだ」
「そうね。そう言ってた」
「実は、君の里の犯人と同じ人物が誘拐したかもしれないという話が出てきた」
「……そう」
クルスは少し目を曇らせる
「いるんだ、この街に……だから……」
少し俯いてしまった
実際、俺が突然言い出したのが悪い
俺だってあの炎の色がどれだったか当てろと言われたら……同じようになるだろう
「……すまないクルス。辛いなら、今から止めてもいい」
「……いいわ、やるわよ!どうせもう終わったこと!全部やってやるわ!」
「!」
終わった……こと……か、前にも思ったが……
本当に彼女は強いな……
「……ダンテさん!お願い、始めて」
「……ふぅ、分かった。始めるぞ」
まずは銀板から
「松明」
「……全く違うわ!」
次に銅板
「松明」
「……近い……けどちょっと判断に困る感じね」
最後に鉛板
「松明」
「……これも違うわ」
「そうか……じゃあちょっと念の為ではあるが……俺の『鉄』も確認を頼む」
「え?どうして……」
「異能は確かに珍しいが、同じ異能が同時に存在しないわけじゃないんだ。俺と同じ異能のやつの可能性は無いわけじゃないからね」
「……わかったわ。お願い」
「……鉄板・延焼」
「……違う、わね」
「そうか……ありがとう、そしてごめん」
「いいのよ……それに私も里の事件の犯人のことを何も思ってない訳じゃないから」
「……ありがとね」
さてと……この結果からだと、彼女の里を襲った人物の異能は『銅』……もしくは近いものになるのか
これはトークルに共有だな
「よいしょ……っと。さすがに疲れたでしょ、今日はこの後はゆっくりしてもらってもいいよ。なんならなにか食べたいものか欲しいものがあったら言ってくれ、用意するよ」
「本当!?」
彼女には悪いことをした、この後はゆっくりしてもらおう……そう思っていた矢先
「クスト中佐!伝令です!」
兵士が駆け込んでくる
「何があった!?」
「リヒデン中佐が東地区で襲撃されました!ただいま交戦中です!」




