11月9日:欠片の知識と被害者
「魔法陣?」
「知らないのは当然だ。コイツはつい先日までウチとやり合ってた国……ラビス帝国で使われているものだ」
「はぁ!?」
「機密事項がだいぶあるから説明はだいぶ端折るが一つだけ言うと……」
魔法陣、戦場でもよく見かけたが未だに解析できていないラビス帝国の兵器
今重要なのは使えるのは一部の人のみであること、そして
「コイツを通して魔法を使うとその魔法は永続して出現する」
「はい?」
「文字通り、永続だ。例えば氷を出せば出した氷は丸一日経っても消失しない。なんなら本当に氷そのもののように溶けだす始末だ。溶けた水も普通の水と何も変わらなかった」
「ちょ、ちょっと待ってく……待って欲しいっす。なんかもう常識から外れ過ぎててなにもわかんねぇっすけど……なんでここに?」
そう、問題はそこだ
だが今ある情報だけで考えるなら……
「憶測で悪いが……ここにこれを置いたのはダリくんだ」
「は?」
「まずこの魔法陣が設置されたのは火事の起こる少し前だ。あんな曲がった釘がずっと刺さっていたなら一人ぐらいは引っかかって直されてる」
「それはその通りっすね。で……なんでアイツになる?」
トジは少し怒気を強めながらトークルへ聞き返す
「ああ、この本見せたよな?」
トークルは例の……日曜大工の本を取り出す
「恐らくダリくんは今回の事件の犯人と事前に会っていた。知り合い程度の仲にもなってたと思う。でその中で……これを床に仕込んでおくように言われた」
魔法陣を指差して続ける
「多分クラッカーのようなものと言われたんだろう。これで親を驚かせてやろうとかそんな感じでな。」
トジくんのとこに集まる子供たち……まぁ言ってしまえば少しガラの悪い所に通う子だ、そういうイタズラを提案されたら乗るだろう
「この魔法陣の書かれた布はかなり分厚い、カーペットの下に置こうもんなら厚みができてすぐバレる。となると置けるのは……」
「更に下……床板の中か」
「ああ、でそのやり方を知るためにダリくんは図書館へ行ってこの本を借りる。で始めたて故のミスをした結果がこの釘だろう」
まぁつまりダリくんは……
「この子は犯人に騙されて事件の片棒を担がされた挙句殺されてしまった……被害者だ」
「……そう、っすか」
トジくんの声が少し落ち着く
納得してくれたようだ
「もちろんこれは俺の憶測でしかない。ただこれを置いたのはダリくんである可能性はかなり高いだろう」
「いや……正直今の話聞いたら置いたのはダリだろうなってなったんでそこはとりあえずいいっす。今聞きたいのは……これからどうするんすか?」
「正直かなり大事になってきたから1回報告に戻りたい。さっき君から聞いた行方不明の子供たちもそうだし……」
魔法陣のことがかなり不味い。現状この兵器を使う相手はラビス帝国以外に居ない
戦争終結の会談も終わった後なのがより現状を危険にする
このままだと戦争がまた……
「……」
トークルは思案する。全てを本部に伝えるか、クフェル中将と抱え込んでラメル基地内で全てを終わらせてから報告するか。迷う最中……
「炎砲」
突如後ろの群衆の中から、トークルへ向かって火が上がる




