11月8日:……なんでこの本?
コンコン
「お待たせ致しました、こちらが……失礼しました」
「ああいえ、この子のことは気にしなくて大丈夫ですよ。こちらで受け取ります」
「わかりました、まずこちらが彼女用のものになります」
クルス用の書籍は一般的に初等部で使われる教科書とこの国で有名な童話を数冊用意してもらった
これを一通り読めば彼女の知識は一般層にかなり近くなるだろう
「ありがとうございます」
「では次ですが……本来貸出情報は機密情報となっております、そのためこの件はご内密にお願いします。こちらがダリ・バゲットさんが借りられていた本になります」
そういいながらテイカーさんが出した本は、「一からやってみよう!日曜大工!」という本だった
「……すみません、ほんとにこれなんですか?」
「確認した限りではこれのみになりますね。彼がここに来てから借りた唯一の本になります」
「そう……ですか、ありがとうございます」
「いえいえ、大丈夫ですよ。図書館内での捜査に関しては他のお客様方の失礼にならない範囲でなら問題ありませんので、よろしくお願い致します」
「わかりました」
「それでは失礼します」
テイカーさんが部屋から出たあと、俺とトークルは二人で頭を抱えた
「で……これがダリくんが借りてたやつ?」
「ハズレだったっぽいなぁこれ……」
「中身になにか変なところはあるか?」
パラパラと本を捲ってみる
ちょっと古めの本なのか所々破れたりしているが、一般的な日曜大工の入門書にみえる
「……なにもなさそうだな……」
「んん……ん!?」
「おっと、起こしちまったか」
「……私いつから寝てた!?」
寝落ちていたクルスが飛び起きた、少々騒がしかったかな
「俺たちが戻ってきたときにはもう寝てたよ」
「随分とお疲れだったみたいだなぁ、まぁ慣れん場所だし仕方ないがな!」
「うぅ……私が寝てる間になにかあったりした?」
「ああ、さっき案内してくれた人にこの本たちを持ってきてもらったんだ」
「ふーん……2人も何か持ってきてもらったの?」
「ああ、ちょっと仕事の都合上必要なものだったんだが……あてが外れたみたいでね」
「どんなの?」
「笑わないでくれよ?」
クルスに「一からやってみよう!日曜大工!」の表紙を見せる
「……大工になるの?」
「ブフッ!」
「おいトークルお前が笑うなよ!」
「悪い悪い……ハハハ!」
「ツボに入ったなこいつ……」
「いやすまんすまん……まぁ嬢ちゃんに説明してなかったし今しておくか。今これを借りてた人を今探しててな、場所がわからんからとりあえず借りてたもんからなんか場所分からねぇかなって来たのよ」
「居なくなった人がいるの?」
クルスの顔が少し真顔になる
「ああ、ちょうどクルスさん位の年齢の子らしくてね……親御さんも居ない子だったからさ、みんなで探してるんだ」
「そうなの……」
「おっと、嬢ちゃんが変に気負う必要はないぞ?それに探してるのは俺たちだけじゃないからな、きっと見つかるさ」
「そう……そうよね」
ダリくんはおそらく火事に巻き込まれて亡くなっている、がその情報まで伝えるのは流石に忍びない
トークルが察してフォローに入ってくれて助かった
「さて、そんじゃとりあえずこの本借りて戻るか」
1階のロビーで持ってきてもらった本を借りる手続きをする……一応あの本も借りておいた、もしかしたら何かあるかもしれないし
図書館を出ると、時間は4時に差し掛かっていた
今から別れて捜査をしても暗くなってまともにできなそうだ
「今日は時間的にも無理そうか……例の場所は明日に行くか?」
「ああ、明日俺が行くわ。流石に俺も見ておかねぇといけねぇしな」
「じゃあ俺は残った方がいいか」
「頼むぜ、まだ終わってない手続きも多いんだよ」
「?なんの話?」
「明日の予定の話だよ」
「俺が外に出て探す、ダンテが嬢ちゃんとやんなきゃいけないことをやるってことになった」
「またこの前みたいな勉強かしら……」
「後でトークルがどんな感じでやってたのか教えてくれると助かるな」
「いいけど、出来れば同じ感じの教え方はやめて欲しいわ」
「教え方がダメだったってさ、トークル?」
「聞こえませーん」
そんなふうに話しながら街を歩く
「……」
ただ、クルスだけは視線を感じていた
図書館に向かってる最中にも感じていたのと同じ視線を




