11月7日:火の強さ比べをしよう
「入口のドア?」
「ああ、信じられないと思うんだが……扉が燃えてる時その場に扉と同じ形の炎が残り続けてた」
なるほど、犯人は扉に魔法で作った炎を残して外部との繋がりを完全に絶っていた訳だ
……いやまてよ?それはおかしい、だって
「それはおかしくないか?魔法は15秒しか残らないだろ?」
ゴマノさんは俺と同じ考えのようだ
「ただただ魔法を使ったあと何もしていないなら数秒残るぐらいはあるかもしれんが……水魔法を食らって尚形を保ち続ける炎なんて聞いたことがないぞ」
「正直オレだってこの目で見てなきゃ信じねぇし未だに信じられん。だがこれは紛れもない事実だ」
それなら考えられる可能性は……
「建物の中に犯人が残り続けて魔法を連続で使ってた可能性はあるか?」
「「ない」ですね」
即答かい
「それはオレとゴマノのおっさん以外も現場にいたかんな。完全に鎮火するまで水魔法打ち続けてて中に人影も見えなかった以上ない」
「なら本当に分からないな……」
「「「……」」」
場が沈黙に包まれる
仮に事実だとしたら方法が完全に不明だ。トジが水魔法の使いすぎで記憶違いをしていた可能性もあるがそれならここまで明確に断言はしないだろう。
「……まぁ、わかった。これは頭に入れて置いて次現地調査をする時に扉の部分を確認しておく」
「頼むぜクストさん、あの炎の扉にオレの水魔法が負けたの未だにちょっとショックなんだ……水魔法には自信があったからよ……」
水魔法には自信があるか……そりゃそうだな、青目な上に隻眼だ。どれほど低く見積もっても大都市じゃなきゃ暴れても取り押さえられる魔法使いは指で数えられるほどになるだろう
「……そういえば鎮火した時に各々打っていた魔法を聞いてなかったな、トジ含めてどういう方式で使っていたか覚えてたら教えてくれるか?」
「あ?なんでだよ」
「大体の威力と方法が分かればどんぐらい炎が強かったのか分かるだろ?」
「……やってもいいがここじゃ無理だぞ、オレの家が住めなくなる」
ならそこそこの範囲と威力だったのか?余計に知りたいな……
「ゴマノさん、この辺に一軒家位のスペースの空き地ってあります?」
………………
…………
……
「で、どうするんすか?クストさん」
空き地で俺とトジが対面になる形で立つ、間の距離は……6m位か、なら十分だろ
「簡単だ、俺が前に炎魔法を打つから火事の時と同じ出力の魔法で消してくれ」
「は?」
「ああそうだ、遠慮はしなくていい。炎がどうなろうと被害は出ない」
「ちょっクストさん!あんまりトジを煽らないでください!」
トジの額に青筋が浮かんだのが見える。いいねぇ、そのぐらい出力を分かりやすく上げてくれた方が測りやすい
「……分かりましたよ、クストさァん……後悔……すんじャねェぞ!!!」
トジが手の平から発射するような構えを取る、見た所ラセル大尉の「水蛇」と類似した集中火力タイプとみた
トークルのような技術+数打ちタイプじゃないなら余計に分かりやすいな
「よし!打ってこい!刧炎!!!」
クルスの手に作られ前に投げられたのはバスケットボール程の火を上げる塊。しかしその塊の熱は……
「アツッ!?」
20mは離れていたであろう空き地の外に逃げていたゴマノさんにも届くほどの熱気を放つ
しかしトジの方も怯まず構えを維持し、咆哮する
「水裂波ッ!!!」
滝のような水流が、両手の平から放たれる
確かに凄まじい水の量と発射速度
1回の出力としてはラセル大尉を軽く越えている
しかし……
シュゥゥゥゥ…………
「……ッ!」
刧炎の本体に触れた水裂波は炎の塊を半分削るのみに留まり打ち止めとなった
「……ハァッ……ハァッ……嘘だろ……」
「確かに凄まじい水魔法だな!俺の刧炎の炎塊があそこまで削れたのは始めてみたぞ!」
「オレの……全力の……ハァ……一撃だぞ……?どうなってんだよあんた……」
彼は答える
「まだこの位の階級だけどね、同期じゃ右に出るものはいなかった炎魔法使いなんだ。それに、守るべき市民に負けてちゃ立つ瀬がないだろう?」




