11月7日:トークルの魔法講座②
「うーん……こりゃ中々時間かかりそうだな!」
トークルはクルスが魔法を放った結果作られた氷のオブジェを見ながらそう言った
………………
…………
……
少し前
「魔法にはまだルールがある?」
クルスはトークルを少し睨みながら聞く
「そうそう、魔法の適性は頭に現れるって言うのがあるんだ」
「?」
クルスには意味が分からなかった、魔法とは使ってみて始めてどの魔法が得意なのか分かるものだと聞いていた
「例えば……そうだな、赤髪か赤目のヤツは炎魔法に適性があるやつが多い、同じように白髪か白目のヤツは氷魔法に適性があるやつが多い」
「何それ、じゃあ魔法の適性って生まれた時点で決まってるって訳?」
「あってるとも言えるし間違ってるとも言える」
「?」
「俺の適性の高い属性は水だ、目が青いもんでね。ただその分火と土の適性がびっくりするほど低い。特に火魔法なんてちょっとの雨で出すことすら困難になる」
そう言いながらトークルは腰のホルダーから飾りとしか思えないほど装飾の施された短剣を取り出した
「何そのゴテゴテした短剣……」
「じゃあ今からこれと全く同じ形の炎の剣を作る」
「え?」
クルスの常識ではそんな精密な魔法は出来ない、出来るのは適性の高い属性の魔法で、しかも最高クラスの適性でないと不可能だろう
だが
「豪華な炎剣」
実際に、目の前でそれは作られた
「ど、どうやって……!?」
「想像と研鑽の賜物だよ」
「え?」
「何度も何度もな、細かい造形まで頭に浮かぶぐらいまで想像し続けるんだ、そうしたら適性が低かろうと作れるようになる」
クルスは唖然としながら口にする
「ただの根性論じゃないの!!!」
「そうだな、根性論だ。ただこれも大事なことなんだ」
「……なにがよ」
「魔法で出力した物の正確性は想像で全て決まる」
クルスは不満を更に膨らませる
「じゃあ適性云々はなんなのよ、全部根性論で何とかなるんなら誰だって魔法は使えるじゃない」
「ああ、それはもっと単純な話なんだよ」
「?」
「属性の最大出力量が変わる」
「……もっと大事なことじゃないの!!!!!」
そう言いながらクルスはトークルに小石を投げる
しかしよけられてしまった!
「ハッハッハ!その通りだな!」
「その通りって、じゃあこの話なんだったのよ!」
するとトークルはクルスの髪を指しながら答える
「それはな!クルスちゃんの魔法の正確性を上げるためだ!」
「はい?」
「今言ったろ?魔法の正確性は適性ではなく想像力で変わるって」
「……そうね」
「ここを勘違いしてる人は結構多い、この国でさえまだ誤解が蔓延ってるなら閉鎖的な里なんて更に蔓延るだろ?」
クルスの記憶の中にもそんなことを言う人は一人もいなかった
「でだ、昨日の戦いでのクルスちゃんの魔法は何もかも雑だった。始めに使った水魔法も適性が高いだろうに集中放射ではなく波で雑に押し流すだけ、しかも前だけでもなく全方位を」
「ぐっ……」
事実を言われて少しクルスは顔をひきつらせる
「その次の雷魔法が最もダメだった!その金髪と金目で適性が高いことは丸わかりなのに分散しすぎてほぼ自分の水魔法に吸われてたし!」
「ぐぅっ!」
紛れもない事実で致命傷である
「だからまぁ、ちょっとずつ頑張ろう、な?」
「……」
「……クルスちゃん?」
クルスは顔を赤くして少し震えているように見える
「……たしにだって」
「あっこれヤバいやつ」
トークルは咄嗟に後ろに飛ぶ
「私にだって出来るのよ!」
そう叫んで……
「スノードール!!!」
……
…………
………………
出来上がったのは、顔の形が福笑いでもしたかのようにズレた氷の雪だるまのようなナニカだった




