11月6日:理由と追憶
「落ち着いた?」
「ええ……」
少女が勘違いに気づき戦闘が終わったあと周りの後処理を他の兵士たちに預け、2人は基地に入り少女と話していた
「それならよかった」
「あの……」
「ん?」
「その……ダンテ…?さん……ごめんなさい!」
そういい深く頭を下げる少女
「ああいいよ大丈夫大丈夫、里を襲った人と勘違いしたんでしょ?それならああなっちゃうのも仕方ないし……」
「でも結構……暴れちゃったから……」
「そこら辺は大丈夫だ、そこは俺たちが何とかするから」
「そうそう」
「な、ならいいんだけど……」
少女もようやくしっかり落ち着いたようだ
「さて……それじゃあまず自己紹介からしようか、俺はダンテ・クストだ」
「そんで俺がトークル・リヒデンだ」
「私は……クルス、クルス・ディクロア」
「クルスか、よろしくなクルスちゃん」
「も、もう子供じゃないからちゃん付けはしないで欲しいわ」
「おっとそうか、ちなみにおいくつ?」
「14歳よ」
「ならまだ子供だな、クルスちゃん」
「子供じゃないわよ!」
「トークル、その辺にしとけ」
「へいへい」
そういいながら身を引くトークル、多分今後もちゃん付けするんだろうな……
「それじゃあまぁいきなり聞くけど……何があったの?」
「……私の住んでた里が……襲われたの」
「どんな風にだ?」
「ちゃんとは分からないの、襲われた時私はたまたま里の外で遊んでて……」
………………
…………
……
私の住んでた里は、平和なところだった
100人ぐらいで暮らしてたと思う、合う人はみんな知り合いで、畑を耕したり、森で猪を狩ったりしながら暮らしてた
その中で私の家、ディクロア家は里長の家系だった
最初に私が生まれたんだけど、私は女だったから継げないなってなって、その後に弟が生まれたの
名前をロカト、次の里長になる子だった
ロカトが生まれてから、私はちょっと放置気味になっちゃったんだけど……しばらくしたら、私がロカトのお世話役になった、ロカトといるようになってからは毎日が楽しかった
森で食べられる植物を探したり、木の棒を使って魔法の練習をしたり、蔵の古い本を読んだり……そんな風に暮らしてた
けど……あの日は来た
ちょうどその日の前に……喧嘩しちゃったのよ、ほんの些細なこと、馬鹿らしい……物の取り合いをしただけの喧嘩
「お姉ちゃんなんて大っ嫌いだ!べーっ!」
「こっちこそアンタなんて大っ嫌いよ!べーっ!」
それで私もロカトも拗ねちゃって、私は森に、あの子は蔵に別々で居たのよ、一人で遊んだのはもう随分と久しぶりだったわね……
でも当然楽しい訳もなくて、どんどん日も暮れてきちゃって、そろそろ謝らないとなって里に戻ろうとしたら……
里が、金属に覆われてた
意味がわからなかった
あの里にこんなことが出来る人は居なかった、そもそもこんなことをする理由も必要性もなかった
私はすぐに戻って何が起きてるのか確認しようとした
全力で走って戻ってる間に、里を覆ってた部分は無くなってた
里の全てと一緒に、全部無くなってた
スコップで切り抜いたみたいに丸い穴ぼこだけが残ってた
いつも野菜をくれてたおばさんも、いつか山の主を狩るんだって息巻いてたおじさんも、ロカトと一緒に遊んでた蔵も
なにもなかった
何かが錆びた匂いと、焦げた匂いしか、存在しなかった
その後はもう宛もなくさまよって、見つけた木の実を食べて、湧いてる沢から水を飲んで、でもそれでも限界が近づいてたんだけど……
倒れる寸前に、何とか人のいるこの場所にたどりつけた