11月5日:友を頼りに
「着いた時には、もう家は燃えていて……残っていたのは……! 父さん達の死体だけで……」
トークルは同情するような、少し怒りが見えるような表情をしながら、静かに聞いてくれた
「燃えきった後に……幼馴染の……ミリアも……家に居たって知って……! 俺は……」
「……襲われたって言うのはどうしてだ?」
「燃えてた炎の色が青緑だったんだ、何より……父さん達は……胸を貫かれて死んでた」
「異能持ちの魔法使いか……?」
「わからない……慌てていたから他の異常な点は見れてなくて……」
トークルは少し考え込んだ後、質問をしてきた
「……お前はどうすんだ、ダンテ?」
「どうするって……?」
「このまま休むか辞めるかだ、その精神状態じゃまともにいられるかもわかんねぇだろ」
ごもっともなセリフだ、だが……
「……どっちもしないさ」
「やれんのか?」
「やるさ、何より……」
心からの憎悪を込めて、言葉にする
「アイツは見つけださないと」
少し、悲しそうな顔をしながらトークルは
「……そうか」
「ごめんなトークル、これだけは……譲れない」
「……なら、俺も手伝ってやるよ」
「!?」
流石にそれは、想定外だった
「何驚いてんだ、言っとくがただ手伝うって訳じゃねぇぞ、今のお前はほっといたら何するかわかんねぇから着いてくってだけだ」
「……なるほど……迷惑をかけるな……」
「全くだぜ、全部終わったらその分貸し大量に付けるからな?」
「ハハッ、それでいいなら」
「その言葉覚えとけよ? ……んじゃ、報告に行こうぜ、教えとかなきゃ行けないこともあるしな」
………
……
…
リア・イファス准将の執務室
「なるほど、君の村でも事件……それも明らかな殺人と……」
「はい、異常な状態で殺されていました……ッ」
「すまないね、辛いことを話させてしまって」
「いえ、大丈夫です」
少し間を置いて、准将は話を続ける
「ふむ……では君たちに、2つの任務を命じたいのだが、いいかね?」
「どのような任務でしょうか?」
「君たちは、ラメルの北にある山岳地帯を知っているか?」
トークルが答える
「?はい、海に面している未開の山々ですよね?」
これはもはやヴェタス国の常識だ、傾斜が酷く、開かれてもいない未開の山岳地帯、それゆえ山登りへ行き帰ってこない者もいる魔の山々のある場所
「実は、その山に住んでいたという少女が保護された」
「「!?」」
「その少女が言うには、住んでいた里が襲撃され、命からがら逃げてきたらしい」
「あの山に……人が……?」
「いやそれよりも、襲撃ですか?」
「そうだ、少女が言う場所に駐屯部隊が調査に行ったところ、人が住んでいたと思われる伐採後と村と言ってもいいほどの広さがある何も無い穴があったらしい」
それは……つまり……
「おそらく、その少女を除いて全員亡くなっていると見て間違いないだろう」
部屋に静寂が満ちる
「……ごほん、というわけでだ、この件の調査と同時に周囲で起きている火災事件に着いての調査をお願いしたい。この件と最近の事件の数々はおそらく連動していると考えていいだろう……受けてくれるかね?」
……火災事件、襲撃……
よぎるのは家の……
「わかりました、ダンテ・クスト中佐、引き受けます」
「同じく、トークル・リヒデン中佐、引き受けます」
「うむ、ではよろしく頼むぞ」