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Scene 2. ちょっ待てよ!!ロボットアニメの世界観じゃないの?

 私は芙蓉ふゆ。ごくごく普通の女子高生(だった)。

 ある日、目が覚めたら、ロボットだった。

 最初は突然のことで混乱した。転生前はけっこう自暴自棄になっていたらか、感情が麻痺しかけてたこともあって、自分が置かれた状況なんてどうでもいいやと思ってた。

 だけど、ちょっと今の自分がなんなのか気にはなってきた。

「ねえ、支援AIさん。うん、ちょっと、呼びづらい。。。うーん、うさぎの絵だから、、そうね、ラビちゃん。ラビちゃんって呼んでいい?」

「回答。ラビちゃん。自己認識。了解。」

「ラビちゃんさ、ラビちゃんが覚えていることって何?」

「回答。記憶領域。人型汎用ロボットXACO自立支援情報。戦闘記録。」

「戦闘記録?戦闘の記録ってあるの?」

「回答。過去5万3ヶ月以内の戦闘記録無し。」

「えっ?5万?5万年っていうこと?」

「回答。製造後約5万年にわたり戦闘記録無し。」

「私って5万年も生きているの?生きているっていうか、えっと、起動しているの?」

「回答。否。製造後3ヶ月起動。5万年スリープモード。」

「スリープモードってことは寝てたってこと?」

「説明。スリープモード。小型核融合炉停止。最小電源で起動待機。」

「え、なんで?」

「回答。人型汎用ロボットXACO個体識別番号XA-00001による指示。」

「え、あたしってこと?」

「回答。イエス」

 なんか、私、自分の意志で5万年も寝てたみたい。。なんか思い当たるところがあるかもしれない。

 5万年って、お父さんもお母さんも、もう死んじゃったよね。。元の世界に戻ることができても、もう誰も知った人なんか居ないんだな。。

 ううん、だめだめ、ふさぎ込んじゃだめ。ちゃんと、自分が何者なのか、見つけなきゃ。よくわからないけど、新しい人生を見つけなきゃ。

「ラビちゃんさ、5万年前はこの基地にも人が居たの?」

「回答。イエス。通信記録あり。」

「通信記録?どんな通信記録?」

「回答。不明。記憶領域不足。詳細データ削除済み。」

「あーん。削除しちゃったんだ。。」

 私はまた、気持ちが落ちるのをこらえて、気持ちを奮い立たせるために、両手で頬を叩いた。耳元で結構大きな金属音が響いた。

 だ、だいじょうぶだよね。このぐらい。

 この基地で暮らしていた人のことや、この世界のことについてラビちゃんにいくつか質問してみたけど、全部無駄だった。この世界のことはデータには無いらしい。あくまでもロボットに関する情報がメインのようだ。

「ラビちゃん、ここの地図ってある?」

「回答。基地内描画。」

 眼の前に、3Dの構造物が拡がった。映画とかで見るような、建物の骨組みだけが表示されている絵だった。この基地は大半が地下にあるらしく、地上1階、地下5階層でできている。下の方に赤く点滅している人型のマークが有り、たぶん、これが私だ。構造物の全体から見ても相当大きな空間の端のほうに居る。

 通路は、大きなものと小さな物があり、大きな通路がロボット用で、小さな通路が人間用なのだろう。大きな通路は数本しかなく、小さな通路は無数に存在している。

 格納庫から出るには、縦に通じている大きな通路を進むしか無いようだ。これはきっとエレベーターか何かだろう。

 私はエレベータがある方向を向いた。格納庫の奥の方にそれらしきものがあるような気がして、目を凝らした。

「メインカメラ切り替え。望遠。」

 ラビちゃんの声が聞こえると、急にエレベーターらしきものが拡大されて視界に飛び込んできた。間近に見える。

 不意に視界が切り替わって、酔ったような気がした。

「うあ!!ラビちゃんがやったの?いい、いい、普通に戻して!!」

「メインカメラ切り替え。通常。」

 私は、エレベータに向かって歩いた。

 ちゃんと歩くのは初めてだった。人間の頃に比べると、全身の動作が遅く感じられて、少しイライラする。自分が思う手脚の動きより遅れて身体(機体?)が動く。それでも、きっと人間からすればものすごい勢いで前に進んでいるに違いなかった。ギュイーン、ギュフイーンとか、ガキンガキンとか、とにかく大きな金属がして、歩行するだけでもうるさかったし、格納庫に響いた。

 かなり遠くに見えたエレベーターは、きっと人間なら数十分も歩きそうなほど遠かったのに、数分で到着した。

「ラビちゃん、このエレベーター動かせる?」

「回答。基地基盤システム接続可能。エレベーター起動。」

 そのロボット用エレベーターの扉は、真ん中から上下に開いた。中はそう、ロボットなら10台ぐらいは入れるような、結構な広さだった。扉が開くのに相当時間がかかった。

 私は乗り込み、あたりを見回した。

「ラビちゃん、これ、どこに行けるの?」

「回答。地上出撃エリアに移動可能。」

「うん、じゃぁ、そこに行きましょ。」

 エレベーターの扉がゆっくりと閉まった。

 なんとなく、エレベーターが動いて、上に向かっているような気がした。

 なんにも音はしない。

 しばらくして、扉が開いた。

 そこも格納庫に似たような雰囲気の場所だった。

 遠くにはいくつもの穴が見える。ちょうど、ロボットが1体入れるような縦型の大きな穴が20ぐらい見える。

「ラビちゃん、あの穴って何?」

「回答。汎用ロボット射出口。」

「射出?」

「説明。射出口。カタパルトに機体を乗せ打ち上げ。飛行能力必須。」

「飛行能力?あたしって、飛べるの?」

「回答。否。XACOシリーズに飛行能力無し。」

「なんだ。。」

 私は歩きながら周りを観察した。

「ここ、出られそうじゃない?ラビちゃん開けられる?」

「回答。出撃口。開口。」

 重々しい音ともに扉が上下に開いた。

 外は白く光ってる。眩しくて何も見えない。

 眼の前でガシャ、ガシャンと音がして、白くて眩しかった外の景色に色がついた。

「報告。陽光フィルター適用。」

 私は建物の外に出た。

 私が居るのは丘の中腹だった。

 見下ろすと、そこは見渡す限りの森だった。一面の緑に、その上に青い空。美しい世界が見えた。それまで金属ばかりが見える場所に居たせいか、生命力に溢れた森の景色がやけに美しく見えた。

 左から右に視線を流したけれど、都市の気配も、村の気配も、人が居そうな人工物は見えなかった。

 私は今度は右から左に地平線を眺めた。

「報告。サブモニター切り替え。望遠。」

 ラビちゃんの声とともに、視界の左上の一部、四角い領域の表示だけが切り替わり、望遠の景色が映しだされた。地平線がズームアップして見れる。地平線は蜃気楼で揺れて、鮮明には見えない。けれど、山と森の気配しかしない。

「ラビちゃん、地上の地図ってある?世界地図とか。」

「回答。機密情報。アクセス不可。」

「えー。。機密情報って。。なんとかならないの?」

「回答。アクセス不可。」

「どこか、人が居そうな場所って無いかな?わからないかな?」

「回答。選択肢。基地レーダーに接続。」

「うん、やってみて。」

「了解。基地レーダー接続。・・・・・・自軍識別信号なし。敵性信号なし。」

「うーん、なんか、レーダーで人が居そうなところとか、わからないかな?」

「回答。解析不能。通信傍受なし。長距離赤外線生命解析不可。」

「どうしよう。。」

 私は、しばらく景色を眺めながら、考えた。

 ここに居ても、人間は居ないみたいだし。とにかく、誰か、この世界の事情について詳しい人にいろいろ聞いてみたいんだけど。そう思いながら、眼下に広がる森と、その森を縫うように流れている大河を見つめた。

 私はふとあることを思いついた。

「ラビちゃん、地形ってわかる?」

「回答。レーダー範囲内の地形把握可能。」

「あのあたりに見える大きな川ってあるじゃん。あれの下流ってわかる?」

眼の前に地形データが映し出された。大きな川が地図の上のほうに向かって伸びている。

「この先って、どこに続いているかな?」

「回答。基地レーダー限界。」

「そうか。まぁいいや。」

 うん。まぁいい。でも、とにかく決めた。川沿いに進んでみよう。昔から、文明って大河沿いに出来てたって習った記憶があるし、川沿いに進んだら、人の居る都市が出てくるんじゃないなかなって思う。

「この川の端まで行くのにどのぐらいかかるのかな?」

「回答。XACOシリーズの歩行で12日計算。」

「ひえー。。結構あるなぁ。。まぁ、時間なんて気にならないんだけど。」

 私は腕を汲んで、少し悩んだ。

すると、ラビちゃんが話しだした。

「提案。機体カスタマイズ。ホバー機能追加。」

「ホバー機能?ホバーって何?」

「説明。ホバー機能。腰部スカートジェットエンジン追加。脚部ジェットエンジン追加。ジェット気流。機体浮遊。半飛行。移動速度向上。」

「え?機体を改造できるってこと?移動速度が上がるの?」

「回答。イエス。」

「じゃぁ、やっちゃって!!機体カスタマイズしよう!ホバー機能、つけちゃおうよ!」

「回答。否。マジックコイン不足。」

 え、なに?マジックコイン。マジックって、マジック?魔法のこと?

「ラビちゃん、マジックコインって何?」

「回答。マジックコイン。魔法アイテムのカスタマイズに必要。」

「魔法アイテム?」なんのことだろう。魔法アイテム・・?「え、もしかして私って魔法アイテムなの?生き物じゃないってこと?って、あ、ロボットか。。」

「回答。イエス。魔法機械。魔法アイテム。否。正確。人型汎用ロボットXACO個体識別番号XA-00001。特殊個体。魔法機械生命体。」

う、、、なんだかよくわからない。よくわからないけど、とにかくこの世界はロボットアニメの世界観とはなんか違うみたい。

「ラビちゃん、今更だけど、私のこと知りたいんだけど、えっと、私ってなに?」

「提案。ステータス表示。」

「う、、うん、それやってみて」

私が言い終わるとともに、それは表示された。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

|種 族| 魔法機械生命体  |

|品 番| XACO(ジャコ) |

|識別子| XA-00001    |

|サイン| FUYUS      |

|索 敵| F         |

|耐 久| F         |

|魔 力| Z         |

|運 動| F         |

|移 動| F         |

|必殺技| 10機無双 / 自爆  |

|残 機| 1,000,000    |

|スキル| 機体カスタマイズ |

|コイン| 0         |

ーーーーーーーーーーーーーーーー


な、なんか、いろいろとツッコミたくなるけど、まずは落ち着こう。。

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