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Scene 11. 私、女子に生まれ変わります!!

 二日目のトレーニングは実際に私が義体を操作して行う模擬戦だった。

 初日はただずっとレオが義体を操作して、その感覚を覚え込まされた。型があるような動きは何度も何度も繰り返しその動作を繰り返した。これが人間の時代だったら疲労困憊でくたくたなんだろうけど、今はまったく疲労というものを感じない。何日でも続けられそうだった。

 最初はミッキーと1対1の素手の格闘を行った。

 自分で義体を動かし始めて、最初のうちはどことなくぎこちなかったが、すぐにしっくりと動けるようになった。義体の使い方を感覚で掴んだようだ。レオがしていた動きをほぼ同じように再現できる。

 ミッキーの攻撃は素早かったけれど、私も尋常でなく早く動けるので、まともに攻撃を受けるということはなかった。しばらくすると、全ての行動を見切ることが出来るようになり、最小限の動きで回避できるようになった。余裕ができるようになってからは、こちらから攻撃も始めた。

 さんざんレオの動きを体感していたので、何も考えずとも、義体を動かせた。相手の攻撃をいなし、重心をずらさせた状態で攻撃に転じる。相手が防御をしても次の手、次の手と攻撃を繰り出す。

「ちょ、ちょっ、ちょっ。姫、すごいね。」ミッキーは動きを止めること無く言った。だんだんと私が攻撃している時間が長くなり、ミッキーを追い詰め始めた。

「こりゃ、困った。」そう、ミッキーは言うと、それまで見せなかったトリッキーな動きで私の攻撃を逃げ、これまたトリッキーな動きで攻撃してきた。私はなんとか攻撃を防いで、後ろに飛び退り、距離を取った。

「すごいな。AIの思考速度を超え始めてるよ。」

(姫。1対1はもう良さそうだ。1対2ではじめよう。)レオも驚いたような声で言った。

 ミッキーとローズを相手に戦闘訓練を始めた。今度は素手ではなく、私は大剣を構えて闘った。ミッキーも大剣を使い、ローズは昨日と同じ大きな鎌を使った。

 2対1の対戦でも、最初は苦戦したけれど、しばらくすると私が優勢になる時間が増えた。私は潮時だなと思ったところで、模擬戦を終わりにした。

「姫様。このローズ、感服いたしました。姫様には武の才能がおありのようです。」そうローズは言って片膝を付いて頭を下げた。

「うん。ほんとすごいよ!」ミッキーはローズとは違って、いつもと同じく立ったままへらへらと笑いながら言った。

(格闘と剣技についてはもう我々AIを凌駕しはじめたようだね。すごいね。覚えも早い。想定以上だ。僕たちの思考速度は有機生命体のそれよりも早いと思うから、今の姫様ならこの世界の魔獣に遅れをとるようなことはそうはまず無いと思うよ。)

「ふっふーん。私ってば。すごい。我ながらすごいって思う。こんなに自由自在に義体をを動かすのが楽しいだなんて、大発見だね。」

(うん、これで基本的な戦闘能力は鍛えられたと思うから、あとは、ガトリング砲の使い方を学ぼうか。それで最後は市街地で魔獣と実戦といこうか。)

 私はまだ動き足りなくて、自分が極限まで動ける速さを突き詰めようと、突きや蹴りをその場で連続して繰り出す。あまりにも素早い動きが風を生み、私を中心につむじ風が置きそうな気配が感じられた。楽しくなって、ますます速度を上げていく。

(おいおい。姫。あんまり調子にのるもんじゃないよ。もしかすると、姫の反応速度に義体がついてこれなくなるのかもしれない。)

「そうね。ちょっと、うごきがずれはじめたかもしれない・・・」私は速度を上げながら動きを続ける。けれど、微妙に自分のイメージに義体の動きがついてこない。

 急に、聞いたことのない軽快なメロディーがあたりから聞こえた。

「え?なに、なに、なに!?」

(ほう。)レオが驚いたように言った。

「なに、なに!?なんかまずいことあった?」

(うん、ちょっとまってね。・・・おお、なるほど。おめでとう。姫。どうやら、姫の義体操作レベルが上ったことで、カスタマイズメニューのロックが解除されたようだ。いろいろと義体のカスタマイズができるようになったようだね。でも、姫のご希望はこれかな。メタモルフォーゼ機能の追加っていうのがあるよ。)

「メタモルフォーゼってなに?」

「義体の擬態機能追加になるね。簡単にいうと、人型ならある程度変身できる機能っていうところかな。顔とか容姿を変えられるということ。つまり、女性にも変身できるってこと」

「うそ?女性の容姿になれるの?やるやる!そのカスタマイズ、すぐやるぅ!!」

 マジックコインを使って義体のカスタマイズをすることにした。残っていたマジックコインのほとんどを使うことになるけれど、とにかくわくわくしかない。

 レオによると人型義体は付属品のような扱いだけど、本体の機体よりもある意味で性能的には高いかもしれないということだった。高性能な義体だからカスタマイズにかかるマジックコインもたくさん必要になるらしい。

(さあ、どうだろう。メタモルフォーゼ機能が追加できた。レベルはFだ。うーん、レベルが低いからなのかな、容姿はいくつかのパターンからしか選べないみたいだね。)

 私は本体の操縦席に戻って、スクリーンにレオが映しだしてくれた容姿のパターンを眺めた。女性は4パターンだ。

 女性タイプDと表示された。黒髪で浅黒い大柄な容姿の女性のを見ると、これはローズ用だなとすぐに思った。大鎌を振り回す姿がしっくりくる。

 メタモルフォーゼ機能のカスタマイズは私だけでなく、召喚している義体も可能になっていた。

 悩みに悩んで赤髪の女性タイプCを選んだ。均整が取れていて、ナイズバディだ。転生前のちんちくりんだった私とはまったく違う。一番はお尻が気に入った。キュッと小さく上がった桃尻がとてもセクシーだった。

 私はなんだかとてもやる気が出てきた。とにかく気分がいい。めっちゃ強くて、すごい美人の容姿になれるみたいだ。いや、ほんと、異世界転生は最高だと思った。

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