2:現実と夢
「ここはどこ?」
「あら、たてる?がんばってたってごらん」
「先生?」
そうか、あの時保育園の事を思い出してたから、こんな夢をみてるんだ。でもいつ考えても、この時は恥ずかしさよりも楽しさの方が大きかったかな?
それより、なんか膝痛い。
ふっと足元に目をやると、自分の膝からにじみ出るようにドス黒い血が流れ出ていた。
それとともに体は小さくなっていて、まるで保育園生のようになっていて…。
えぇっと…これは?夢だと思いたいけど、リアルに痛い。あ、そーいえば。最近の夢は進化して、リアルになったんだ。そうかそうか。
………何か悲しくなってきたからやめよう。
ま、これはどっちみち夢だしぃぃ…。今は必死に走るとしよう。うん。決意を固めると、
すぐにパァン、と音が鳴った。
そして、今更気付く。
体力は、今の私のままだと言う事に。
結果、転んだくせに一番でゴールへ。しかも保育園生とは思えない速さで。
みんな唖然。
そりゃそうだ。でも現実じゃないし。私に都合よく動かされてる、私の夢。
「いっ…一位は伊紗乃ちゃんです!」
先生の声がうわずる。ははっ、この先生意地悪で有名だったし…まぁ、ザマァって所で。
やはり思考回路も今のままのようで。
(だから、何べん言えば分かるのかのぉ。これは夢じゃのうて、現実じゃ)
あ、あのジイサンの声。何々?私、ジイサンになんか悪い事した?
ってか、さっきから何なの?現実、現実ってさぁ。いいじゃん、今くらい現実逃避させてよ、意地悪。
(人生やり直してるのに現実逃避してどうするかぇ?ま、とりあえず、頭を整理すると良い)
結局、あのジイサンは何?これは本当に現実なの、それとも夢?
「あぁ、もうわっけわかんね。とりあえず、頭整理しないと」
ジイサンは現実って連呼してた。けど、あのジイサンが嘘ついてるかもだし。私に恨みを持ったジイサンの幽霊かもだし。いろいろ考えられる訳だけど。
(まだぐじぐじしてるのかの。情けないのぉぉ。時間は無いのじゃぞ。
それに、幽霊って…ワシ、ワルモン?)
疑問系かよ。ってか時間無いって?
(まだ状況が把握できて無いようじゃな。この時、何が起きたか…じっくり考えてみぃ)
ふぉふぉふぉ、と笑った自称神様ジイサン、略して自ィ神は引っ込んだ。
…何が起きたか…それはなんとなく検討がついた。
けどこれが現実だったら、本当にやり直す事が出来るのかなぁ?




