1:プロローグ
少女は真っ白で、何も無い所にポツリといた。
何だろう、ここ。あ、夢か。
それとともに、保育園の頃の運動会を思い出していた。
「いちについて、よ~い、どん!」
先生が合図を出したとたん、転んじゃったんだっけ。皆に笑われて、恥ずかしくて…。
あの頃は楽しかったなぁ。それに比べ、今は…。いじめられて、トラウマになっちゃって学校も不登校。情けないよ……。
そう思ったとたん、目の前が七色の光におおわれた。
なんなんだ…。えっ?このジイサン誰だよ?
「ジイサンとはなんじゃ」
わっ!?何か読まれてるし。ってか、しっかりジイサンじゃん。自覚無い訳?
「おぬし、言葉遣いに気をつけぃ。ジイサンという自覚は無い。ヒィジイサンじゃ。今年で百になる」
………馬鹿だ、この人。
「気をつけぃと言っておろうが。それよりも、おぬしの願いを叶えに来た」
…↓↓。
「えぇい、変な顔するな。我は神である。そこにボタンがあるじゃろう。そこのボタンを押せば、人生がやり直せる。十秒以内にな」
そう言うと、自称神はふっと消えた。
カチカチと音が響く。
どうせ夢だ。やり直す夢を見よう。
ポチッとまぬけな音がして、また七色の光におおわれる。そして次の瞬間、目を開けると…
少女は土まみれになって転んでいた。