相互扶助
解散後、俺は迷わず訓練へ向かった
皆、それぞれ得意分野があり、集結した5人だ
朝陽は近距離戦では負け無しと言えるほど強く
色葉は機械操作にとても優れている
海人は知識があり、察知能力も高い
星空はチームでは欠かせない、医療技術を持っている
そして、俺は…銃の扱いに優れている
着いたのは、射撃場
何かあった時は必ず、射撃場に来る
感情が揺れた時が実践に近い状況になるからだ
いつかこの銃で、何万人も殺した奴らを俺が…
この手で悲劇を止めるんだ
「中心に当たらない…」
白骨化した骨を沢山見たことで、父さんと優愛が生きているのか不安になる
考えないようにしようとするが、頭の片隅にこびりついて離れない
「このままじゃ、ダメだ…もっと、集中しろ…ふぅー」
目を閉じ、深呼吸をする
撃った弾は的の真ん中へと吸い込まれるように、向かっていく
調子がいつも通りに戻り、何時間も撃ち続ける
射撃場の使用時間終了の音が鳴り響く
気づかないうちに凄く時間が経ったようだ
射撃場の扉を閉め、シャワー室へ向かう
廊下を歩いているとサンドバッグにパンチングをしている音が聞こえてくる
俺は来た道を引き返し、自販機で2つ水を買った
あの場所は、朝陽がいつも練習に使っている場所
「朝陽」
買ったペットボトルを朝陽に向かって投げる
「あんま、無理するなよ。手、痛める」
床に座り、壁に寄りかかる
「さんきゅ。永遠もな」
朝陽の表情が暗い
「どうした?」
「ん?」
「いつも悩むとそーゆー顔、してるだろ」
「やっぱ、永遠には、バレるか…家で骨見た時、あぁ、10年前だったら、俺と同い年ぐらいだな。苦しかっただろーな。何であの時、俺が助かったんだろ。そう思っちまって…助かったなら有難く思えって感じだよなー」
無理に笑顔を見せる朝陽、、
「俺はさ…朝陽と出会えたおかげで、ここまで頑張ってこれたんだ。あんな、辛い訓練普通なら耐えられないだろ?だから、朝陽が生きててくれて、出会えて良かった」
普段弱音をはかない朝陽の弱々しい姿に、溜め込んでいることに気づかなかった自分に腹が立つ
「なっんだよ、それ、、そうだな、俺ら10年…頑張ったよな。でも、嫌でも父ちゃん達苦しんでねーかな、1人で寂しく死んでねーかなとか色々考えちまう。あーあ、俺、弱ぇー」
頭にタオルをかけ、俯く朝陽
「朝陽の家族も俺の家族も必ず見つける。そのために俺らは、ここまで来たんだ。辛い時は泣けよ。我慢するなよ、俺は死なない。朝陽も死なせない。だろ?」
まだ、7歳だった俺らがお互いを守ると誓いあった言葉
「おぅ…俺は死なねー。永遠も死なせねぇー。お前が居てくれて良かった。ありがと、な」
どちらともなく、お互いの拳を合わせた