やっと来た、やっと帰れる
慧仁親王 宮島 1522年
うわ〜、待ちくたびれた。ホントに来るのかな?宮島なら目立たないだろうと思ったら、河野も宇都宮も来やがった。情が湧いちゃうから会わなかったけどね。
〜・〜
やっと来た。ホント、やっと来た。
「大変遅くなった様で申し訳ございません。某、島津家14代当主島津忠兼で御座います。この度は謁見の機会をくださり有難うございます」
「何か有ったのか?」
「家中の事ゆえ、ご勘弁願いとう御座います」
「どうせアレだろう、実久だっけ?」
驚いた顔をして此方を見る。でしょうね。
「隠し事は出来ぬ様で、その通りで御座います」
「では、俺に臣従しろ。そうすれば従五位薩摩守に任ぜよう。それで実久は黙るかな?ん〜、そうだな、俺が後ろ盾になってやる」
「真実で御座いますか?」
「臣従すればな。すれば薩摩・大隈・日向・肥後を任せる。しなければ、この話が伊東に行くだけだ」
忠兼が周囲を見回すと、行雅、言継、義興が頷いて見せる。此方に向き直ると、
「有難き幸せに存じます。この後は殿下の御為に働く所存に御座います」
「うぬ、励め。では、行雅」
「はっ」
錦の御旗を忠兼に差し出す。
「錦の御旗を下賜する。綸旨も下ろう。見事に四ヶ国纏めて見せよ。なるべく戦は避けてくれ。ダメなら相手は朝敵だ。遠慮なく潰せ」
「はっ、畏まりました」
「ところでな、薩摩は琉球と商いをしているだろう?あ、嘘はつくな、今の話が無かった事になるぞ」
「はい、琉球と商いをしております」
「ちゃんと税さえ払えば文句は言わない。それでな、琉球を通して明から甘味の元となるキビを取り寄せろ。これは絶対命令だ」
「はっ、努力致します」
「なるべく早くだぞ」
「御意に」
「後は義興とよく話し合ってくれ」
〜・〜
「皆に集まって貰って済まんな。最後にもう1度話しをさせて貰う。ここに居る者は、私の直臣となる。おいおい陛下の直臣になって貰う事になるので、心してて欲しい。これから各地で働いて貰うが、なるべく戦は避ける様にしてくれ。綸旨に従う様なら、各々の臣下にしてやってくれ。陛下の直臣にはなれないからな。良いな、尼子でも大友でもだ。もし、綸旨に逆らう様なら潰して貰って構わないが、農民は保護してやってくれ。今の所の皆の仕事はここまでだ。ある程度の目処がついたら評定を致す。以上だ。質問は無いか?」
「御座いません」
「明日には堺に戻る。義興、美味い物を用意してくれ」
「はっ、畏まりました」
〜・〜
やっと堺が見えて来た。少しはゆっくり出来るかな?フラグが立ったかな?
姫巫女の戦国平定物語〜弟も転生者だったなんてご都合主義もいい所
https://kakuyomu.jp/works/16816700426978225347
のカクヨム不定期連載を始めました。
この物語のスピンオフです。
自分で書いていて何ですが、聖良女王が大好き過ぎなんです。
本編切り抜きからオリジナルエピソードまで、姫巫女目線で書きました。
どうぞ宜しくお願いします。




