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閑話03.可愛い恋人・膝枕

それはある日のこと。


-アメリア-

"カポーン"

 現在地・屋敷の浴場。

 ボクとユーリは2人きりで入るには広い浴場で顔を見合わせながら湯船に浸かってる。

 脱衣場で服を脱いで浴場に入って南東の国・キューレ王国だっけ? その国の聖女様が近頃開発したらしい石鹸で身体と髪を洗って。までは普通にしてたんだけど、2人で湯船に体を沈めたらユーリは突然甘えんぼになった。

 浴槽の底に膝立ちになってボクに抱き着き、ボクの首に手を回してボクの頭に頬擦りしてる。

 ユーリの膨らみが顔に当たってる。ボクより控えめだけど大きな差があるわけじゃない。

 コーネリアとボクならボクの方があるって言えるけどね。

 でもこれは本人の前じゃ絶対言えない。

 もし口に出したら神殺しの狼(フェンリル)のボクでさえ"ぞくっ"と恐怖を感じる視線で睨みつけられるから。

 

「アメリアが好き、大好き。可愛いところが好き、優しいところが好き、私を一番に想ってくれるところが好き、一緒にいて楽しいところが好き、幸せをくれるところが好き、ケモミミが好き、尻尾が好き、その顔が好き、体が好き。・・・・・照れてるの可愛い」


 ユーリ。・・・どうしよう、可愛い。

 ボクのことそんなに大好きでいてくれるの嬉しい。

 ちなみにユーリ、体がほんのり赤いよ。

 これはお湯の中にいるからだけじゃないよね。

 きっとボクの好きなところ言うの恥ずかしかったんだよね。

 それとボクに裸で甘えるの実はちょっと恥ずかしいんだよね?

 ボク、ユーリのこと良く知ってるから分かるよ。

 それでも甘え続けるのはユーリはボクの反応見たいから。

 それとそれでもボクに甘えたいから。可愛いすぎるよ。

 

「ユーリ」


 ボクは顔を上げてユーリの顔を見る。

 やっぱり赤い。ユーリとボクは少しの間見つめあう。

 その後ユーリの唇がボクの唇に重ねられる。


「・・・大好き」

「・・・うん、ボクも」 


 熱っぽいキス。

 呼吸が苦しくなったユーリは一度離れて軽く深呼吸したらまたボクの唇に自分の唇を重ねる。


 好きがいっぱい伝わってくる。

 ボクも負けじと好きを伝える。


 満たされる。心がユーリでいっぱいになる。

 2度、3度。それを繰り返したらユーリはボクから離れる。

 じっとボクの顔を見るユーリ。その目は何か真剣で、でもその中に不安の色があるっていう感じの目。


「ユーリ?」

「アメリア、聞きたいことがあるの」


 聞きたいこと? なんだろう?

 ユーリは口を開こうする。

 でもその瞬間。


「ひゃっ!!」


 浴場の天井からユーリの背中に滴が一つ落ちた。

 ちょっと慌てたみたい。ユーリの膨らみがボクの顔に押し当てられる。

 これは、幸せだけど理性を奪われるね。後、長く続けられると苦しいね。

 ユーリの柔らかさ、命の音。・・・ボク、ユーリの中にいる。


「んぐっ」


 幸せだけど苦しくて身じろぎしたらユーリは今の状態に気付いて放してくれた。


「ごめんね」


 温もりが遠ざかっていくの寂しいな。

 ボクはユーリに手を伸ばそうとしてやめる。

 

「ユーリ、そろそろ出たい」

「あ、そうだね。ちょっとのぼせてきたね」

「うん」


 ボク達は湯から上がって脱衣場に向かう。

 勿体ないことしたかな。仕方ないよね。このままだと熱で大変なことになってたかもだし。

 ボクは軽くため息を吐いて部屋着を着て着替え終わったユーリと部屋に向かう。

 ボク達の部屋。白を基調とした部屋で白くて丸い机が部屋の真ん中にある。

 その机の横には座面と背面に赤の柔らかなクッション材があしらわれている白い椅子が2脚。

 机の上にユーリのスマホ? って言うんだっけ? と薬草の束が3束、羊皮紙数枚、ガラスで作られた瓶が置かれてる。ユーリが錬金術でポーションを作ろうとしててその途中のものがそのまま鎮座してる。

 右隅には2人で寝てもまだ余るサイズのベット。洗浄魔法(クリーン)でいつも清潔に保たれてる。

 左隅には姿見鏡と化粧台、本棚などが置かれてる。他に雑貨棚に観葉植物も。

 奥にはバルコニーに通じる大きな窓。その窓には前面に薄いオレンジのカーテンが背面には薄い白いカーテンが掛かっている。そんな部屋。余計な物はあんまりない。ユーリもボクも飾り立てるより実際に使う物があればいい・生活優先っていう性格だから。


 その大きなベットにボクは座る。とユーリが隣に座って来てまた甘えてきた。


「お風呂で聞きたかったこと。聞いてもいい?」

 

 ボクにピッタリ寄り添ってじっとボクの顔を見るユーリが可愛い。

 ボクはその肩を抱いてユーリの体を倒れこませて頭を太股に誘導するとボクの恋人は大人しくそれに従った。

 

「アメリアの膝枕」

「ユーリってちょっとしたことでも嬉しそうにするよね。すっごく可愛い」

「だって嬉しいもん。恋人の膝枕が嬉しくない人なんていないよ?」

「ハァ、可愛い。ところで聞きたいことって何?」

「うん、あのね。アメリアってどうして私を好きになったのかなって思って。ずっと気になってたの。今の今まで言い出せなかったけど」


 聞きたかったことってそんなこと?

 ボク、言ったことなかったっけ?

 ところでどうしてユーリは不安そうな顔するの?

 ボクが答えをはぐらかすとか、良く分からないとか言うと思ってるのかな?

 ボク、ユーリにそんなことしないよ? ちゃんと言うよ。


「前にユーリの魔力は森の香りがするって言ったことあるよね?」

「うん」

「その魔力に惹かれたっていうのもあるけど、それよりユーリって素直で可愛いから」

「えっ?」

「ボク、そういう種族だからなのかな? 感情が匂いで分かるの。えーっとこれも例えなんだけどね。ユーリってボクと接してくれてるときはありのままでいてくれてるでしょう? 変なこと考えたりしない。そういうのが匂いで分かるの。ユーリは嫌な匂いがしない。素直な匂い。ボク、ユーリのそういうところに惹かれたんだよ。可愛い。そのままの性格。ユーリがユーリだから好きになったの」

「そう・・・だったんだ?」

「うん!」

「そっか。えへへ・・・」


 顔が赤い。耳まで真っ赤。今もユーリは『嬉しい、嬉しい』って匂いをさせてる。

 可愛い。ボクのユーリ。ユーリは何処までボクを自分に溺れさせるのかな。喜んで溺れるけど。

 

「ねぇ、アメリア」

「なぁに? ユーリ」

「私も膝枕してあげる」

「ほんと? ユーリ、ありがとう。でも」

「でも?」


 ボクはユーリに顔を近づけて小声で要望を告げる。

 顔の赤。少しずつ収まってきてたのにまたまた真っ赤になるユーリ。

 

「ボクのお願い、聞いてくれるよね?」

「う。ううううう、うん。わか・・・分かった」


 ユーリは挙動不審になって立ち上がる。

 部屋着のロングパンツに手をかけて。




 ユーリの太股!

 やっぱり布越しより素肌だよね。

 ボクは幸せを堪能した。


 私の大好きな恋人・アメリア。

 膝枕して頭撫でてたらいつの間にか眠っちゃった。

 いつもながら寝顔、あどけなくて可愛い。

 好きだよ。大好きで大好きで大好きよりももっともっと大好きだよ。


 私、アメリアの彼女になれて幸せ。

 アメリアが私の彼女で幸せ。

 

 この幸せを私も守るから。これから先も貴女(アメリア)と共に――――。

作者の個人的な思いですが「愛してる」より「大好き」が好きです。

「愛してる」はそこで終わる気がするけど、「大好き」には好きの際限がない気がして。

恋人のことをもっともっともっと好きになる。そういう恋いいなぁって思うんです。

重い恋大好き(笑)分かってくださる方いらっしゃいます・・・か?

仲間がいたら嬉しいです!!

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今週末より作者が海外出張のため、この物語は一旦ここで閉幕となります。

帰国後は聖国編を書きたいと思っています。

ユーリ達の物語はまだ続きます。

いつか再開・再会を。

それまでは・・・。


これまでのご愛読ありがとうございました。

この物語の読者様並びに様々な形で携わってくださった方に感謝を。


2019/10/14 作者より

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おまけ

スノー&シエル『うちら出番少なすぎー。途中から忘れられてる感じだった』

作者「ほんとごめん。仲間が増えると、ね?」

スノー&シエル『スライム達の大冒険って物語書いてくれたら赦すー』

作者「気が向いたらね」

スノー&シエル『この作者のあのセリフは絶対書かないやつだ・・・』

作者「おあとがよろしいようで」

スノー&シエル『よくなーい』

作者「またねー」

スノー&シエル『あああ~、逃げたーーーーーーーー!!』

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