2-11.生存する権利を賭けた戦い その2
戦闘描写は苦手です。
雰囲気で感じ取ってもらえたら・・・。
ごめんなさいごめんなさい(>△<)
残酷な描写があります。
苦手な方は注意してください。
私達とレオンとの戦闘は苛烈を極めた。
ベヒーモスとの戦闘のときもそうだったけど、理不尽なくらいに硬いのだ。
それに加えてレオンの鎧は魔法を吸収するものらしく幾ら魔法を放っても効果がない。
試しに魔力球弾を数千単位で放ってみてもダメだった。
決定打どころかダメージを与えられる攻撃方法がない。
ただそれは向こうも同じで焦れているよう。
ハンター・教師連合の戦闘において全部の手の内を明かしたのが運の尽き。
知っていれば当たりさえしなければ生き残れる。
「くそっ。避けるな。大人しく斬られやがれ」
「そっちこそ、その鎧はずるい。脱いでよ!!」
子供の喧嘩のようなやり取りをしつつ命のやり取りをする。
体がいかに硬くても柔らかいところは絶対にある。
例えば目とか耳とか口とか関節とか。他にも。
どう頑張っても鍛えられないところ。
「魔力球弾」
「またそれか。俺には効かないって知っているだろう!!」
知ってる。だからそれらは囮。
この手段何度か戦闘で用いてるから私の仲間達ならこの攻撃は間違いなく無効。
だけれど脳筋なレオンにはそういうことを考える知能もないようであっさりと引っかかる。
私達の前に戦ったハンターも似たようなことをしていたのに。
呆れる。でもそのおかげで本命のアメリアの攻撃に繋げられたのだからレオンが脳筋で良かったと思うべきか。
「シッっ!!」
死角からアメリアの攻撃。レオンの右手の指を数本切断することに成功する。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! きっさまぁぁぁぁぁぁ」
レオンが握っていた剣が落ちる。
右がダメなら左手でとレオンはアメリアを攻撃しようとするがコーネリアがそれを邪魔をする。
ハルバードのリーチを活かしての牽制。やむを得ずレオンが一歩下がったところにラナさんとアンナさんが2人一緒に魔法を放つ。
「灼熱の息吹」
「聖なる槍」
「くそがぁ。鬱陶しい」
レオンは防戦一方。ここぞとばかりに私達は押す。
連携も出来てる。油断さえしなければ――――。
勝てる。はフラグだった。
レオンが落とした剣が突如宙に舞ったかと思うと自由に動き出したのだ。
何が起こったのか見極めに数秒かかってしまった。
たったそれだけの時間が致命傷だった。
「「きゃっ」」
ラナさんとアンナさんが剣の攻撃を受けて地に落ちる。
コーネリアはそんな2人を助けようとして。
いつの間にか自分の真横に迫っていたレオンの拳を避けることが出来ず体勢が悪いまま受けてしまい戦闘不能となった。
残ったのは私とアメリアの2人。
「ふぅ、手間取らせやがって」
レオンがそんなボヤきと共に剣を手元に引く。
魔力の糸。男だからと思って油断してた。そうだった、男でも魔力の持ち主はいるんだった。
特に森守人と邪族はその傾向がある。一般常識として習った筈なのにすっかり男は魔法が使えないって思い込んでしまっていた。
「形勢逆転だなぁ。おい」
レオンの余裕の表情。若干焦る私達。
「俺の勝ちだ。魔力球弾」
うわっ! パクられた。
でも私と違って魔力量はそんなに多くないのだろう。数が少ない。これなら余裕で避けられる。
そう思って魔法を使わず避けようとしたのがまた失敗だった。
「追尾型!?」
そう。避けたところに追いかけてきたのだ。
「ユーリ!」
「アメリア!?」
私と魔力球弾の前にアメリアが割って入って私を突き飛ばす。
そのおかけで私は助かったけど、アメリアは被弾して怪我を負う。
「っ」
「アメリア!!」
「おっと余所見してる場合じゃないぜ?」
レオンに捕まってしまう。
首を掴まれて高々と持ち上げられる。
必死に抵抗するも力の差がありすぎて逃れられない。
息が苦しい。首が締まる。このままだと骨を折られて命を失う。
魔法は――――。
苦しくて上手くイメージ出来ない。
「うっぐ・・・」
もがいてもびくともしない。
苦し紛れに顔を蹴っても愉快そうに笑うばかり。
このままじゃほんとに。
『ご主人様を放せ~!!』
絶体絶命の危機を救ってくれたのはシエルだった。
レオンの目を狙ってシエルが吐いた酸が見事直撃。
普通の青いスライムならこんな芸当は出来ない。
私という主人を持ったシエルならではの技。
「ぐわっ」
堪らず私の拘束が緩んだところでシエルの追い打ちの酸。今度は耳に。
「ぎゃっ」
やっと解放される。床に尻餅ついて激しく咳き込む私。
「いたっ、げほっ、げほ、げほげほっ。かはっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
『ご主人様大丈夫?』
「だいじょう・・・げほっげほっ・・・ありがとう・・・シエル」
『ご主人様逃げるよー』
「げほっ、ハァ、ハァ・・・そうだね」
「くそっ、見えねぇ。何処だ。何処にいやがる。殺す。絶対殺す」
目が見えなくなったレオンは所構わず暴れている。
学園がどんどん破壊されていく。
「・・・・・」
それを横目に見ながら避難。
大切な場所が壊されていくのは辛い。
レオンを倒す――――。
それを胸に誓いながらアメリアのところへ。
治癒して他の仲間達も順番に治癒したら全員で立ち上がる。
「いける?」
「うん!」
「勿論ですわ」
「はい」
「大丈夫」
「じゃあ・・・」
作戦を伝える。手段は択ばない。
私達は騎士じゃない。だから騎士道とかどうでもいい。
卑怯とか言われたって知らない。勝てばいいんだ。それが悪役っていうんだったらそれでもいい。
行動開始。
まずアンナさんがレオンの背後から魔法を放つ。
「聖なる光球」
「がぁ!?」
次に隙が出来たところでアメリアとコーネリアがその剣とハルバードでレオンの足を地面に縫い付ける。
「ユーリを傷つけたの赦さないから」
「悪く思わないでくださいね」
「ぐわぁぁぁ。足をぉぉぉ!?」
そこまで成功したらラナさんの番。レオンの腹に腹パンならぬ魔法パンチを打ち込む。
「小型爆発魔法」
「ごふぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
くの字に体を曲げて大口を開けたレオンにトドメは私。
右手の親指と人差し指を立てて残りの指は折り込む。
人差し指を真っすぐレオンの口に向けて狙う。
左手で右手を支えて――――。
人差し指に魔力を集中。
「魔力銃」
その魔法はレオンの口を貫く。
私達は生存競争に勝った。
◇◇◇◇◇
魔族のレオンと見習いハンター達との戦闘。
それはジュレー大陸中を揺るがした。
魔族の脅威が知れ渡り、ハンターの重要性が更に広まることに。
これによりユーリ達は卒業を待たずしてハンターに昇格することとなった。
本当はもう少し学園生活を楽しみたかったと思うユーリだったがそもそもその学園が機能停止状態に追い込まれてしまったのだから仕方ないだろう。
ハンターとなったユーリ達は今日も5人でジュレー大陸を駆ける。
「港町つーいた。念願の魚介類が食べられるー」
「ユーリ、クラケーンが出没してて船が出れなくて魚介食べられないらしいよ?」
「うっ・・・。出たテンプレ」
「どうしますか?」
「退治するに決まってる!」
「ですわよね」
「だよね」
「じゃあ行くよ!」
「「「「「おー!」」」」」
騒がしく楽しい皆で。
これにて第二部は完結となります。




