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この世界が私の居場所 ~明るく楽しむ異世界生活~  作者: 彩音
第二部 新大陸・学園編
34/56

2-06.信用の大切さと女子会の用意

残酷な描写があります。

苦手な方は注意してください。

 四の鐘が鳴った頃。

 情報通りにゴブリン達が現れた。

 醜い顔、額に小さな角、全身緑色で人族の子供程度の体長、腰にボロ布を纏っている。

 いつ見ても・・・こう、なんというか【嫌悪感】がある。

 オークやトロールもそう。どうしてかな? ヲタク知識のせいかもしれない。

 そんなゴブリン。結構数が多い。ギルドの依頼書に書かれていた目撃情報の数倍はいる。

 村長の話とも異なる。あの人はこの期に及んで私達に嘘をついていたとそういうことだろうか。


「どう思う?」


 ゴブリン達が暴れまわる畑が見える空き家の裏。

 そこに潜みながら私は仲間達に振り向く。


「ユーリが考えてる通りだと思うよ」

「私もそう思います」

「そうだろうね」

「残念ですが」


 そっかぁ。そうかそうか。

 変だとは思ったんだ。

 ホーンラビットを討伐しに来たらワイバーンが強襲してきたなんてリゼさんの話も違和感があったんだ。

 実は以前からワイバーンも目撃されてて、けどそれを言うとハンターが来てくれないからギルドには偽の依頼を出したと。ハァ~、そっかぁ。そういうことするかぁ。この村は。これギルドに報告したら今後ハンターを派遣してもらえなくなるよね。ハンターは信用第一なんだ。その信用を損なうようなことをしたら。

 リゼさんはこのことに気付かなかったんだろうね。

 全面的に村人達の言うことを信じた、と。お人好しだなぁ。

 まぁ、そういうところ私達は好きなんだけどね。

 ん~、ただそれで味をしめたんだろう。この村は。

 前回も上手くいったから今回も上手くいくだろうと。

 舐められたもんだね。調子に乗ると手痛いしっぺ返しが来ること思い知らせてあげなくちゃ。

 学生でもハンターなんだ。何もかもそっちの思惑通りにいくとは思うなよ!!


 これは明らかな契約違反。内容詐称。なのでゴブリン達は討伐せずに放置して帰っちゃっても良いのだけど、自分達の矜持を汚さないため請け負った仕事の分だけはキッチリやっていくことにする。

 正確にはちょっと違うけどね。これは請け負った分の仕事以上のことだし。


「じゃあいくよ」

「「「「うん!」」」」


 私の合図で全員で飛び出す。

 ゴブリン達にこちらを認識する暇なんて与えない。

 一気に距離を詰めて首を落とす。


風刃(カマイタチ)


 私の先制攻撃。

 それにアメリアとコーネリアが続く。


「シッっ!」

「ヤァァァァァ!」


 驚くことにコーネリアの武器はハルバート。

 まるで手足のようにそれを操っている。

 学園ではいつも剣を使ってた。

 ハルバート置いてないしね。

 だったら槍を使えば良かったのにって一瞬思ったけど、あえて苦手な武器を使うことで二重の意味で自身の訓練としていたではないかということに思い当たり、私はコーネリアの評価をまた一段階上に上げた。


"ブン、ブォン"ハルバートが風を切る音が聞こえる。

 強い。パワー型のリゼさん、スピード型のアメリア。その中間程度の能力はある。

 前衛があまりに強いので後衛の私達はやることがない。

 私は先制攻撃を一撃放っただけで終わり。

 アンナさんとラナさんに至ってはまだ何もしてない。

 私達は前衛2人から遠く離れた場所で立ち止まって、だだゴブリン達が蹂躙されていくのを見守る。

 途中まで追いかけていたのだけど、もうそれすらもやめたのだ。

 前衛2人とゴブリン達の力の差が笑ってしまう程に開きすぎていて。

 赤子の手を捻るよりも余程簡単って感じで2人はゴブリン達を倒してる。

 いっそゴブリンの側が可哀想に思えてくるくらいの速度で。


「私達いらなかったよね」

「そうですね」

「何しに来たんだろうね」


 そんな風に二言、三言お喋りしている間にゴブリン達は全滅した。

 倒しきった2人が戻ってくる。


「ただいまー」

「ただいま戻りましたわ」

「「「お疲れ様ー」」」


 残っているのは事後処理。

 残党がいないかどうか全員で確認に行く。

 暫く歩いていると村から少し離れた場所にある位置に洞窟を発見する。

 見張りのゴブリン達が見える。

 どうやらあそこが彼らの巣であるようだ。

 潰すことにする。先程何もしなかった<出来なかった>ラナさんが先制攻撃に立候補。

 勿論譲る。ラナさんは魔法を放つ。見張りのゴブリン達は炎に焼かれて絶命する。


「いつも思うけど、炎の魔法ってエグいよね」


 私は樹木精霊(ドリアード)の関係者? なせいなのか炎の魔法とは極めて相性が悪い。

 料理で使うから炎の魔法も生活魔法くらいは使えたらいいのにって思うんだけどね。使えない。なので料理をするときはいつもシンシア師匠作の魔道具を使用している。


 ラナさんはそんな私の発言に笑う。

 ラナさんだけじゃなかった。アンナさんも一緒に笑っている。


「何? なんで笑ってるの?」

「あ~、うん。ユーリに言われると思わなかったから」

「そうですね。まさかユーリさんが」


 え? 何? 私、そんなエグいことしてる?

 私ってどちらかというと攻撃魔法より生活魔法が得意な人なんだけど。

 首を傾げたら「殺戮マシーンが分かってない」って言われた。酷くない!?


 私の非難は受け入れられなかった。

 アメリアとコーネリアに応援を頼もうと目線を合わせたら視線を逸らされた。

 さっきまで2人は何をしてたか覚えてないとは言わせないぞ! 同類だ。同類。

 ・・・あれ? これってラナさんとアンナさんの言い分を認めたことになる?

 うっ・・・。それは・・・。

 あ! いつまでも呆けてるなって。ごめん、すぐ行く。


 気持ちを切り替え、武器を握りしめて洞窟に近づいて行く。

 中からそこそこ大型の魔物の気配。

 入り口で待っているとそいつが出てくる。

 ゴブリンキング。

 ラナさん、今回も無事フラグは回収されました。


「メス、ウマソウ」


 わ! 喋った。


「オレ、オマエタチマルカジリスル。タベテイイカ?」


 え? 普通に嫌だけど?

 しかし所詮ゴブリンのくせに偉そうな格好をしている。

 王冠に重鎧。槍と巨大な盾。普通のゴブリンより大きく2mはあろうかという体長。


「メス、ニクヤワラカイ。ウマイ。イタダキマス」


 なんか妙に"イラっ"としたので落とし穴をゴブリンキングの足元に発生させる。

 落ちたら水攻め。ただの水じゃなくて硫酸。ゴブリンキングは逃れようともがいてるけど、そんな重たい格好じゃ無理だよ。重鎧が仇になったね。王様?


「・・・ほら、ユーリですよね」

「ユーリだよね」


 アンナさんとラナさんの2人が何か言ってるけど聞こえな~い。

 ゴブリンキングは私達が見つめる中、あっさりと溺れ死んだ。





 村に戻った私達は事の詳細を全部村長に話した後、すぐに村を後にした。

 村長は「夕食を一緒に」とか言ってたけど当然断った。

 毒とか入れられてそうなんだもん。

 特に可能性がありそうなのが眠り草。

 寝てる間に奴隷商人に売るくらいのことあの村の人達はやりそう。

 偏見? とっくにあの人達のことはマイナスに好感度が落ちに落ちてるから仕方ないね。

 もしそんなことしてなくても態度が悪かったのが悪い。自業自得。


 その後、ギルドに戻った私達は懇切丁寧に事のあらましを受付嬢さんに大きな声で話して聞かせた。

 途中からギルドマスターも出てきて「舐めやがって」と怒り狂ってた。

 何故か周りにハンター達も大勢集まってたから噂はあっという間に広がって今後あの村はハンターに相手にされなくなるだろう。

 人の噂は75日っていうけど、今回はそれだけでは終わらないと思うよ。

 ハンターを舐めたツケ。きっちり払ってもらいます!



 後日、王都近くの村が魔物の襲撃により滅んだと風の噂が流れてきた。

 なんでもその村は規約違反を犯したことでハンターギルドにそっぽを向かれて魔物の討伐依頼を出そうにも受け取ってすらもらえなかったんだとか。

 その後調査隊を派遣したハンターギルドのギルドマスターに届けられた報告書には老若男女皆殺しにされたと書かれているが真相は不明である。



 報告を終えた私達は寮に戻ってきた。

 4人は同部屋だけど、コーネリアとは一時離れることになる。


「今日はありがとうございましたわ」


 そう言って部屋に戻ろうとするコーネリアを私は引き止める。


「女子会しない?」

「女子会ですの?」


 私の提案に訝しげな顔をするコーネリア。


「うん! 友達同士でわいわい騒ごうってこと」

「まぁ! それは楽しそうですわね」


 良かった。乗ってきてくれた。


「ではではお姫様中へどうぞ」


 扉を開けて室内ヘ促す。


「ええ、ありがとう。ユーリ」

「ユーリありがとー」


 ちゃっかりアメリアもお姫様になってる。可愛い。

 私達はそれを見て和む。


 2人が部屋に入ったら続いてアンナさんとラナさんも中へ。

 最後に私が入って扉を閉める。




 さぁ、楽しい女子会始めるよ。

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