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この世界が私の居場所 ~明るく楽しむ異世界生活~  作者: 彩音
第一部 始まり。そして旅立ち。
3/56

03.ドナドナされる少女

少々残酷な描写とあれな描写があります。

苦手な方は注意してください。

「キャインキャイン」

「ぶひひひひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 オークは強かった。

 狼達なんてまるで相手にならない。

 彼の振り回すこん棒に次々に蹂躙されて地に倒されていく。

 怖くて声が出ない。体が震える。

 1匹、2匹。狼はついに最後の1匹。

 先によろめいて倒れそうになったところを支えて助けてくれたその子は今度も私を守るために私の前に立って呻りを上げる。


「ぐるるるっうぅぅぅぅぅぅぅぅっ」


 オークは意に介した様子はない。

 それどころか良からぬ想像でもしているのだろうか。

 私を見て涎を垂らしている。

 下半身の欲がよく分かる。

 こんな時にヲタクの知識が脳の隅で顔を覗かせる。


 オーク。豚の化け物。

 オークという個体は雄しかいないために他種族の雌を攫ってきて子供を産ませる。

 オークの欲を受けた子供はオークしか産まれない。

 攫われた雌は死ぬまでオークの・・・。


「冗談じゃない!!」


 そんなの死んだほうが遥かにましだ。

 一生オークの慰み者になるなんて絶対に嫌。

 先程までまるで力が入らなかった体に少しだけ力が蘇る。

 余所見しているオークに飛び掛かっていく狼。

 オークは狼に向き直ってそれまで下げていた棍棒を斜めに上げる。

 そこには狼の顔。


「キャイン!!!」

「ぶひひひひひっ」

「あっ・・・」


 私の目の前で飛ばされていく狼。

 考えるより先に体が動く。

 オークがいることも忘れてオークに殴り飛ばされた狼を追いかけようと走り出したのが悪かった。

 私がそこに行ったところでどうにかなるわけでもないのに。


「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」


 背中に強い衝撃を受ける。

 押し倒され、オークに背中に乗られて頭を持たれる。


「離して!! 離しなさい!! 痛い痛い」

「ぶひっ」

「あぐっ」


 煩いのが気に障ったのだろうか。

 地面に顔を叩きつけられてしまった。

 激痛。それなりに痛みには慣れているのに今のはとても痛かった。

 多分鼻が折れた。鼻血が出ているのが分かる。


「ぶひーーーっ。ぶひぶひっぶひーーーーー」

「・・・・・」


 言葉は分からないけど「次に騒いだらまたこうなるぞ」か「大人しくしろ」と言ってるんだろう。

 残念ながら私に効果は覿面だった。

 心も体も抵抗を止める。

 すっ。と気持ちが冷めて能面になる。

 それに満足したのかオークは私の両手を掴んで関節を外した。


「ぶひひ」


 なるほど。これで雌は何をされても抵抗出来ない。

 オークは私の知識では知能が低いとあったが意外とどうしてバカに出来ない。


 私の抵抗を封じた後は肩に私を担いで意気揚々と歩き出す。

 私はもう全部諦めたので動かない。ピクリともしない。ただ黙って運ばれるだけ。


 オークは気分が良かった。

 実に数ヵ月ぶりの雌が手に入ったからだ。

 ここ数年、雌を手に入れるのが難しくなってきていた。

 それまでは村でも襲えば雌の入手など簡単なものだったのであるが、やられっぱなしだった種族達は憤りが限界を超えて爆発し、それぞれに立ち上がり、力を手に入れて抵抗するようになったのだ。

 そのせいで狩る側から狩られる側へ落ちた。

 村を襲っても雌を手に入れられる確率は"ぐっ"と減った。

 だがそれでも欲は溜まる。

 焦れたオーク達はどうするか。共食い(・・・)を始める者も中には現れるようになった。

 まぁそれは一部で殆どは様々な手段で欲を解消するのだが。


 しかしそんな手段を得たとしても雌を手に入れられるのならば雌に欲をぶつけるのが一番に決まっている。

 発散出来るし、子孫も出来る。例え雌の心が壊れても体が壊れゆくまではそれで遊べるのだから。

 

「ぶひっ、ぶひっ」

 

 オークは上機嫌で仲間の元へ急ぐ。

 今日捕まえた雌は自分が遊ぶつもりだが、場合によっては仲間達にもたまには遊ばせてやってもいいかなどと考えながら。

 巣まで後僅か。

 そこまで来たところでオークは異変に気付く。

 そのとき目の前に"ふらり"と現れる老婆。


「ぶひっ!?」

「やれやれ。本当に面倒ごとだったよ」


 老婆から吹きすさぶ風の如く魔力が迸る。

 オークの脳裏に警笛が鳴る。

 こいつは危険だ。殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ。


「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


 生存本能に従い、雌を放り投げて老婆に突進するオーク。

 放り投げられた雌は先程の狼が走り、その背に優しく受け止める。


「ぶひぶひぶひぶひぶひーーーっ」

「煩いねぇ。たかが豚ごときがあたしに勝てると思ってるのかい」


 老婆はオークに向けて右手を上げる。

 掌に魔力が渦巻く。それはやがて球体となり、炎を帯びる。


「今夜はオーク肉だね」


 老婆はくっくっと笑いながら球体を放る。

 球体はオークの全身を焼き尽くし、そしてオークは果てた。


「あっ、焼き肉の匂い」


 目に光を取り戻した少女のそんな間抜けな声と共に。

悠里「今回はやばたにえんだったー!」

作者「ちょっと懐かしい言葉だね。それ」

フェンリル「やばたにえんって何?」

悠里「危なかったってことだよ」

フェンリル「そうなんだ! やばたにえんやばたにえん・・・。覚えたー」

悠里&作者「可愛い」


悠里「次回 テイム。・・・見えない世界のと・・・」


作者「アウトーーー!! それ以上はダメエエエエェ」

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