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この世界が私の居場所 ~明るく楽しむ異世界生活~  作者: 彩音
第二部 新大陸・学園編
29/56

2-01.愚かなるもの、汝の名は

第二部スタートです。

「アメリア、そっち行ったよ」

「はーい」


 新大陸ことジュレー大陸に渡ってきて早2ヶ月。

 私達[[紅の絆]]と[[大地の息吹]]のラナさんとアンナさんは今現在ワイルドボアと呼ばれる猪の魔物を追って草原を駆け回っていた。

 私とラナさん・アンナさんが魔法によりワイルドボアをアメリアのところへ行くよう追い立てて誘導に成功したら後はアメリアがギリギリまで引き付けた上でその攻撃を避けて首元に剣を突き立て絶命させる。

 このとき命を奪うことに失敗しても剣には雷の魔法が付与(エンチャント)されているのでワイルドボアは麻痺して動けなくなり、結局はその後その命を散らすことになる。のだが今回は一撃で絶命した模様。ワイルドボアは体を少しの間痙攣させていたが、やがて物言わぬ屍となった。

 無事仕留めてノルマ達成。私達は集まり、皆でそれぞれハイタッチを交わす。


「「「「いえーい」」」」

"パーーーーーーンッ"


 ちなみにここに[[大地の息吹]]のリーダーたるリゼさんがいないのにはちゃんとした理由がある。



 こっちの大陸に来て数日後のこと。



 今思い出してもこの大陸に無事来れたのは奇跡としか言いようがない。

 あっちの大陸からこっちの大陸にくる間に私達は何度も嵐にあった。

 一歩間違えたら船は沈んで私達は海の藻屑となっていた。

 この大陸が未開の地って言われるわけだよ。

 大陸から大陸へ渡ろうとすると必ず嵐に遭うらしい。船員さん達から聞いた。

 どんな自然現象だ! って感じだよね。

 情報持ち帰れないから未開になる。身に染みて良く分かった。

 陸についたとき皆で泣きながら抱き合って喜んだのはいい思い出。



 ルハラという国の王都に辿り着いた私達。

 この大陸での仕事を探すためギルドに行ってみたのだけど、なんとこの大陸と私達がこれまでいた大陸ではギルドの名前の呼び名も違う上に冒険者カードも過去の実績もここでは通じないと言われて全部一から始めなくてはならなくなったんだ。

 しかも私達とラナさんにアンナさんは未成年ということで、あっちの大陸では15歳で成人だったけど、こっちの大陸では18歳で成人らしい。未成年がこの仕事を始めたいなら、それ専門の学校に1年程通わなくてはいけないと言われ、やむなく私達はあっちの大陸で言う冒険者ギルド・こっちの大陸ではハンターギルドの紹介を受けて学生をやることになった。

 リゼさんは年齢的に学校は免除。普通に一からハンターとして始められる。だからここにはいないというわけだ。

 試験を受けて無事合格。当然私達は全員やらかした。

 私とラナさんとアンナさんは魔法を扱う試験でオリハルコン製の的をなんなくぶち壊し、アメリアは剣技の試験において僅か数秒で試験官を地に伏せさせた。しかもこの試験官、真銀(ミスリル)ランク。ハンターギルドではAランクと称するよう。相当の人だったらしく、その人に勝った上になんかトラウマっぽいものを植え付けたアメリアは一躍時の人となった。

 このことについてラナさんとアンナさんは「ユーリとアメリアといつも一緒にいるから普通(・・)って感覚忘れてた」と語った。解せない。


 私達強くなってるのかな?

 そう言えばシンシア師匠の家で以来ステータス調べてない。

 私達って隠蔽してるから今は何処で調べても嘘ステータスになるんだよね。

 いつかシンシア師匠のところに戻るときがあればまた調べてもらおう。

 いつになるか分からないけど。


 そりゃもう学園は大騒ぎになった。

 結果、私達は成績が優秀な者が入ることになる特別クラスに全員漏れなく割り当てられることになった。

 私達の実力はそれより上だけど学園にはそれ以上がないからとのこと。

 この学園、寮生活で男女別の他に剣技が得意な者と魔法が得意な者とに女性の場合は分かれているのだけど、そのままだと私と離れることになるアメリアは不満爆発。学園長を脅して無事に私との相部屋を勝ち取った。というかラナさんとアンナさんもほんとは別部屋の予定だったけれど、本来私と相部屋になる予定だった子及び自分達と相部屋になる予定だった子を笑顔で説得。快く部屋のチェンジに応じてもらったようで私達は4人同じ部屋で生活出来ることになった。


 ワイルドボアの手と手、足と足を麻縄できつく結んで手と足の空間にそこらで調達してきた太めで直線的な木を通す。それをアメリアと私の2人が前、ラナさんとアンナさんの2人が後ろで持って「えっほ、えっほ」の掛け声と共に教師に指定された集合場所に走る。


「ただいま戻りました」

「あ、おかえりなさ・・・。え!!」


"ポイっ"とワイルドボアを投げるように地面に置いたら教師達に驚かれた。

 なんで? 今日は野外講習で簡単な(・・・)魔物を倒してみようって授業だった筈だよ?

 言われた通りに倒してきたんだけど、顔を引き攣らせる意味が分からない。

 何か間違えた?


「・・・あの、皆さん? 今日は簡単な魔物を倒すよう言いましたよね?」


 うん。だよね。だからワイルドボアを仕留めてきたんだけど?

 私達は4人で顔を見合わせる。

 頭の中、疑問符。よく分からないので教師に問うてみる。


「はい。なのでEランク相当の魔物を討伐してきました。何かおかしいですか?」


 教師の顔はひくついている。

 数秒何か葛藤して、盛大にため息を吐く。


「ワイルドボアはEランクではなくCランクです。普通ハンター見習いが倒せるような相手ではありません。Eランク相当とはゴブリンやスライムのことです。何処の世界にワイルドボアをゴブリンと同等に扱うハンターがいますか・・・」

「「「「えっ」」」」


 ワイルドボアってCランク相当。中堅ハンター向けの魔物だったんだ。知らなかった。

 ところでこれもらっていいのかな。干し肉作りたいなぁ。


「ユーリさん、考えることは分かりますが。・・・あぁ、もう。好きにしなさい」


 やった!! 早速ラナさんとアンナさんに解体してもらう。

 私やアメリアより作業が上手いのだ。この2人。

 解体作業が終わったらアメリアに程よい大きさに切り分けてもらって塩やコショウ・ハーブなどを私が練りこむ。

 ここで乾燥作業になるけど、私の魔法で一気に解決。

 水魔法を逆流させて脱水効果を生み出しワイルドボアの水分を飛ばすのだ。

 後は熟成。再び水魔法・風魔法・光魔法を全部用いて肉に刻が経ったように錯覚させる。

 これで完成。出来あがったものは自分達と教師と少しずつ集合場所に集まって来ている生徒達にお裾分け。木のコップに水魔法で水を並々と注いだものといつかの村で買ったトゥキビを使って作った焼きトゥキビも一緒に。


「お疲れ様です。これどうぞ」

「あ、ありがとう・・・」

「ユーリが作ったの。うん、これ食べて」

「アメリアさん、ありがとううう」

「ユーリさんからのお裾分けです。どうぞ」

「干し肉? あまり好きではないのだけど。でもせっかくだからいただくわ」

「あの、良かったらこれどうぞ」

「まじで? ありがとう」


 美少女4人から配られるだけあって男性陣は鼻の下が伸びている。

 それを冷ややかな目で・・・。はなく同感の思いで見る女性陣。

 異性からも同性からも四人は憧れの的でかつ地球で言うところのアイドル的な存在になっている。

 密かにファンクラブが設立されているとかいないとかいう噂もあるが真相の程は定かになっていない。

 後、本人達はまったく気が付いていない。

 全員お互いのことや仲間のこと、食べ物と楽しい冒険しか頭にない残念な子達なのでそういう浮かれた事柄にははっきり言って疎いのだ。


 4人集まってワイワイ騒ぎながら楽しく干し肉等を食しているところを同クラスのメンバーがちらちら見る。

 一番人気は不動のアメリア。次いでユーリ、ラナ、アンナと続く。

 そんな場にやってくる空気の読めないゴブリンが1匹。

 この世界のゴブリンは某アニメのスレイされるような気性や強さを持ったものではなく魔物としての荒々しさ・醜悪さは持ち合わせているが極めて弱小な存在。

 ハンターでなくても人族や亜人族のそこそこ力のある男性及び魔力がそれなりにある女性であれば、やり方次第では倒せると言えば大して強くないことが分かるだろう。力のない者や子供には少々厳しい相手であるが。

 尚、スレイされる気性を持った魔物はオークとトロールの2種だ。

 女性ハンターはこの2種について討伐依頼を受けることをギルドから推奨されていない。

 受けようとしたら全力で受付嬢から止められる。それでも行くなら後は自己責任。何かあっても忠告を無視した貴女達が悪いんですよー。ということになる。

 さて、空気を読まずにやってきたゴブリン。

 4人以外の視線が彼に向けられる。

 殺気の篭った数十の瞳。

 ミイラ取りがミイラになったのは言うまでもない。

某アニメの件ですが、作者は多少知っているだけで視たことはありません。

なので作者の考えとアニメの内容とに相違があるかもしれません。

もし違っていたら申し訳ありません・・・。

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