希望と絶望
私は死にたかった。
この世界にうんざりしていたんだ。
だから海に飛び込んだ。
ーーーー
目が覚めたら、見知らぬベッドの上で横たわっていた。
ピッ、ピッ、と心拍数を数えながら鳴る機械音に煩わしさを感じながら、私は窓が隠れているであろうカーテンを眺める。
点滴に繋がれ、心電図も取られている状態で身体を動かすだなんて、私には出来なかった。
壁に掛かった時計を見ると、二時半を示している。
電気が付いていないので、深夜の二時なのだろう。
きっとここは現実で、私はここから逃げる事ができなかったのだ。
一人悲しんでいると、突然振動が感じられた。
体の芯から揺れている感覚。
今まで感じたことの無い恐怖に耐えながら目を瞑る。
そしてついに、私の体は動かなくなった。
恐ろしい何かが近付いてくる感覚に、鳥肌が立つ。
恐る恐る目を開けようとした。正確には開いているのだが、半目とも言えないぐらいしか開いていない。
でも、少し開ければわかる。
先程まで何が有るかぐらいは分かる暗さだったのが、今はもう漆黒の闇。
目の前に何かがいるのは間違いない。
目の前の黒が、何かを言っている。言っているのは分かるのだが、それが何と言っているのかは分からない。
恐怖でパニックになる。
どうしようどうしようと冷静になれ無い脳で思案する。
心電図の音も聞こえなくなって、私の意識もなくなって、いつの間にか、眠っていた。
それから私が起きる事は無かった。