質問②~彼女の目的
離れで質問をぶつけるユウキ
しかし、変わる空気
先程までとは少し空気が変わったのを察したのか、いつになく真剣な眼差しをこちらに向け一呼吸置き、シャーロットさんは口を開く
「はい、どうぞ」
ずっと疑問に思っていたことを聞くときが来たようだ。
「まずは、最初に聞きたい、今更だがどうして俺に声をかけた?ハッキリ言ってしまうが、そもそも女性が一人旅をしているというのに見ず知らずの男にいきなり声をかけるなんて、危ないとは思わなかったのか?」
これは心の中で思っていたことだった。よく考えたら偶然にしてもどこか不自然に感じる。
「まずは・・ということは他にもなにかあるんですね?いいでしょう。お答えしていきますよ、私がユウキに声をかけた理由は・・・その言いにくいのですが貴方を観ていたら思わず・・といった風に本当にたまたまでしたの
貴方の瞳が純粋に世界を見ているようで、ただ、お話がしたいとそう思っていたら自然と声をかけてしまいました。
あの、迷惑でしたか?」
俺は即座に否定する
「いや、そんなことはない!
おかげで本当に助かってるんだ・・お礼を言いこそすれ謝罪などされる理由がない」少し焦って声を出すと
「あら!そうでしたか♪」
俺が慌てて否定することが、彼女にはわかっていましたと言わんげな表情になる。俺が一瞬呆気に取られていると
「フフッ少しですがユウキのことは分かってきてるんですよ、鬼族だというのに・・かなりのお人好しですこと♪」
なんと、俺が質問をしていたはずなのにいつの間にかペースを握られていた?この少女は・・いや、シャーロットさんは一体本当に何者なのだろうか?
「つ、次だ」俺はペースを握られて焦りながらも質問を一つずつ正確に、明確にしていく
「シャーロットさん・・貴女は一体何者なんだ?少女の一人旅に加え、先程からの知識量を考えてみるとどう考えても普通じゃないと思うんだが」
次にするべきはこの質問だろう考え言葉を出した。
が、しかし、この質問をぶつけるとシャーロットさんの瞳は一段と鋭くなり、雰囲気も少し変わったように感じる。
「ユウキさん、それに関して今お答えすることは・・残念ながら一部しかできません。それでもよろしいですか?」
なんだろうか、本当に雰囲気が変わった。しかし、尻込みしている場合ではない
「ああ、話せる範囲で構わない、聞かせてくれないか?」
そうすると彼女は、ゆっくりと話始めた
「・・私は今、簡単にいうと"家出"をしているんです。知識も魔法もすべて私の元居たところで身につけたものです。これらに関しては詳しくお話できません
でも、私が今旅をしているその理由はですね"夢"のためなんです」
「夢?」俺は確認しながら問うた。
「はい、夢です!私は、"世界地図"を作ることが夢なんです」
「世界地図?」
「はい、この世界に大きな大陸が4つ・・とは言いましたが、伝承によると普段は見えない隠された大陸や、まだ見ぬ地平がどこかに広がっているらしいのです!だから私は・・"世界"がみたいのです!!そしてそれを私の生きた証として記すのです!!」
彼女の夢を語る・その表情は非常に輝いていた。
そして次第に真剣な表情になり、彼女は言葉を続けてきた。
「だからユウキ、良ければ記憶を取り戻すついでで構いません。私と一緒に旅をしませんか?次の町までじゃなく、旅に終わりが来るその時まで」
夢とは眼に写らないもののはずなのに、今、俺には彼女の夢がキラキラと輝いて眼で見えているかのようだった。
返す言葉は考えていなかったが、自然と口からこぼれていた。
「ああ、行くよ俺に世界のことは全くわかりやしないが、この眼で見たくなっちまったみたいだ。頼むよ、シャーロットさん」
承諾の返事をすると彼女はにこやかな笑顔で返してくる。
「ユウキ!ありがとうですよ!でも、今からは旅の仲間ですし、他人行儀にシャーロットさんなんて呼ばないで、どうか"アイシャ"と呼んでくださいな!」
「たしかに、他人行儀だったかもなそれじゃあこれからよろしく頼むよ、"アイシャ"」
「はい、ユウキ!」
こうして、俺達の旅は始まるのだった。
記憶を取り戻す必要もあるはずだが、それと同時に彼女の夢の誘いもこれ以上無いくらい
本当に、魅力的だった。
なんかようやく旅が始まるけど・・
まだ二人しか出とらんな(゜ロ゜)
先は長い