質問①
いくつかの疑問を解消していきますが、もう少し続きます。
村長の家で食事をいただき、離れに移動した。さて聞きたいことは山程あるがどこから聞いていこうか・・
と思案していると、シャーロットさんの方から先に口を開いた
「ずっと思ってたのですが・・お名前が無いと言うのはとても不便ですよね?良ければ仮の名前であっても名前をつけてみたらどうでしょうか?」
言われてみればその通りであったが、いざ自分で自分に名前をつけてみるというのはとても難しい事な気がした。
そこで俺はこう告げた。「そうだな・・自分でまともに名乗れないというのは少々不便だしな、だが、自分に名前をつけるというのは少し変な気がするんだ。シャーロットさん良ければ俺に名前をくれないか?」
するとシャーロットさんは満面の笑顔で
「良いのですか!?それは名誉なことです。」ととても喜んでいる様子
だが、いざ名前をつけるとなると少し悩んでいるようで、いくつか確認をされた。
「貴方の・・種族は鬼で顔に見られる特徴はこのウェルス大陸よりイーステル大陸の方に見られる特徴が多いですね?もしかするとそちらの出身かもしれませんし、そちらに多い名前で、こちらでも通り安い名を名乗るのがよろしいかと思います」
俺はなるほど、いった表情で頷く
「そうですね・・"ユウキ"という名はいかがでしょうか?わかりやすく呼びやすい名前だと思いますよ!」
「ユウキ・・」俺は今自分の名になるのかもしれない言葉を呟く、何故か自分の身体に馴染むような気もして俺はすぐに決めることができた。
「"ユウキ"気に入ったよ俺はユウキと名乗ることにするよ。シャーロットさん、ありがとう」
シャーロットさんはテレた様子で「どういたしまして//名前を人に着けるなんてとっても光栄ですよ!」と返してくれる。
こうして会話が始まったところで溜まった疑問を少しずつ解消していくことにした。
「ところでシャーロットさんはアイリス・シャーロットと名乗ってくれたけど二つ以上の名前になることはあるのか?」と、ふと浮かんだ疑問から質問を始める。
「コホンッ名前ですね!これといって規定がある訳ではございませんが、一般的にはその人そのものの名は一つになります。しかし、家族名や名誉から名を増やすことはあります。私の名前は自分の名前と家族名ですね、家族名は結婚してから名乗るようにしたり、親が家族名を持っている場合等に名乗るようになるなど理由は様々です。ですが、名誉名は名乗ることが非常に難しいのです・・国家への貢献や、巨大な組合で多大な名声を集めるなど一筋縄で名乗れるものではありません」
話を聞き、なんとなく分かっていたが説明してるときの彼女はなんというか楽しそうだなぁと感じさせる。
この調子で他のことも聞き出していくことにしよう。
「次になんだが、先程の盗賊を捕まえたときに"隷属の首輪"とかいう物の話をされたな?それは一体なんなんだ?」
「フフンッ隷属の首輪ですね?隷属の首輪とは国家でしか製造を許されていない程危険なマジックアイテムです。隷属の首輪をつけられたものは、その首輪の所有権を持つ者に逆らう行為ができなくなり、基本的に犯罪者を鉱山等で労働に使用する場合等の措置を取るときに隷属の首輪は用いられます。また、許可の無い者が隷属の首輪を持っていればそれだけで罪になってしまいます」
「なるほど、しかし犯罪者を縛りつけたりするのには必要ということか人間もまた貴重な労働力といったところか?」
「まあ、概ねそのような解釈で間違いございません次に何を聞きたいですか?」
もう完全に先生モードであるが、聞き出しやすいのに越したことはないだろうと思い、気にせず質問を続ける。
「この大陸・・・ウェルス大陸といったな?先程もイーステル大陸と言っていた。この世界にはそれほど多くの大陸があるのか?」
「ハイッ!この世界に主な大陸が4つあります。まずは今私達がいるこのウェルス大陸、最も人口が多く他の国と比較して満遍なく技術・及び魔法の発達した大陸と言えましょう!
最大の国家は"グランデ・バラン王国"という国家で、ウェルス大陸の3割はグランデ・バラン王国の物と言えます。ついでにいうと、今私達がいるのはバリエティー共和国の勢力圏内です。バリエティー共和国は種族を最も尊重する国家であり、様々な種族の族長による議会制となっています。」
「グランデ・バラン王国は議会制ではないのか?」とりあえず説明の中であった国家について聞いてみる。
「グランデ・バラン王国は最初に建国した建国者一族による政治が行われています。初代の王の血を引き続けるものの様々な血が混ざり合い、今はハーフエルフの王が国を治めています」
「他の大陸はどうなんだ?」そのまんまの疑問をぶつけてみる。
「他の大陸ですね?それでは・・イーステル大陸を紹介しましょう。イーステル大陸は伝統を重んじ、技術力に秀でた国家が多く、産業が盛んに行われています。特に"ジパング"の有名な職人が打った剣などは一本で城が建つ程の値段がつくこともあるんですよ!鬼族の方も比較的多くすんでいますし、もしかしたらユウキさんのことを知っている方がいらっしゃるかもしれませんね」
鬼族が多いとなると、自分のことを知れる可能性が高まるしもしかしたら家族や友なんかがいるかもしれないし、目指してみる価値はあると思えた。
「大陸は4つと聞いたが後の2つはどうなんだ?」
「あとはサハイリア大陸とル・ノース大陸の2つです。サハイリア大陸には古代の遺跡や広大な砂漠、そして世界最高の観光地と呼ばれるリゾートもこのサハイリア大陸内にあるんですよ!
最後にル・ノース大陸ですが、こちらは大陸そのものがかなり北にあり大半が永久凍土となっています。ですが、資源は豊富にあり稀に凄まじい発掘物が見つかることもあります。冒険のにおいがしますね!」
話も長くなってきたところで一呼吸置きたくなった。だが、次からは聞きたかったことのもっと確信的な部分に触れていかなくちゃいけなくなる。だから、俺は一度深呼吸をしてからシャーロットさんに「今から少し重要な質問をします」
そう、宣言した。
続いたところで重要な話をしていきたいと思います。