村へ向かって
少女の名前はアイリス・シャーロット!
我輩は鬼である名前はまだ無い by主人公
「とりあえず"シャーロットさん"と呼ばせて貰おう」俺はそう告げた。
シャーロットさんは一瞬よくわからない表情を見せたが、直ぐに普通の表情に戻り村へ向かおうと促してきた。
「いいですか、この辺りには獣や魔物等は余り出ないようですが、警戒をするに越したことはありません、しっかりと警戒しながら進みましょう」
とはシャーロットさんの弁である。が、しかし道を知らないとはいえ初対面の男を後ろにしながら歩くとは本当にしっかりと警戒出来ているのか疑問である。
だが、警戒するということは大切だろうと思い周囲をよく見ながら進むことにした。
しかしながら、警戒をするというよりも色鮮やかな緑や澄んだ景色に目が奪われてしまい警戒心というものは次第に薄れていってしまった。
そこで改めてシャーロットさんを観察してみる。俺にしっかりとした価値観や観察眼があるとは思えないが、それでも身につけているローブや帽子は非常に高価そうであり、杖はとても安物とは思えないほどの存在感を放っている。
また、彼女の髪は綺麗で長く艶がありよく手入れされているだろうと思わせ、白く美しい肌からはやはり、ある程度裕福な家庭で生活していたのではないかと考えさせられるが、どうして旅をしているのか・・非常に気になったが今はまだ問うべきではないだろうと思い静かに周囲の警戒に気持ちを戻した。
一時間ほど歩いた頃か、道のど真ん中に壊れた馬車のような物が転がっており、それを見つけたシャーロットさんは急いで馬車に駆け寄った。
が、馬車は壊れて捨てられていたが、中には人も物もなく疑問が頭の中を埋めていくが、不審に思った俺は馬車より一歩離れたところで周囲を見回した。
後で思えばそのときは本当に運が良かった。
偶然俺の視界の端に弓矢を構えた男が映り、今まさに弓をこちらに放ったのである。
俺は飛んで来た弓矢をどうにか掴むことに成功し、叫んだ
「シャーロット!!罠だ伏せろっ!!」
ビクッとしたシャーロットは壊れた馬車の中で身を屈めて、杖を握り馬車の中から周囲を確認し始めた。
つかんだ矢を捨て俺は、敵に向かって突撃をし始めた。頭では分からなかったが、この身体は理解しているようだ。"これは戦いであると"