俺
「豊かなところだな」自然と俺の口からはそんな言葉が漏れ出ていた。
緑が溢れ、近くには澄んだ川も流れている。
そんな景色を見ていると、俺は自分の置かれている状況も全く理解出来ないというのに気がつけば自然と歩き始めていた。
しばらく歩いていると遠くに湖が見えてきた。
足は自然と湖に向いて動いており、気がつけば湖畔までもうすぐであった。
風景ばかりに気をとられていて自分のことを考えていなかったが、ここで初めて自分の存在に疑問を覚えた。何の気なしに頭を掻いてみて思わず飛び上がりかけてしまった。
「え?俺の頭角生えてんの?」急いで湖に近寄り水面を覗き込んでみると立派な角が生えていた。それもまさかの二本もである。驚いて口を開けるとなんと歯も尖っているように見える。目の色・髪の色が黒く、肌は薄いオレンジに近いような色をしている。
こういった部分に違和感はないものの俺自身の記憶がないため断言は出来ないが、恐らく角や牙は元々なかったものだと思われる。それは身体に違和感こそないが、それを見たときにまさしく異物であるように感じたためである。
そこで俺自身の身体をなるべく正確に調べるため身につけている物や身体の特長を確認していくことにした。
まず、記憶はない・・が物の知識つまり、これは木であるとか湖であるとかはわかる。わかるというより知っているに近いような気もするが・・
見た目は湖と目で見える範囲でしか確認できないから正確にはつかみきれてない場所があるが、やはり気になるのは二本の角に尖った歯あと、強いて言うなら自分の身体にしては大きいし筋肉質であると感じてもいる。
そして身につけているものは、どうしてあるのかも分からないが着ている服とおまもりのような物が首からぶら下がっているだけだ。
自分のことなのにわからないことが多過ぎて不安な部分もあるが、これは自分なのだ。
襲いかかってくる悪党ではなく、自分自身なのだと思えば少しは不安も解消されるというものだ。
しかし、これから何をしたら良いかもわからず
湖に沿って歩いていくことだけをまずは考えたのであった。
頑張って連載したいと思います。
下手くそですがご指摘、評価していただけると幸いです。