もふもふ
「耳と尻尾」
社長のよく分からない力で、わたしは転生をした。そして見たことのない世界へ降り立った。同時に、耳と、尻尾の存在に気付いた…のだけれど、想像していたのと激しく違う……これって、ただの獣じゃん!
長い耳、丸い尻尾…白くてふわふわしてて、一般的にはもふもふの感触? ウサギって! わたし、転生しても人間でいさせてもらえないの? それともそんなに最初のミクロ星人と星を息で吹き飛ばしたのが社長の怒りに触れたのかな…はぅぅ……芸能界厳しいなぁ。果たしてわたしのやってることが芸能なのかは微妙なんだけど。くよくよする前に、こうなったらウサギを堪能しなきゃ!
ぴょんぴょんぴょん……うわーすごい軽く動けるわ! 草地の上でこんなに軽やかに移動できるなんて最高!! それに細かい音とか聞こえるし、耳の長さは伊達じゃないのね。あははー楽しい! その辺の草がとっても美味しいなんて、これも転生のおかげ。ウサギっていいかも。
って…何かを忘れている気がする……ううん、それどころか人間の言葉すら忘れかけて来ているような……ハッ!? ダメダメ! 目的は恋だってば。誰かと…ううん、何でもいいから胸がドキドキするようなシーンを作らないと人間にすら戻れない気がしてきた。
「誰かいませんかぁ~?」
と言うウサギ語? でどこかに語り掛けてみた。すると、何かが動いた気がした。近付こうとするわたしに襲い掛かって来たのは…大きな虫。と言ってもウサギなら勝てる相手。なのに、もの凄く驚いたのと、虫が目の前にいて怖くて逃げ惑ってしまうわたし…
「パシッ!!」
何かが虫を叩き落とす音。そして怯えて丸くなっていたわたしの背中辺りにポンっと手を置かれたきがして、後ろを振り向くと…同じ姿のウサギさんがいた。
「あのあのっ、助けていただいてありがとですっ! お名前はなんとおっしゃるのですか?」
「僕はロロ。生まれは地球の日本さ。キミもそうじゃないのかい?」
「えええっ? ロロさんも、もしかして転生を? じゃなくて、社長をご存じとか?」
「うん、僕も同じプロダクション所属。男だけど、アイドル志望なんだ。キミもかな? ルルコさん」
「わたしの名前…あ、すでに聞いていた? ですかっ? そ、それならわたしのことはルルと呼んでください! ロロさん、あのあのっ…ウサギ歴は長いのですか?」
「ルルさん…面白いね。ウサギ歴? うーん…どれ位経ったか分からないけど、半年くらいかな? 少なくとも、大抵の奴にやられるようなイメージのウサギではないね。だから、問題ない」
「す、すごいですっ! あのっ、一緒にいていいですか? わたし、1人だけでは心細くて…それに、その」
「恋愛…でしょ? 僕が言われたのは恋愛じゃないけど構わないよ。ルルさんと一緒にいようか」
「あっありがとですーー! も、もう一つ気になるんですけど、転生してウサギをしているみたいですけど、元に戻れるんですか?」
「まぁ、戻れるでしょ。僕もルルさんも最初の仕事がまだ出来てないし、二人で目的が達成できればいいし、アイドルの道はグッと近付くよ。だから、よろしくね」
「は、はいっ! よろしくですっ! ロロさん」
ウサギに転生してどうなることかと思ってたけど、心強い味方がいてよかった。それに、ロロさんは男みたいだし、あわよくば恋を…ふふっ……何か、幸先いいかも。まずはウサギ生活楽しまなきゃ――