プロローグ
恋をするのがお仕事です! 作:ハルカ カズラ
わたしはアイドル志望の瑠々子
アイドルに必要な笑顔、スタイル、話し方…全てを兼ね備えていると言っていい。……とは言っても、現時点で自称にすぎないけど。
そもそも人前に出るのが苦手だし、男の人も苦手。……問題は引きこもり生活18年であること。
友達もいないし、芸能にツテもない…あぁ、もうどうすればいいの? でもチヤホヤされたい…
わたしはネットで人脈を探しまくった。それはもう、ありとあらゆるサイトに飛びまくった。
そして見つけた、変な名前のプロダクション。もうこの際、どこでもいいや。変な事されなければ…。
歪み世界と異常なる高みへようこそ――「オールアバウトプロダクション」
全てに関すること? なのかな。ここでわたしはアイドルの高みを目指せるのかな?
「……あの~? 入りますよ?」
ひと気のない空間…ううん、ただただスクエア。椅子も机もないし、誰もいない部屋……
もしかして間違えたの? そ、そんなはずないんだけど…
「よく来たね――」
「わわっ!? ひ、人が居たんだ。人? 人なのかな…何だか気配が」
「キミはアイドルになりたいんだね? でも、恋も知らない、男も知らない…おまけに引きこもり。そうかそうか、逸材だね。いいね。所属決定だ」
「ほ、ホントですか! で、でもわたし、地味だし華が無いし…歌も歌いたくないです」
「全部まとめて面倒見るよ。あぁ、ウチは普通のアイドル事務所じゃないから」
「え、もしかして危ないお仕事…?」
「いいや、君の仕事は恋愛をすることだ。しかも人間だけじゃなく、人外その他もろもろね。そして、君自身を磨いてもらう。それで万事オーケーだね」
「え? 人外って何…? 恋愛がお仕事? それがアイドル…なの? えええぇぇぇ」
人間、そして人外…わたしのアイドルへの道は、恋愛をすることから始まるみたいです――