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プルスラ1.5

割と有用な情報もあったりするから盗み聞きもバカにできないんだぜ?

だがまぁ、餅は餅屋さ。詳しい話が聞きたいなら情報屋をたよるといい。

なに、アネさんのスリーサイズを教えろだと~。

くっくっくっ、その情報は高く付くぜ。ほとんどの成人エルフがほぼ同じ企画してるって知ってたかい?

スレンダーだし、見ただけで“ない”の三拍子だっってわかるだろうしな。

エルフは容姿にこだわらないのも特徴だけど、そこはアネさんの名誉のために企業秘密って事にしておこうや。


「クノイ、ちょっと来て手伝ってくれや」


おっと、人気者はツラいね。


裏口のほうから声を掛けられ、プルプルと赴けば、そこには見慣れた髭モジャの解体員と、


少し前に来たばかりの黒髪の冒険者が一人。

あまり話したことはないが、オレと言う存在を受け入れるのが早かったから、コイツは召喚系のハズレ勇者じゃないかと疑っているんだが、今の所あまり強くなりそうもないんだよな。


「オレ氏きたよ」


挙手をしながら二人の前に躍り出る。やる気と演出は大事だからな。


「オレ氏ってなんだ?それよか、コイツ今から薬草拾いにいきたいらしいから道案内について行ってやってくんねえか」


「ご褒美は?」


「帰ってきたら、チーズ分けてやるよ」


「OK任せろブラザー」


生きるための養分はどこかの地面に座ってるだけでどうにかなるが、口で食べてたら味がわかる。


人の食べる食糧は、本来オレには必要ない物だが、嗜好品としての機能は活力になる。少々まわりの扱いが安い気がするが、飯の御相伴に預かれるなら敢えてのろう。

魔物は買い物に出歩けないから、オレがギルドや冒険者から料金を取る事はないぜ。

まぁ、断る事も出来るが、たまにこうして働かないと追い出されても文句を言えないから、従うだけさ。


「持ちやすいように縄かけたからよ。移動は手で振り回すように持ち歩くか、背中にしょってもらえるかい?」


首に荒縄を巻き付け、先端部を冒険者に渡すと、嫌そうに顔を歪めた。


何、気にすんな。


背中に回してもらえりゃ後は舌ベラと手足をダランと伸ばして静かに垂れ下がっとくからよ。15メートル級の1/144??1/100??のガレキとかプラモデルサイズと大差なので、歩いて人について行くのは少々厳しいので運搬は譲れない。


重さは二キロあるかないか、ちょっとした荷物が増えるようなもんだが日頃から荷物を持ち歩く冒険者なら大した違いじゃないだろう。


何が不満なのかね?腰にウエストポーチ回して貰うのもありだけど意外に揺れるし、アレが臭い奴あるから、担がれるくらいがちょうどいいんだ。


「万が一敵が来た時は、勢いつけて草むらにでも投げてくれれば勝手に逃げるからよ」


間違っても魔物の口とかに投げてくれんなよ?

基本的にスライムなんか食べたがる生き物いないけど、飲み込まれた先にある胃液は存外に強いから溶かされれながら食われたくはないからな。


「で、カタノ荷物が増えるがいいか?」


「えぇと、それは構わないんですが…」


冒険者カタノは、何かを言いよどむ素振りを見せている。あれかい?道案内には頼りないか、魔物だから裏切りそうとか考えてないか?


「安心しろ、クノイはテイムしてない魔物だが、スラムの案内役よか信用できる」


まがりなりにもオレは一魔物である。

オレより信用がないとか、スラムの奴らはは哀れでしかないよ。


「オレは備品の貸し出し扱いだから解体しようとすんなよ?」


「備品…」


遠出するときに連絡用に伝書鳩貸し出したりするから、ギルド近くにゃハト小屋がある。

オレは人権はないから、身元登録のかわりにハトと同じ備品として登録されてんのさ。


「今から行く森なら大丈夫だろうが、コレが死んだら高くつくから気をつけな。若過ぎて魔石のカケラもないしな」


魔石が取れる年になったら何も言わずに〆られるんですね。わかります。


カタノも微妙な顔をしているので元気付けてやろう。


「まぁ、育てた家畜が〆られるのはよくある話さ、カタノが気に病む事じゃねえ」


ただ、見捨てて逃げたりしたら末代までよ?


「〆ねぇからお前は黙ってろ」

「悪いね性分だ」


―賢いオレは黙れないのさ。


カタノが森の中を歩く中。

いつしか、背中に背負われていたオレは、手足+舌をだらんと垂らしてリラックス。


仕留めたウサギか魚のような目をするのがポイント。


このままギルドに帰れば、有無を言わさず解体に回されるかもしれねぇ…。


カタノは大人しい性格みたいだから、こんなイタズラで迷惑はかけられねぇから人目がない間だけ、だらけさせてもらうさ。

それから、ちょいと聞き出した話なんだが、しばらく前までカタノは別の街でひと月くらい仲間だと思っていた連中と冒険者をしていたそうだ。


登録した日に、若い冒険者のパーティーに誘われて、参入手続きからなにからやってもらったつもりだったらしい。

そうして、依頼量の分配は普通に貰えてたが、そいつ等は仮登録だけしか処理しなかったらしくランク上げに必要なポイントは全く入ってなかったんだそうだ。


つまり、パーティーに登録されていたのは他メンバーだけで、ポイントが反映せずランク下位のままで気が付きかけた時にパーティー全員ドロンしていたそうだ。


それ所か、若い冒険者達からの話では、“カタノがパーティーに入れろとしつこく付きまとっていた”からギルドに相談した上で手続きをしてもらい。

パーティーの女に手を出そうとしてきととても堪えられないからカタノには内緒で移動するだなんて話になっていたそうだ。


まぁよくある登録詐欺らしいが、担当の女職員が美形好きのお人好しだったから簡単に騙されちまったらしいな。


パーティー全員美形だったらしいから、その職員は自分が騙されていたなんて頑として認めないし、それどころか人前で罵倒してきたんだそうだ。


ギルドに、調査依頼を出した所街から追放処分されたらしい。

追放処分と言っても一つの街への出入りができないだけで、ここの街では関係ない。


この街のギルドで事情を話した所、ギルマスがその街のギルドに調査を入れてくれたらしい。


それもこれも、カタノに事情を裏付けられるだけの強さがあったのに不当にランクが低く、同時期にDから急激ランクを上げたパーティーがそれなりに有名で、カタノの所属していたと話したパーティー名も一致したとか。


ギルマス曰わく、人格などマイナス評価でギルドがランクを上げさせないのはよくある事だが、実力より高いランクを与える事は命に関わるので禁止事項なんだそうだ。


Cランクは、四人パーティーを組んで、Bランクの魔物一体を倒せれば成れる。


しかし、CランクとBのランク冒険者では目に見える違いがある。


個人でBランクにあがるには、Bランク魔物を二体以上を一人で倒し、自力で帰還できる事が最低条件。


パーティーなら、メンバー人数の倍の数のBランク魔物を討伐し街に帰還するか、Aランク魔物を一体を余裕でもって倒せる事。

Bランク魔物は群れて行動する物が多いが、Aランクは単体がほとんどで、内訳はレア種の狼や熊で、人が集まればCランクだけでも倒せなくはない。

ドラゴンとか単体で国を落とせるレベルの魔物は更に上のSランクで、Bランクがダース単位でいても討伐は難しいようだ。

とにかく、Bランクはこの条件をクリアしていればギルマスの判断で、そのままAランクに上げる事も出来るらしい。


Aランクは、ギルドの顔になるから、ギルマスと拠点の街から離れない事が条件になるらしいけどね。


ほとんどの冒険者が、Cランクではあるが、Cランクなら十分信用に足るし、街一番の冒険者グループがCと言う街は多数存在する。


Cで一流、Bで超一流、Aで英雄ね。



あと、カタノの性格も大人しすぎる。

話した感じかなりドライな思考をしている。

騙された事も、少し話して難色を示すようなら、もう諦めようと思っていたくらいらしい。

ただ、運良くギルマスの耳に留まり呼び出されて根ほり葉ほり聞き出した上でギルマスの判断で調査を始める事になったらしい。


ギルマスは、貧弱な爺さんだけど、年寄りだからこそ聞いてくれてくれたんだろな。


因みに、男で痩せてんのにタレパイしてるらしい。


…意味分からん。


そんなんだけど、カタノは人を直ぐには信用しないようにしているらしい。


口に出してる時点で無理だよ。性根が真面目すぎる。

いや、騙すだけの知能がないと思われてんのかも知れないけど、魔物は人じゃないから大丈夫とか今後が不安過ぎて怖い。


魔物もこの辺りのは苦にならないらしいし、ヘタにコイツが盗賊とか助けた場合。盗賊に同情の余地があったりしたら。そのままソッチで成り上がったりしそうでやだー。


そのカタノは、依頼の量より多めに薬草を採集した所で満足げに呟いた。


「よし、ノルマ達成」


採りすぎて困るもんじゃないが、余剰分は買い取りが安くなるからお勧めできないんだが、不良品があった場合の予備のつもりらしい。


「おつかれーす」


しかも、リュックに入れてるフリはしてるけど、リュックの容量が増えてる気配がない。

はっ、魔物相手なら特売のほうれん草の束くらい誤魔化す必要ないってか?


因みに、作業中に落とされたくないから、リュックの近くの木の枝にフックで引っ掛けて血抜きされているウサギが三匹ほどあり、匂いに誘われてやってきた魔物は両手の指を越えている。


前の詐欺パーティーはCランクだったらしいが、これで最下位ランクのままとかバれるに決まってるしょう。


カタノ独りだけだったら、余裕でB位になれてそうだぞ。


一応、ギルドのランクはポイントを集めて上げていくもんだけど、ギルドの実力者と組み手して勝てれば飛び級もできるらしいからな〜。


「カタノ、君馬鹿だろう…」


「…ふぐぅっ!?」


笑顔をうかべ、見えない刀で切られた大阪人みたいなリアクションをするカタノ。

彼には、同情するより辛辣な言葉を捧げてあげたほうが喜ばしいようです。


「カタノがサバサバした性格でよかったね。もし本当にストーカーしてたら、きっとない余罪を付けられて奴隷にされるよ」


「そんな人ばっかりじゃないと思うけど…」


「甘い、あのギルマスでさえ普段から袖の下渡して下準備してんだぜ?そこらのボンクラの余罪なんざ“一文字二文字書き足すだけの簡単なお仕事です”よ」


「クノイのネタは、弄りすぎてが分かり難いです」


「考えるな感じろ」


「考えなくていい返事してください」


サンドイッチを頬張るカタノの下で、ズボンに落ちてくるパン屑をチマチマと拾い啄む。


もともとこちらのパンは、水分が少なくパサパサしてるんだけど、それに加えサンドイッチに切り分けてから時間経って、持った付近がカリカリと砕けやすくなって食べカスがポロポロ落ちてくるのね。


え、素直にご飯を分けてもらえ?


いやいや、基本的に食べなくていいし、若い冒険者は大概貧しいから、心苦しいから遠慮したのさ。


「あっ、落としt*◆#%¢$っ!?」


「食い物は大事にしろといっダーンク!」


半分たべた所で、 カタノの手元からサンドイッチが落ちてきたので、あわてず騒がす飛び上がり、キャッチした勢いのままカタノの口にダンクで押し込んでやる。



食べこぼしは処理してやるが、地面に落とした物を食べるのだけはオレのプライドが許さない。


「成敗!」


悪をを成敗したかは分からないが、なんとなく背中を向けてキメポーズ。


おお、口の中一杯でもがいておるわ。


…どないしよ。


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