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21.メルティース侯爵家

「さて、着きましたわ」


 そう言って馬車から降りるシルフィオーレ様。後ろに続いてミルさんが降りるけど、僕を見てチッと舌打ちをする……ううっ、今日何回目だろうか。僕がその事に落ち込んでいると


「……ミル、いつまで前の事で怒っているのですか。これからは一緒の屋敷で働く仲間、仲良くしてください」


 ミルさんは物凄く嫌そうな顔で僕を見てくるけど、シルフィオーレ様の命令なので渋々、わかりました、と頷く。


 そうだよ。これから一緒に働く仲間なんだ。こんな事で負けていられない。僕は目の前に建つ大きな屋敷を見る。以前にも一回来たけど、やっぱり大きいなぁ。これから僕が働くメルティース侯爵家の屋敷は。


 カルエルがお店にやって来た日、僕とミランダさんはシルフィオーレ様に買われた。これはここに着いた半年前から決まっていたらしく、前もってその日には終わるだろうという事をシルフィオーレ様に伝えていたそう。だから、合格を言い渡された日に来たみたい。


 それから、あっという間に連れてこられた僕たち。特段持って行く荷物もなかったため、本当にあっという間だった。


 そして、今、僕はパンツ一枚で立ち尽くしています。周りにはこれから一緒に働く侍女さんたちがいるのだけど、ニヤニヤとしながら僕の体を触れて来ます。


 別にいやらしい事を……この人たちの顔を見ていたら少しはあるのかもしれないけど、実際にはこれから着る服の採寸をしてもらっているだけ。その時にちょっと体を触れてくるだけ。それだけ……たったそれだ。


 1時間近くの採寸が終わると、僕より2つ上の執事見習い、レッグさんに屋敷の中を案内して貰った。僕はどうやらレッグさんと同じ執事見習いになって働く事になるようだ。


 茶髪で僕より背が高くイケメンだ。べ、別に悔しくなんて無いやい!


 それから、1時間ぐらい屋敷の中を案内されて、色々な人と挨拶を交わしている間に、この屋敷の主人が帰って来たらしい。この屋敷の主人といえば当然シルフィオーレ様のお父さんになる。


 ……って事はメルティース侯爵という事だよね。うわ、そう思ったら物凄く緊張して来た。


 この屋敷の中を回っている間に作られていた執事服に袖を通す。うん、完璧に服に負けているね。こんなパッとしない男が執事服着ても駄目だよ。


 少し丈が長い気がする執事服を見ながら部屋を出ると、部屋の外には侍女服を来たミランダさんが立っていた。ミランダさんは僕と違って何を着ても似合うなぁ。


 お互いに服装を褒め合いながら目的の場所に向かうと、そこにはメルティース侯爵と侯爵夫人、シルフィオーレ様に、シルフィオーレ様の兄のケイオス様が待っていた。


 夫人はシルフィオーレ様をそのまま成長させたような風貌で姉妹と言われても信じてしまうほどだ。


 ケイオス様は身長が180ほどのイケメンだ。夫人譲りの水色の髪がより爽やかさを出している。こんな優しそうな見た目なのだけど、所謂二つ名ってやつが『斬鬼』っていうのだから信じられない。剣の腕はこの国で5本に入るのだとか。


 そして、父親であるレギオン・メルティース侯爵様は、騎士王の次に強いらしい。見た目は正直に言うと僕より年下に見えるけど、実際には夫人の倍以上は確実に生きているのだとか。


 僕は初めて見たけどエルフ族らしく、今の見た目で成長が止まったそうなのだ。エルフ凄え。


「久し振りだね、ミランダ。君の家の事を助けられなくて悪かった。まさか、僕がいない時を狙うなんて」


「いいのです、旦那様。このように買って頂けただけでも、私は感謝しかありません」


「身分は奴隷だけど、ここでは家族だ。何があろうと僕たちが必ず守るから安心しているといい」


 その言葉にミランダさんは頭を下げる。か、かっこ良すぎる。ただでさえイケメンなのに、心までイケメンなんて。中身だけでも見習いたいものだ。実力が全く伴っていないけど。


 侯爵とミランダさんの話が終わると、侯爵は僕の方を見てくる。


「そして、君は珍しい無属性らしいね。面白そうだから僕が鍛えてあげるよ(僕の可愛くて綺麗で大切な娘の胸を触ったお前を殺す)」


 侯爵の言葉にみんな色めき立つけど、今副音声に殺すってあったよ!? やばい、僕死んだかも。 

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