DISC1,現実嫌いの詩島詩音
ストーリーや内容を前回よりもわかりやすく、かつ面白く(なってたらいいな)改変いたしました。
それでもまだ、見苦しい文章や訳の分からない場所がところどころ目立つかも知れません。
拙い文章ですが、どうぞ楽しんで『アニ論』の世界を楽しんでください。
詩島詩音は現実が嫌いだ。
人は彼に現実を押し付けた。
彼の夢を嘲笑った。
だから、彼はこの言葉が大嫌いだった。夢を語って何が悪いのだろうか?現実を直視して一体何が変わるのだろうか?今を見つめることが、 未来を見据えることが、そんなに偉いのだろうか?
それが彼の言い分。
大人は大人に現実を見据えろと言われてきた。
その大人の大人から『現実を見ろ』と言う事象を伝承されてきた。
そんな世界の中で時折、夢を追う輩(詩音の様な)が出てくるが、そういう奴は大体が馬鹿にされるのがテンプレート。
馬鹿にされた夢見人は負けるもんかと泥水啜って前へ進む。そうして現実信仰派を見返す為に勝ち取った栄光を胸に、「お前はすごい」と讃えられるのはほんのひと握り。泥水啜って腹を下す奴らが大半。
この世界はそう決まっている。
そうなると栄光を勝ち得なかった大半の、その後の人生は容易に想像つく。馬鹿にされるのを悔しがっていた奴らは、「最初から現実と未来を見据えればいいものを……」と更に馬鹿にされる。更に馬鹿にされた負け組の心に、闘争心なんて名前の炎は泥水に濡れて消えてしまって、その結果、見据えたことの無い現実を見ることになる。
俺は後者だった。
俺の胸に負け組だと自覚はあった。
小説家になりたい為に、高校を1年で中退して一人暮らしを始めたし、家族にもそれなりに迷惑をかけたと思う。でも、この行動が自分勝手だとは思わなかったが、それなりに引き目を感じている。
そんな俺は、現実から背を向けることを選んだ。
それが、俺の言い分だった。
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「いやぁ……今回のフェアリーハートも随分と派手な演出多かったなぁ……」
暗闇の中、返事なんて返ってくるはずもなく、最近話題の魔法少女アニメ『フェアリーハート』の感想を淡々と述べる彼こそが、何を隠そう現実嫌いのひねくれ者、志島詩音である。
年齢は17歳、自称小説家で生粋のアニメオタク…勿論、童貞であり、17年間彼女がいた瞬間なんてものは存在しない。
現在は小銭稼ぎの為に、工事現場での労働の日々に追われている。いわゆる社会の犬、良い言い方をすれば縁の下の力持ちとでも言い換えようか。
さて、このカーテンのしまった暗い部屋で、アニメ会談(1人で会談とは滑稽だが)に花を咲かせている彼が、本心いったい何を考えているのかと言えば、『寂しい』の一言に尽きるのだろう。
当たり前だ。
しつこい様だがカーテンの締め切ったこんな暗い部屋で1人、ブルーライトに目を焼きながら、美少女が空を駆け、右手のステッキから米国軍もおったまげるほど強力なハート型のビームを放ち、街をボロボロにした挙句、愛らしい声で『事件解決!!』そのまま、ハッピーエンドに持っていく。そんな現実とは掛け離れた非日常異次元空間に想いを馳せているのだから。
先も言った通り、詩音は現実が嫌いだ。だから、アニメにハマる。詩音の好きなアニメは楽しいことの探求であり、面白いこととの出会いであった。
しかし、誰も彼もが知っている。この薄い液晶画面がどれだけ大きく、強大な存在なのかを、もちろん彼自身よく分かっていた。
現実世界では有り得ない。心躍る冒険譚や胸弾む青春群像劇、物理法則を無視した世界の存亡をかけた悪の結社との白熱したバトルなど、絶対に有り得ない。その憧れと現実の谷の中で、彼は言葉に出来ない『寂しさ』を1人で抱えていた。
つまらない世界で、つまらない日常を送りながら、詩音は1人願う。『何かが起きないだろうか?』と、つまらない世界をひっくり返す様な、奇々怪々、奇天烈、奇想天外な冒険の日々の始まりを諦めながら期待していた。
────そんな彼の期待を、神はきっと粗末に扱わなかった。
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ある日、一人暮らしを始めた。
俺は自分で言うのもあれだが寂しがり屋だ。
一人暮らしを始めた時は、ホームシックで冗談抜きに死にそうになったほど。
俺の両親は大手IT会社の実業家で成功を収めた人物だ。だから、俺の家は、自分で言うのもあれだが豪邸で俺の家庭は裕福だった。俺の身の回りには常に付き人がいたレベルだ。家に帰れば両親と、俺にやけに風当たりの強い妹がいた。
俺の家庭環境はこんなところ。
正直言えば、一人暮らしなんかしないほうが良かったと、たまに思うことがある。
しかし、それじゃあどうして、俺が一人暮らしを始めたのかというと、それは小説家になる為だった。
当時の俺は本気で小説家を目指していた。俺には才能があると思っていたし、数々の作品を観て読んで、沢山のことを学んできたし、何より俺は物語を考えるのが大好きだった。未だに忘れたことは無い。あれは小学四年生の夏休み。ふと、何を思い立ったか、幼少の俺は自分の部屋の棚から新品の自由帳を取り出し、綺麗な字とは呼べない殴り書きで初めて小説を生み出した。
今考えれば、面白みなんて微塵もない詩島詩音の歴史史上最大の駄作になるのだが、悲しい哉。俺はその自由帳を自分の家族、詩島家に使える使用人に見せて回った。
小四の俺がそんなものを持って見せれば、大人は当たり前だが、褒める。
事実、俺は妹以外に褒められた。『詩音様は才能がありますね』だの『こんなに面白い小説読んだことがありません』だの、それで辞めていればいいものを、言葉に踊らされて天狗になり、書きまくった。
書いて書いて書きまくった。
そして、ついこの前まで、詳しく言えば小説の応募コンクールに二十八回落ちるまで、俺は調子に乗り続けていた。
中学の時に、担任に「高校行かんで、小説家になろうかと思う」と言った時、『現実を見ろ』と怒鳴られた理由がよく分かった。友達が「お前の小説、正直つまらん」と言った時、コイツには俺の小説の良さが分からないんだな。と割り切ったが、友達の方が正しかったと、ようやく気づいた。
数ヶ月前、小説を書くために一人暮らしを始めた。
そこで俺は悟った。俺に才能なんて裕福なものは無いと。
────低い天井が目に映る。
頭の横のスマホがピピピピッとけたたましいアラーム音を上げ、震え、暴れていた。
「もう……朝か……っていつの間に寝たっけ?」
詩島詩音の朝は早い。
現在午前の6時、いつもの様に床に敷き詰められた様々なコードの類を跨ぎながら、部屋の中を移動していく。そんな時に毎度のことながら、俺の目に映るものは、壁一面に貼り付けられたアニメのポスター、黒い棚に数々の名作ラノベとその上のショーケースの中に並ぶフィギュア達。
そんな俺のコレクションを横目に洗面所へと足を進め、洗面台の前に立ち鏡に映る自分と対峙する。
ザッパリと切った面白みのない黒髪に、面白みのない黒目(タレ目)。アニメに出ようものなら確実にモブキャラ確定のような容姿。17年間見続けた顔に今更感想なんてない。
支度が一通り終わり、長年使っている青色のリュックを背負い、壁掛けのデジタル時計に目線を上げる。表記は緑色で7:10を表していた。
この後、俺が向かおうとしている工事のバイトの開始時刻は9時。
「まだ、時間はあるか」
時間はあるが、家にいてもすることのない俺は、遠回りをしてバイトに向かうことを決め込む。
軋む廊下を進み、靴を右足から履き、ドアに手を掛ける。
「それじゃあ…行ってきます」
割と大きな声が、部屋の中に響き渡る。
最後にもう一度言おう。
詩島詩音は一人暮らしだ。
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家を出て川沿いの道を進む。
いつもの風景。
空を見れば、朝焼けの中に淡い色の雲が千切れるように浮かび、今の時期、川に花びらを浮かべている桜の木々の合間から四月の太陽が、まだ肌寒い空気に触れている体を暖かな光で包み込む。
綺麗な風景だ。
だが、先も言った通り、いつも通りの風景でもある。見慣れてしまった。木々からの陽光も、すれ違う野良猫も、途中、川の向こう側に覗かせる、朝の静かな商店街も、見慣れてしまった。つまるところ、詩島詩音という『ひねくれ者』でもあり、常に『愉楽』を探求している様な好奇心旺盛な少年にとっては、少々面白みに欠ける。そんな当たり前の風景だ。
そのまま、道なりに素直に真っ直ぐ歩みを進め、二つ目の信号を左。次を右に曲がる。
足を進めると、街という風景の中に忽然と大きな更地が姿を表した。
そうここだ。この田舎とも都会とも言い難い微妙な都市を組み立てる開発区画。
ここが、仕事場だ。
『聖華結社』という名の、今日、日本が世界に誇る企業を知っているだろうか?
『オートマティア』という自動防衛ロボットの開発で大成をおさめ、今や様々な研究と開発を行っているそんな企業だ。その聖華結社が全国各地で都市開発を始めた。約二年前の事だ。その都市開発の一環がここ。
話によれば、この廃れた街を統括するための巨大な高層ビルだという。とは言っても俺達の様な下請け会社に任される仕事なんて、大したものではなく。そもそも俺に限って言えば、何を作ってるかなんて正直どうでもいい。俺は人並み程度に働いて、暮らしていける程度の小銭が稼げればそれで十分だった。
遠くの山並みに、太陽が吸い込まれていく。紅い夕日が俺の体を、街並みを、空に浮かぶ白い綿を赤く染め上げ、夕焼けの景色を生み出していく。
泥に塗れた作業服の袖口で、頬を伝う汗を拭う。一息つく為に、プレハブ小屋に隣接したベンチに腰掛る。いつも俺がこの時間に思うことといえば、休憩を含め約9時間に及ぶ労働の疲れを風呂で泥と一緒に落としたいということ、それに尽きる。
とはいえ、一人暮らしの身。当然、家に帰っても程よい湯加減の風呂や、湯気の立つ食卓が用意されている訳もなく。帰ったらすべて自分で用意しなければならないのが億劫。
なんてここで愚痴をこぼしても変わらない。愚痴をこぼして空から女の子や、料理上手の幼馴染が現れるなら、どんなに楽なものか。今日はとりあえず、帰ろう。そう思い立ち上がった時に、ふと昨日の自分との約束を、思い出した。
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昨日の夜のことを思い出した。
昨日の夜。アニメを一通り見終えた詩音は、満足感に浸りながら、瞼が眠気によって閉ざされそうになっていた。
『寝よう』
心に決めこみ、真夜中の習慣を行う。真夜中の習慣というと、響き的にえも言われぬいやらしさに包まれるが、詩音の行いはいたって一般的で健全なこと。歯を磨いたり、風呂に入ったり、少々の水分を摂取したり。その程度のことだ。そんな習慣の一つ、寝る前にトイレで用をたす。
その時に問題が起きた。
いつもの様に、トイレ内の灯りを灯すためにスイッチに指を当て、力を込める。
パチッという特に変哲もない音が耳に届き、トイレの扉を開く。
すると、そこにに暗く深い闇が一面に広がっていた。
俺は不思議に思い、半身扉から出してスイッチを再度確認する。確かにONの方向に倒れていた。
すると、この状況はある一つの結論に至る。
「電球切れたのか」
商店街の小さな電気屋。店の前に展示されている大型テレビが目印のどこにでもある電気屋だ。昨日の俺との約束、電球の買い出しをしにここに来た次第なのだが、寝惚け眼の俺はどうも肝心な部分が抜けていて、それに気付いたのはここに着いてからだった。
「サイズ、どれだ?」
目の前の金網に掛けられた箱に入った電球達を前に、軽く絶望しかけていた。一刻も早く風呂に入りたい。飯を食いたい。総じて休みたい俺が、電球を買うためだけにここに来たというのに、箱に記された様々な記号や言葉に惑わされて、どれを選んでいいか分からない。一人暮らし以前、こういうことは、執事かメイドさんがやってたから、分からないのは当たり前なのか?大体、俺が電球を買うことに慣れてないから、電球が切れた時にサイズとか確認するのを忘れるんだ。
しかし、まじまじ電球を見ると、一種のゲシュタルト崩壊を起こしそうになる。
「……しょうがない。また別の日に出直すか」
軽く嘆息を吐いて、その場を後にする。
電気屋から出ると丁度六時のパンザマストが商店街に響き渡る。もうそんな時間なのか。辺りを見れば自転車の籠にレジ袋を乗せた主婦の方々や、黄色い帽子を被り黒いランドセルを背負った小学生。男女で並んで、楽しく下校を楽しんでいる高校生が目に映る。
「俺も早く帰るか。風呂入って、飯食って、アニメ見て、今日は寝よ────」
その時。まさにその瞬間だった。
突如、背後の電気屋のテレビの液晶画面が今はもう懐かしい砂嵐を映し出す。ザァーザァザァー。電波的で耳障りな音を辺り一帯に轟かせ、五時のパンザマストをかき消していく。
道行く人が立ち止まる。
電気屋の店主が「ついにイカれたか?」と外に飛び出してくる。
先程の小学生は雑音に驚いて、涙目になっていた。
砂嵐は数秒で収まった。
その後に映ったのは、黒い仮面を被った白衣の男だった。
「全国の日常を謳歌している諸君……すまない。まずは急に驚かしてしまったことを謝罪しよう。私の名前は神祇官康納。知っている人は知っているかもしれないが、『聖華結社』の創設者であり現社長を務めている者だ。ただ今、ちょっとした実験の準備段階でね。君たちは言わばモルモットという訳だ……理解出来るかい?」
いきなりなんだ?
神祇官康納?
聖華結社ってあの聖華結社のことだよな?それに今、俺達がなんだって。モルモット、実験台ってことか?
いろいろと話が見えてこない。今日はエイプリルフールだったか。いやそんなはずはない、俺の記憶違いか1ヶ月時間が戻ったりしていなければ、そんなはずは。
「さて、君たち『オタク文化』をご存知かな?今や日本が誇るカルチャーでもある存在だ。アニメにゲーム、アイドルにマンガ。その他諸々、まぁ沢山あるわけなのだが。その存在が消せるとしたらどうだろうか?」
「なにいってんだ?」
「1・2・3の合図でスッと全てを忘れてしまうとしたら……おっと楽しい会話はここまでの様だ。準備が出来たようなのでね。画面の前の諸君。覚悟は良いかな?君たちは間違いなく今世紀最大の手品を見ることになる。長話は嫌いなんでね、それじゃあ早速────」
「……1──」
康納が左手を挙げる。首元を掠めるような、舐めとるような、不思議な悪寒が恐怖が首を包む。
「……2──」
画面にひどい歪みが表れる、歪む画面。ポリゴンショックの様にヂカヂカとした多色光を放ちだす。音にも若干のノイズが混じり始める。それと同時に悪寒は、形ある死神の鎌と化し、首に鋭いソレを掛ける。
「……3────!!」
男の合図とほぼ同時に、死神は鎌に力を伝え、鎌は力がかかるまま容赦なく俺の首を掻っ切る。
明らかな死の意識。
終わったと自覚する時間。
これ以上はもう……その次の言葉を放つ前に、死神は手を打った。辺りに散らかる鮮血、俺の網膜に映る。力なく前に倒れ込む、その衝撃は無く。静かに目が閉じる、その感覚は皆無。
俺は電気屋の前に立っていた。
正確に言えば、テレビの前に一人。鏡で確認していないから分からないが、酷い顔をした少年が俺が呆然と立ち尽くしていた。
「今のは一体?」
そんなことを口走りながら、左眼を抑える俺は傍から見れば痛いヤツに写っていることだろう。
死神を見た。
鋭い刃を見た。
首を斬られる痛みを知った。
生暖かい血を感じた。
なのに俺は生きていた。
両足でそこに立っていた。
首から上は転がっていなかった。
簡単に言えば正常だった。
眠すぎて夢でも見ていた?
夢だったのか、あの放送が?
周りを見れば、普通の日々。いつも通りの光景。そして流れていく日常。
奴は言った記憶を消したと、なんの?答えは簡単だ。オタク文化の記憶をだ。俺は全てを覚えている。もしかしたら忘れていることにすら気づいていないのかもしれないが、記憶の穴らしきものは見当たらない。ということは、だ。もし仮に、あの放送が本当だったとしたら、実験は失敗?
分からない。
「とりあえず、今日は……帰ろう……」
トボトボと歩む足取りは何とも危うく、
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詩音が電気屋の前で立ち尽くしていた頃、街を見下ろすように高層ビルの屋上にその二人は立っていた。
一人は少女。
白色のシャツとチェックのスカート。高校の制服を身に纏った彼女は、肩まで伸びたフワッとした蒼髪を風にはためかせ、髪と同じ色の目で、遠くの山々を見つめている。
そんな少女がポツリ、
「始まってしまいましたね、先輩」
と悲しげに話しかける。
先輩と呼ばれた。もう一人。
十代後半から二十代前半に見えるその男は、腕組みをし、堂々とその場に構え立っている。燃えるような赤髪にそれと同様の色をした赤い目。肩に羽織った季節外れのワインレッドのロングコートを風に揺るがせ、ニヤリと笑みを零している。
「あぁ、始まったな。崩壊の記録と俺達の戦いが……ようやく」
眉をひそめ訝しげに少女が問う。
「なんだか先輩。楽しそうですね。こんな状況だっていうのに……もしかしなくても馬鹿なんですか?」
「たまに結構きついこと言うよな。そりゃあ、たしかに迷惑な話だし、結構ヤバイことが起こってるってぇのは俺自身、理解してるつもりだ。だけどな、俺達が記憶を失わなかったには理由がある。その理由も俺は、すでに、理解してるつもりだ。だから、俺が救う。この世界も、罪なき人々も、俺が記憶の鎖から解き放ってやるさ」
力強くそう答える。
「全ての自称に理由あり、ですか。私の質問に対して答えになってないのは置いと来ますね。それより、どうするんですか?今後、目星目的は付いてるんですか?」
強い風が吹く。
コートが夕日を悪戯に反射し、激しく揺れ、男は瞳を閉じる。少女は知っていた。こういう時、この男が何を思っているのか。何を考えているのか。
ゆっくり音もなく男が瞳を閉じるその行為の意味を少女は知っていた。
はぁ、と深い嘆息。
「わかりましたよ。何も考えてないんですね。いいですよ、私はどこまでもついて行きまし、私の中の“剣”も力になるって言ってますから」
「そうか、ありがとよ。感謝するぜ。それじゃあ行こうか、俺達の記憶を取り返しに────」