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ヒカリとキオク  作者: 有沢 諒
ほんとうのじぶん
13/45

挙動不審

「はよ、ヒカリ」

「・・・おはよう」


 迎えに来てくれたリュウは、登校時間を早めたからか、生あくびをかみ殺している。

 一方、私はというと・・・。

 昨日の今日で気持ちの整理がついていなくて、リュウの顔すらまともに見れない。


 なのに。


「ヒカリ? ・・・どうかしたか?」


 急に顔を覗き込まれてびっくりする。


「な、なにが・・・?」

「・・・なにがって」


 覗き込まれて否応なしに合ってしまった目を逸らす。

 リュウはちょっと驚いたような呆れたような雰囲気で、瞬いていて。

 わかってる。どう見たって挙動不審だってことは。


 でも、本当にどうしたらいいのかわからないから、ちょっと放っておいて欲しいっていうのが本音だ。

 下手したら赤くなりそうな顔を必死で抑えて、とりあえず表情には出さないようにしてそっぽを向く。

 理由はどうあれ、放っておいて欲しいという雰囲気は伝わったのか、リュウはちょっとため息を吐いて。


「ま、いっか・・・行くぞ」


 そう言って歩き出したから、ほっとした。



 **********



 学校に着くと、リュウは宣言どおり、昨日までみたいにずっと一緒にいる事はなくて。

 休み時間は、仲が良いらしい男子たちとしゃべったり、お昼もユリちゃんが私と一緒なのを確認してから、同じ仲間で食べていた。


 リュウの前にいると、どんな顔をしたらいいのかわからないから正直ほっとする。


 けど・・・。


 こうして離れてみると、複雑な気持ち。

 ずっと、リュウはヒカリにばかりを気にかけてくれていて。

 ウザいとか思ったことは無かったけど、過保護すぎとは思っていた。


 そうやって一緒にいたときは気づかなかったけど。

 リュウには普通に友達がいて、仲が良いのはヒカリばかりじゃなくて。

 そんなの当たり前のことなのに、現実に目の前にすると、なぜかモヤモヤする。


 ・・・なんだろ、これ・・・さみしい・・・のかな。


 ずっと、自分ばかりを見てくれていたリュウの存在が遠くなったから。

 そんな気持ちになったのかなと漠然と思った。

 お弁当を食べながら、こっそりリュウのことを見ていると。


「・・・あの、ヒカリさん」

「あ、なに? ユリちゃん」


 リュウが『ユリちゃん』と呼んでいたから、いつの間にか同じように呼んでいるが、彼女は特に嫌そうな顔もしなくて、ちょっとほっとする。


 ユリちゃんは、少しだけ後ろの・・・リュウたちのいる方を気にして、なにやらバカ話で盛り上がって、こっちを気にしてない様子なのを確認してから、少し声を潜めて言った。


「昨日の放課後、リュウ君とケンカしたってホントですか?」


 食べてたものを噴出さなかったのは奇跡だろう。

 咀嚼途中だった卵焼きをごっくんと飲み込んで。

 更にペットボトルのお茶で流し込んでみたけど、動揺する気持ちまでは飲み込めなかった。


 ええと、つまり・・・・・・。


「それって、もしかして・・・ウワサになってるとか?」


 質問で返すと、ユリちゃんはちょっと困ったみたいに眉を下げて、こくんと頷く。


 あああぁぁぁ・・・マジですか。


 いや、ちゃんと考えれば昨日の自分は普通に目立っていた。

 止まらなかったとはいえ、泣き顔のままこの教室に入ったし、クラスメイトも何人か残っていたし。

 そのまま校門まで行ったから、クラスの子たち以外にも、泣いてるところを見られてる。


 それに。


「ヒカリさんの目じり、ちょっと腫れてるっぽいですし」


 言われて、つい頬を触る。

 さすがに昨日あれだけ泣いたらちょっと腫れてしまったのだ。

 それでも、良く見れば程度なんだけど。


 でも・・・。


「ケンカじゃないの・・・私が情緒不安定になっちゃって、一方的に怒鳴り散らしたっていうか・・・泣きまくっちゃって。でも、おかげでちょっとすっきりしたの」


 微笑むと、ユリちゃんは目を瞬いて。


「なら、良かったですね」


 微笑んでくれたから、嬉しくなって頷く。


 だけど、昨日のあれは失敗だったと、ひそかに落ち込む。

 ヒカリがウワサになりやすいんだって、昨日認識したばかりだったのに。

 やっぱり泣きながら移動するのは良くなかった。


 でも、不慣れな学校で一人きりで泣ける場所なんてわからなかったし。

 とにかく帰りたくてしかたなかったから。


 しかもウワサの内容がリュウとケンカって・・・。


 あながち外れてもいないから性質が悪い。

 その上、今日からは少し距離を置くことにしたから、傍から見たらケンカしてるって思われても仕方ない。


 ・・・でも、リュウとずっと一緒にいたら、今の私は心臓がもたない。


 ちらっと視線を投げると、ちょうどリュウもこっちを見て、目が合ってびっくりして視線をそらしてしまう。

 リュウはちょっと驚いたみたいに目を見開いていて。


 うわあ・・・余計に変なウワサがたちそう・・・。


 でも、どうしたって平静ではいられないんだから仕方ない。

 バツの悪い思いでいると。


「・・・でも、それなら今日はなんで、そんななんですか?」


 心底不思議そうなユリちゃんの声にハッとする。

 自分でもわかってる・・・挙動不審だって事は。


すみません、長くなりすぎたのでシーンぶった切ってます(^^;

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