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第5話 夢の中の出来事と五助のおねしょ

これは、第1回なろう文芸部@競作祭『キーワード:夏』投稿作品です。

寝る前には必ずトイレへ行くようにしましょうね。五助くんのように、妖怪が恐くてトイレに行かなかったらおねしょをしてしまうぞ~

 「五助どの、もう朝になりましたぞ」

 「う~ん…。あっ、今まで見ていたのは夢だったのか」

 五助は、耳元に入った甚兵衛の声を聞いて思わず目を開けると、自分がいるのはお布団の中であることに気づきました。どうやら、今まで見ていたのは全て夢の中での出来事だったのです。

 「五助どの、きょうも夜中に便所へ行っていたそうだけど」

 「じいや、どうして知っているの?」

 「ははは、わしはぐっすり眠っていても、五助どののことはすぐ分かるんじゃ」

 甚兵衛は、ぐっすり眠っている状態であっても、五助が夜中に家の向かいにある便所へ行ったことを知っています。ぐっすり眠っていた甚兵衛がどうして五助の行動を知っているのか、五助は不思議そうな表情をしています。

 「さあ、五助どのの掛け布団を今からめくろうかな」

 「えへへ、じいや…」

 「五助どのが言わなくても、毎朝必ず見せる表情はいつものことだものね」

 甚兵衛は、これから五助の掛け布団をめくろうとするところです。その時、少し赤らめた顔つきで笑顔になっている五助を見た甚兵衛は、毎朝見せる五助の表情に微笑みながら安心しています。

 そして、甚兵衛は五助の掛け布団をめくると、いつものようにやさしい表情で笑顔を見せながら五助のお布団を見ています。

 「ははは、五助どのは今日も見事にでっかくて元気なおねしょをやっちゃったなあ。おねしょをするのは子供にとって立派なことじゃ」

 「じいや、今日もでっかいおねしょをしちゃったよ。夢の中でがんばり入道の顔におしっこをいっぱいかけちゃったんだ、えへへ」

 五助は、今日もでっかくて元気なおねしょをお布団にやってしまったのです。でも、甚兵衛はでっかいおねしょをするのは子供にとって立派と笑顔で励ましました。これを聞いた五助は、夢の中でがんばり入道におしっこを命中させたことを照れた表情を見せながら言いました。

 「五助どのは力が強くて何でもこなす子供だけど、便所でのおしっこやうんちはまだ一度もできないし、妖怪は見ただけですぐ恐がるんだよね」

 「便所へ行くことや妖怪を見ることだけは、本当に恐いんだもん…。夜中に便所に行ったときも、便所の中に人魂とがんばり入道が見ただけですぐ恐くなってお布団の中にもぐり込んでしまったんだ」

 甚兵衛は、五助が便所でのおしっこやうんちが全くできないことを知っているし、妖怪を見ただけですぐ恐がってしまうことも知っています。五助は、それでも夜中に1人で便所へ行けるようにがんばっているのですが、今回も人魂やがんばり入道を見ただけですぐ逃げてしまい、結果的に五助は妖怪の恐怖に震えながらお布団の中にもぐり込んでしまったのです。その後、がんばり入道の顔面におしっこをぶっかけましたが、それはあくまで五助の夢の中の出来事に過ぎませんでした。

 五助のお布団には、その夢の出来事の証拠でもあるでっかいおねしょの地図が見事に描かれています。そして、五助がいつも付けている青い腹掛けの下の部分もおねしょでぬれています。

 「まあ、便所や妖怪が恐いというのも、大人になればそういうのは恐がらなくなるだろうし、わしは五助どのがいつもおねしょしても全く気にしていないぞ」

 甚兵衛は、五助が大人になれば便所や妖怪を恐がらなくなると思っているので、五助が毎日おねしょしても全く気にしていない様子です。

 「これからも、ぼくがお布団にでっかいおねしょしちゃっても、じいやにおねしょしたお布団を見せてあげるよ!」

 「ははは、お布団へのおねしょは、五助どのがいつも健康で元気な男の子である立派な証拠でもあるからね」

 五助は、でっかいおねしょをしても、おねしょ布団を甚兵衛に見せてあげると元気な声で言うと、甚兵衛も五助のおねしょは元気な男の子である立派なシンボルであると微笑みながら言いました。


 「おっ、五助どのがやっちゃったおねしょの地図は、いつも見てもすごいなあ」

 五助がやってしまったおねしょ布団は、いつものように庭にある物干しに干されています。そのお布団には、でっかいおねしょの地図が描かれていることもあって、甚兵衛はそれを見ながら目を細めています。

 「えへへ、ぼくは昨日の夕方に桶を持って水汲みに行ったときに、大きな滝から流れ落ちる水を飲みすぎてしまったんだ」

 「ははは、夢の中でがんばり入道におしっこをいっぱいぶっかけたのはそういうことだったんだね。これだけのおねしょをすれば、五助どのが今日も元気で健康そのものということがよく分かるぞ」

 五助がでっかいおねしょをしちゃったのは、昨日夕方の水汲みの際に大きな滝から流れ落ちる水を大量に飲みすぎたからです。これを聞いた甚兵衛は、五助の夢で登場したがんばり入道の顔面におしっこ噴水を命中させたのはそういうことだったのかと笑顔を見せながら言いました。そして、甚兵衛は五助が元気で健康であることがよく分かるのは、いつもお布団におねしょをするおかげであると五助を褒めました。

 「でも、くれぐれもお水の飲みすぎには気をつけようね」

 「じいや、これからは水の飲みすぎには気をつけます、えへへ」

 甚兵衛が水の飲みすぎに気をつけてほしいと五助に言うと、五助は少し照れながらも水を飲み過ぎないように気をつけると笑顔で答えました。


 しかし、その日も五助は水汲みのついでに、滝の水をガブガブと飲み続けてしまいました。そして、その夜も五助はおしっこをするために便所へ行くも、そこで妖怪に遭遇してすぐにお布団の中にもぐり込んでしまい、結局は次の日も五助はでっかいおねしょをお布団と青い腹掛けにしてしまいました。

 五助が、お布団へのおねしょをするのが治るのはまだまだ先になりそうだけど、そんな五助をやさしく見守る甚兵衛のおかげで、五助は立派な武士になるために今日も稽古を続けています。

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