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第4話 妖怪がんばり入道と五助のおしっこ

これは、第1回なろう文芸部@競作祭『キーワード:夏』投稿作品です。

寝る前には必ずトイレへ行くようにしましょうね。五助くんのように、妖怪が恐くてトイレに行かなかったらおねしょをしてしまうぞ~

 「お、おしっこがガマンできないよう…」

 五助は、おしっこが再びもれそうになったので目を覚ますと、おねしょをしているのかどうかを確認するために掛け布団をめくりました。幸いにも、五助のお布団にはまだおねしょの地図は描かれていません。これを見て、五助はひとまずホッとしています。

 「も、もれそう…。今度こそ、便所へ行っておしっこをするぞ…」

 五助は、自分の腹掛けの下を両手で押さえながらおしっこがもれるのをガマンしています。部屋の中はまだ真っ暗闇のままですが、さっきと違って、五助は早くおしっこがしたいという思いが強くなってきました。

 五助は、すぐに土間のところへ下りてから引戸のところへ行きました。その間にも、おしっこがいつ出てもおかしくない状況なので、引戸を開けている間も足をバタバタしています。

 「もれるっ…。おしっこがもれるっ…」

 引戸を開けた五助は、腹掛けの下を両手で押さえながら、向かい側にある便所へ行きました。真夜中で暗闇に包まれていますが、今の五助にそれを考える余裕はありません。

 五助は、便所の前にたどり着くと、急いで開き戸を開けるとそのまま中へ入りました。しかし、五助が入った便所の床は竹張りとなっています。

 「ギギィ、ギギッ、ギギギィーッ…」

 「うわわっ、下から妖怪が現れそうな雰囲気が…」

 五助は、竹張りの床を歩くたびに不気味な足音が聞こえることに不安を感じずにはいられません。しかも、さっき便所へ行ったときとは違って、月の光がごくわずかに入ってくるだけで、ほとんど真っ暗闇であることも五助の不安感を増幅させています。

 「さっきまで暑かったのに、便所に入った途端になぜか寒気を感じてきたなあ…。また妖怪がこの中にいるんじゃ…」

 五助は、便所の中に再び妖怪が現れることへの恐怖から、夏の暑い時期であるにもかかわらず、急に寒気を感じるようになりました。すると、五助は、おしっこがもうガマンの限界になってきました。

 「おしっこ、おしっこが出るよう~。でも、暗闇の中だから長方形の穴に落ちないようにしないと…」

 五助は、さっき便所へ行ったときのことを思い出しながら、おしっこをする場所である長方形の穴をゆっくりと歩きながら探しています。その間にもおしっこが出るのをガマンするため、五助は腹掛けの下を両手で押さえ続けています。

 すると、さっきと同じように便所の中が急に薄明るくなりました。五助は、便所の中が明るくなっている間におしっこをしようと、すぐに長方形の便所の穴があるところにしゃがみ込もうとしました。

 ところが、しゃがみ込もうとした五助の目の前に、長方形の便所の穴から毛むくじゃらな両手が突然現れました。

 「うわわっ、うわわわっ、便所の穴からまた妖怪が出たあ!」

 毛むくらじゃな両手を見た五助は、あまりの恐ろしさに竹張りの床に思わず尻もちをついてしまいました。すると、便所の穴から何やら不気味な声が聞こえてきました。

 「ふひひひひ、お前は性懲りも無く便所へまたやってきたのか」

 「ぼくは、おしっこがしたいからここへやってきただけだい!」

 五助は、不気味な声に怯えながらも、目の前にいるかもしれない妖怪には負けたくないという思いもあります。しかも、ずっと続けているおしっこのガマンも限界であることから、五助はすぐにでもおしっこがしたいのです。

 「今までおしっこやうんちでこの便所へやってきても、その度に大失敗しているのは誰かなあ…。ふひひひひ」

 再び便所の穴からの声を聞いた五助は、これまで便所へ行ったときのことを回想しました。それは、五助がこれまで便所へ行って、自分でおしっこやうんちをするのが一度も成功していないのです。


 「うわわっ、うわわわっ、便所から妖怪が出てきたああ!」

 便所の穴から現れた妖怪が五助のいる方向へ近寄ってくるので、五助はあまりの恐さにそのまま便所の外に出て地面に尻餅をついてしまうそうです。そして、五助は地面に尻餅をつくと同時に、ガマンできずに地面に見事なおしっこやうんちのおもらしをしてしまうのです。

 「ははは、五助どのは今日も便所ですることができなかったね」

 「じいや、また失敗しちゃった、えへへ」

 尻餅をついちゃった五助は、自分がしてしまったおしっこの水たまりやでっかいうんちを甚兵衛によく見られます。でも、甚兵衛はそんな五助に対してもやさしい言葉で言ってくれるので、五助も少し恥ずかしがりながらも笑顔でおしっこやうんちを失敗したことを甚兵衛にいつも言います。


 そうは言っても、五助としては便所の中で1人でおしっこができるようにしたいところです。9歳になっても、便所で失敗してばかりというのは五助にとっても恥ずかしいと思っています。

 五助は、手前にある長方形の便所の穴をまたぐようにしゃがみ込みました。すると、五助の左右真横が突然青白く明るくなりました。

 「急に明るくなってきたぞ…。これって、もしかして…」

 五助は、恐る恐る顔を左の方向へ振り向きました。すると、青白い人魂が五助の目の前に現れました。

 「わわわっ、人魂がまた出たあ、出たあああっ!」

 五助は、青白い人魂を見ただけで、恐がっている表情を見せながら、便所の穴の手前の床に尻餅をついてしまいました。しかし、それはこれから起こるであろう恐怖の序章に過ぎません。

 「ふひひひひ、そんなに便所で大失敗するためにきたのなら、わしがこの手でたっぷりと楽しませてやるわ。ふひひひひ」

 五助の目の前には、毛むくじゃらな妖怪が便所の中から突然現れました。それは、鋭くとがった爪を持つ両手を含めて、体全体が毛で覆われており足の無い妖怪です。

 「わわっ、うわわっ、さっき見た毛むくらじゃな両手を持った妖怪が…」

 五助は、その毛むくらじゃな妖怪を見て逃げ出そうとしますが、腰を抜かして足を動かすことができません。

 「ふひひひひ、わしの名前はがんばり入道というもんじゃ」

 「が、がんばり入道って、今からぼくに何をするつもりなの? こっちにこないで、こないで!」

 「お前がこないでと言えば言うほど、こっちはお前が地獄を見るまでかわいがってやるさ。この手でな!」

 がんばり入道は、自らの顔を五助の顔に近づけると、妖怪がとても恐い五助は顔に汗をにじませながら、がんばり入道と顔を合わせないようにしています。しかし、五助が味わう妖怪の恐ろしさとしてはまだ序の口です。

 「うわっ、うわわわっ、ぼくの両脚を握って何をするんだ!」

 「ふひひひひ、お前の腹掛けが見事にめくれてかわいいおちんちんが丸見えになっているのう、ふひひひひ」

 がんばり入道は、自らの両手でいきなり五助の両脚を強く握りました。そして、五助の両脚を握りながら五助の体を竹張りの床に倒しました。すると、五助がつけている青い腹掛けがめくれると同時に、五助のかわいいおちんちんががんばり入道に見られてしまいました。

 「ほれほれ、お前はずっとおしっこをガマンしているようだが、そのままガマンしても大丈夫かな?」

 「ぼ、ぼくはおしっこするのをガマンできるもん!」

 がんばり入道は、五助がおしっこをガマンしていることをすぐに察知すると、おしっこのガマンをできないようにするために、五助の両脚を上下に揺すり始めました。しかし、五助はそれでもおしっこのガマンを続けています。

 「わしは、お庭に干されたお前の恥ずかしいおねしょ布団をいつも見ているからなあ。おしっこのガマンがいつまで続くかな? ふひひひひ!」

 「うぐぐぐぐっ…」

 五助は、この場から逃げたくても、がんばり入道が両脚を強く握られていることもあって逃げ出すことができない状態です。がんばり入道は、自分の両手を五助の太ももに握りかえると、竹張りの床に倒している五助の体全体を持ち上げました。

 「さあ、そろそろおしっこが出るころじゃないかな? ふひひひひ」

 「お、おしっこは…ガマンできるもん…。あっ?」

 がんばり入道は、五助の太ももを握りながらそのまま持ち上げたのは、五助がそろそろおしっこが出るのではと見越しているからです。五助は顔に汗をにじませながら、おしっこガマンを続けていると、お尻から元気な音を便所の中に響かせました。

 「プウ~ッ! ププウ~ッ!」

 「うっ、わしの顔に大きな屁をこきやがって…」

 「えへへ、おならが出ちゃったよ」

 五助は、がんばり入道の顔面にでっかいおならを2連発したのです。五助がお腹にも力を入れながら、必死におしっこをガマンし続けているときにおならが出てしまいました。がんばり入道は五助のおならがくさくてたまらない様子です。

 そして、五助は元気なおならをしたことでお腹の力が抜けると、ついにおしっこのガマンができなくなりました。

 「わしの顔に向けて屁をこいたやつはただでは…」

 「ジョジョジョジョジョジョバジョバジョババァ~、ジョジョジョジョバジョバジョババァ~」

 「お前は、今までガマンしていたおしっこをわしの顔に大量にかけやがって、やめろ! やめろ!」

 五助は、ガマンしていたおしっこをがんばり入道の顔面に噴水のように大量にぶっかけました。大量のおしっこを顔面にかけられたがんばり入道は、五助に何度もやめろと言い続けていますが、五助は今までガマンしていたおしっこを一気に出し切ったのか、すごく気持ちよさそうな様子です。

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