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名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
最終章 変嬢の行く末
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第十一話 セフィニエラ

 クェフード大陸。

 イルディオ王国・ミゼファル沖六百キロ。

 セフィニエラが二人。

 そこに居た。


「どきなさいよ! 私はリースのところへ行くのよ!!」

「早く行かなくては間に合わなくなるでしょう?!」


 取り乱し気味の二人は同じ場所で、何もない場所を見つめて言う。


『ダメだ。ここより先は許さない』


 突如として響いた声。

 その声の主の姿はない。


「よほど消されたいようね」

「どうなってもしらないわよ。大陸」

『掟は絶対。何よりお前の力は私に届かない』

「わからないでしょう? そんなこと!」

「さぁ。そこをどきなさい」

『無駄だ。諦めて帰れ』


 冷たくあしらう声。

 セフィニエラはこれに顔を険しくさせた。


「よほど消されたいようね」

「えぇ。消して差し上げましょう」

「そうね。消しましょう」


 二人は微笑み。

 同じ術を展開した。


 否。


 展開しようとしていた。



「こらぁ! サラぁ!! 何をしているのっ!!」

「「?!」」


 突如響いた女性の声。

 これにセフィニエラは平常心を保てず。

 初めて術の展開に失敗した。


 セフィニエラは恐る恐る振り返り、その声の主を確認し、目を見開いた。

 

  

「「う、そ……」」

「なにが嘘なの? サラ」


 優しく微笑むその人は、金糸の様な髪に錆色の瞳を持ち。

 セフィニエラの妹であるミフェイアに良く似た顔立ちをしており、何より。

 

 彼女が幼いころに失った母。


 フィルフィリア・ディア・ローダンに良く似ていた。


 彼女の昔の名は。

 

 フィルフィリア・ディア・イルディオ。

 

 イルディオ王国の王女でありながら、他国の王子との結婚を蹴っただけでなく。

 王の歴史であり、血統を示すそれらを建物ごと焼失させたのち。

 身づからの父である王のみならず、国の重鎮、民衆たちに対し『反対すれば国を消す』と脅し。

 恋仲であったローダン伯爵家に嫁いだ恐怖の王女。


 そして。

 

 愛する者のために我が道を突き進んだ女傑として有名な、莫大な魔力をその身に宿した女性その人だった。


「「そんな……まさか…………。だって、母様は――」」

「リースが、残りの命と体。すべてを使って、私をこの世界に還してくれたのよ」

「「?! りーす、が……?」」

「……えぇ…………」

「それ、じゃぁ―――」

「りーす、は……」


「死んだわ」


 二人のセフィニエラは目を大きく見開き、ぽろりと涙をこぼした。


「でも、じゃぁ、どうして母様が生きていられるの?」

「そうよ! リースが生きていないなら、どうして、母様が――」

「それは、貴女もでしょう? サラ」

「「っ……!」」

 

 セフィニエラは互いに顔を見合わせ、言葉を失った。



 * * *

読んでくださった皆様へ、大事な警告です!


次話が、本格的なバッドエンドです。


流れからして後味が酷く悪いようですので、とりあえず此処が【終章】の完結。

完結です。

なので。

次話は飛ばして、その次の話の半分から読み始めて下さい。


次話を読むか読まないかはあなた次第です。


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