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名門貴族の変嬢 作者:双葉小鳥

第三章 伯爵家末娘となった変嬢

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第五話 『王子様』

「あぁ。僕のこの美しさに見惚れていたんだね。そうだろうそうだろう美しいだろう。ファランの国花で大輪の優雅なエズリーの花のように美しいだろう? なんといってもこの僕は【ファランの青い宝石】と名高いエヴィロバン・アルフレッド・ファランだから。さぁ。見惚れてくれて構わないよ」
 ………………絵に書いたような『王子様』は何かを言い始めました。
 『ふぁらん』と『えずりー』って何かしら?
 お花の名前かしら?
 それとも食べ物?
 ……わからないわ。
 ついでに。
 あまりにも長かったのでそれ以上耳が言葉を受け付けませんでしたわ……。
 まぁ、それは良いとして……えっと。
 先ほど名を名乗られたような気がしますが、右から左に聞き流しておりました故、覚えておりません。
 どうしましょう。
 困ったわ……。
 『こんな変な方と話をした』なんて、テノールに知られたらなんと言われることでしょう……。
 きっと怒るわ。
 『危機感が足りません』って……。
 そんなことないと思うのよ?
 私は。
 でも、テノールたちは皆口をそろえて『足りてないどころか欠落』って言うのよ?
 おかしいわよね?
 だってここは、故郷ではないのよ?
 だから私を付け狙う黒幕なんていないの。
 なのに皆心配性なんだから……。
 もう少し肩の力を抜いたらいいのに…………。
「全ての絵師がこの僕の美しさに絵をと言ってくるんだ。もちろん、書かせてやるさ。そして多くの女性は僕が美しいゆえに――――」
 あら?
 何か聞こえ……? 
 ……あぁ、すっかり忘れていましたわ………………。
「あの、お話し中に失礼ですが、どちら様でしょうか……?」
「なっ……?!」
 『王子様』は驚愕の表情で絶句。
 その後。
 崩れ落ちました。
 嗚呼。
 とてもとても嫌な予感がします。
 お姉様以上にめんどく――いえ、その……その様な気配を感じるの…………。
 そしてその『王子様』は数分後に回復して、私に身分を明かして下さいました。
 『ふぁらん』は国の名。
 『えずりー』がその国にしか咲かない大輪の青色で、それはそれは美しい華なのだそうです。
 正直に言って、興味すら湧きません。
 大体、私。
 この国の名すら知りませんのに……隣の国の名など教えられても、覚える気にもなりませんわ。
 だから適当に聞き流しました。
 でも、『王子様』はとても熱心にお話ししてくださって、『少しはきちんと聞かなくては』と思いましたの。
 だけれどね。
 私の耳って、一度『どうでも良い』と判断したことは聞こえないみたいだわ。
 『何か言ってる』ぐらいしか記憶にありませんもの。
 ちなみに今現在の『王子様』はどこからともなく取り出した水筒からお水を飲んでおられます。
「ふぅ。そこで、君に僕をもう一人作ってほしいんだ」
 水筒の蓋を閉め、『王子様』はそう言いました。
 って……あら?
 依頼だったの?
 もう。
 それならさっさとそうおっしゃって下されば良かったのに……。
「私は構いませんが、報酬はテノールに聞いて下さいませね?」
「あぁ、ありがとう」
 『王子様』がそう頷いたので、術を展開。
 いつも通りの右手の人差し指から血が流れ、闇色の陣に吸い込まれました。
 この間『王子様』大興奮。
 唾がとっても飛んで来ていて、『なんでこうなるんだ』と『どういう術式なのだ』としきりに叫んで居ます。
 もうハッキリ言って鬱陶しいです。
 あ。
 はっきり言い過ぎました……騒がしいの。
 とっても。
 まぁ、耳の傍ではないことだけが救い、なの……?
 …………『出来れば早く出て行ってほしい』と願うのは、酷いことよね……。
 分かっているわ。
 でも、切実にお引き取り願いたいの。
 だって、彼の背後に現れたテノールと(背中に赤ちゃんを背負った)料理長が怖いわ。
 刃物を手にしているんだもの……。
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