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名門貴族の変嬢 作者:双葉小鳥

第三章 伯爵家末娘となった変嬢

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第三話 恐怖

「――――それで、貴様はどうする気だ……?」
 静かに問う声は感情の見えないほどに平坦なもの。
 でも。
 その声を発した方は、額に青筋を浮かべ。
 顔に掛かる鮮やかな赤い髪を掻き揚げ、柔和な目元に似合わないほどに鋭い銀の瞳をさらに鋭くさせた男性。
 つまり、お姉様が所属しておられるギルドとやらの偉い人です。
 そして。
 強力な魔力が男性から、駄々漏れです。
 室温がとても低く感じますの……。
 もう、『ゴゴゴゴゴ』といった感じの効果音が聞こえてきそうで――――

 ――――ピシシッ……パリッ……。 

 が、ガラスが……!
 勝手に窓の硝子にひ、ヒビがっ…………こわぃ……。
 このひと、こわい………………!

 ――――パリーンッ

「ひゃっ…………?!」
 ま、窓が!
 窓が勝手に砕けたぁあ……!!
 しかも粉々っ?!
「答えろ。貴様、何を考えていた」
 怖い怖い怖い怖いっ!
 この人怖い!!
 とっても怒ってて怖いぃぃぃ!
「え、えと。その、じ、術の、けん……きゅうをっ…………」
 さっさと事情を説明して帰ろうと思ってそう言うと、男性から怒気が増したの……。
 どぉして……?
「………………研究……?」
「は、はい……」 
「その研究とは、この国を滅ぼす研究か」
 ドッと増した室内の魔力濃度。
 それと共に急激に室温が下がったせいで、私の吐く息が白く色づいた。
「そ、そんな! 私そんなつもりじゃ―――」
「では。どのようなことがあって、あの化け物女を増やしたと……?」
「ば、『化け物女』?! っ……。お取り消しを。お姉様に失礼ですわ」
 失礼な発言に、つい声を荒げてしまい、慌てて冷静を装い男性に目を向けた。
 その際、言葉と目が険しくなったことは、この際ですから忘れます。
 今はこの方の失礼な発言を取り消しが優先ですもの。
「お姉様はとてもお強く、お優しいのです。そんなお姉様を『化け物女』などと……無礼にもほどがありますわ」
「ふっ……事実だ」
「っ……! お姉様は……お姉様は、とてもお優しい方です。なのに、そんな……『化け物女』なんて…………っ」
 嗚呼。
 …………否定できなくて、つらい……。
 そうなんです。
 お姉様がお二人になった途端に魔獣退治での魔獣駆除数と、それに伴う被害が二倍に増えたのです……。
 お二人になる前のお姉様お一人でも被害は莫大だったというのに、ですよ……。
 だから、この男性が激怒していて、顔色が悪く、目の下には真っ黒なクマが出来上がっているもの、お姉様の――つまり私のせいなの…………。
 で。
 こうして、とうとうこの場所。
 つまり『ギルド』と呼ばれる建物に私は呼び出され(もちろん強制送還というか召喚)ているということね……。
「どうした? 反論するのではなかったのか」
「っ…………ちょっと待ってくださいませ。言葉を探しますわ」
「………………無駄だ、諦めろ」
 そう、男性がおっしゃると同時に、遠くの山が爆音を立て、消滅しました……。
 魔力の感じから言って、恐らく――いえ。間違いなくお姉様……。
「チッ……あの化け物め…………!!」
 男性は盛大に舌打ちして、怖い声でそう言うと、一瞬にして転移の術を使って姿を消しました。
 あぁ。
 数日前のように、お姉様と先ほどの男性との力比べとならなければ良いのですが…………。
 無理のようです。
 だって、ほら。
 先ほど山が消えた場所に雷と火柱、水柱。
 そしてその水柱が氷となり、砕け。
 次に土色の柱がにょきにょきと……。
 …………さて。
 テノールたちが待っているお家に帰りましょう。
 て言うか。
 早く迎えに来て、料理長!!
「おう。終わったみたいだな。姫さん」
「料理長!」
「ほら、帰っぞ。姫さん」
「えぇ!」
 こうして、私はテノールたちが待っているお家に帰った。
 あぁ。
 ちなみに、お姉様とあの男性。
 一週間ほど同じ場所で爆音を轟かせていたわ。
 それから翌日。
 お姉様より五年ほど早めに、お姉様と同じ師についていた男の人・ゼグロ・フォーズさんが、お姉様が寂しがってるって。
 『アイツはまったく反省していない。だから、会うな』って。
 ピリピリした魔力を漏らしながら言ったの。
 …………もちろん、ゼグロさんの言うことを聞くわ。
 だって怖いもの……。
 私みたいな雑魚じゃ、太刀打ちできないし。
 あぁ、後。
 『姉さんとはもう口きかない』って、ミフィがお姉様に怒ったそうよ。
 ゼグロさんが楽しそうだったわ。
 まぁ、これくらいがお姉様にはちょうど良いのかもしれないわね。
 え?
 あの男性はどうなったって?
 そうね。
 ゼグロさんが言うには、『仕事が増えたから、寝る間も惜しんで仕事してる』んですって。
 『あいつの死因は確実に過労死だな』ってしみじみ言っていたわ。
 ……今度お姉様に会ったときは、私もお姉様にお灸をすえなきゃいけないかしら?
 でも、そうなったら何がいいかしら?
 お姉様に効率的にお灸をすえるアイディアは一応はあるの。
 でも、そうね。 
 お姉様がゼグロさんとミフィに言い渡された謹慎を、守れたらやめましょう。
 でも守れなかったら…………実行しようかしら。
読んで下さって、ありがとうございます。
また近いうちに出せたらいいなぁって思ってますが、時間が……。
期待しないでお待ちいただけると嬉しいです……。m(__)m
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