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名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
第二章 元、名門貴族な居候
33/104

第十四話 引きこもりの王女

 ―――――――


 ―――――



 セフィニエラさんのお仲間さんと別れ。

 あれよあれよと言う間に、何故かセフィニエラさんが力を貸して下さり、私は祖国の王城に居ました。

 とはいっても、実体ではないのよ?

 私も良くわからないけれど、セフィニエラさんが『その子に会うまで見えないし、誰もあなたに気づかない』っていう術をかけて下さったの。

 そして。

 私はそれを良い事に、人気のない廊下を歩くメイド姿の女性二人に近寄る。

 彼女たちは親しげに話をしながら歩いていた。


「まったく、二年もたったと言うのに王女殿下ときたら……」

「今でもお嘆きになっているんですものね……」

「でも、困ったモノよね。公務もせずに部屋に引きこもりっきりなんて」

「ちょっと、そんな本当のこと言っちゃ……陛下がお気の毒よ」

「そうよね。一度、陛下が王として謁見の間にお呼びになった時ですら、激高して手におえなかったし……」


 『困ったものだ』と疲れた雰囲気と共にため息をついた彼女たち。

 そんな彼女たちを咎める声も、人の気配すらなかった。

 私はそれを聞いていてとても不安になったわ。


 だって、ここにはミリーの味方がいない気がするの……。


 それに彼女たちの話からして、ミリーは一人で泣いているのかしら……?

 もしそうなら、急がないと……。

 あの子に泣き顔は似合わない。

 一番似合うのはあの笑顔よ……。

 

 だから私はセフィニエラさんが教えて下さったように、ミリーの姿を浮かべた。

 きっと、あの子の事よ。

 自室のベットルームで膝を抱えて泣いているわ……。

 早く。

 早く、行ってあげないと……。

 あの子は笑って、幸せでなければいけないのよ。


 そう思ったと同時に、体が温かい何かの上に落ちた。

   

「……な、に…………?」


 懐かしい声が聞こえた。

 でも、それは酷く落ち込んだ、涙声……。

 私の視界は真っ暗。

 音だけが聞こえるの。

 嗚呼……。

 こんなことになるのなら、あの時。

 自分と同じ目が嫌だからって、閉じた形にしなければよかったわ……。

 まぁ。

 こうなったらしかたないわ。

 開けさせちゃいましょう。

 と、言うことで。

 閉じた人形の目を元の開いた形に変えました。


 ミリーが涙に濡れて真っ赤な目を見開いてこちらを見ています。

 うん、まぁ。

 …………仕方無いわよね……?


「どう……いう、こ、と…………?」


 驚愕の表情のまま、彼女は私の脇に手を入れて持ち上げた。

 そして顔を近づけ、しげしげと私の顔を覗き込む。

 だからこれ幸いと両手を広げ、勢いよくあの子の顔を挟むようにして、両頬を叩いた。 


「痛っ……なに、なんで……?」

『この馬鹿! 誰が自害しろと言ったのっ?! 私はあなたに幸せになれって言ったでしょう!!』


 動揺したミリーについつい怒鳴ってしまう。

 でも声は変に反響して、私の声とは違って聞こえる。 

 だけれどあの子は私だと分かったようで、びくりと肩を震わせた。

 そして、泣き出したの……。


「りー、す……。っ?! リース! やっぱり無事っ!! わ、わたしっ。あ、あいた……会いたかっ……っ~~ぅ」


 ギュウッと抱きしめられた。

 実体じゃないから、苦しくなんてないわ。

 でも、この体。

 ビクスドールなのよね……。

 しかも私(初心者)が作った。

 ね……?

 だから『何が言いたいのか』っていったら……そうね。

 関節があらぬ方向に曲がってるって事かしら?

 つまり。

 曲がらない方向にムリやり曲がってるから、その関節を受けている部分が痛むから止めて欲しい訳なの。

 ……ひび割れしちゃうかもしれないわ。


 …………でも……そうね。

 ミリーに止めるようには言えないわ……。



『もう……困ったお姉ちゃんね』

「むぅ……リース、笑うとか酷い…………」

『ふふ。ごめんなさい』


 と言うより、この人形。

 私の表情まで反映するのね……。

 なんて感心していたら、ミリーが頬を膨らませた。



「もう、反省してないじゃん……」

『……思ったより元気そうでよかったわ』

「うん! だって、リースに会えたんだもん!」

『(……相変わらずお気楽なのね…………)………………そうなの……』

「? どうしたのリース。話しよう?」

『えぇ。そうね。私も会いたかったわ。ミリー』

「うん、私も! 会いたかったよ、リース!」


 そう言ってまた、ギュッと抱きしめてきた彼女に少し笑った。


 だから私は『【私】を殺す』という選択をした説明をしたの。

  

 ―――――――――


 ――――――

読んで下さり誠にありがとうございました。

また近いうち時間見て投稿します。

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