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名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
【true end】のその先 2
103/104

答えは……。

 答えは――否。


 私はそんな危険をおかしてまで、迷子という現実に怯えないわ!

 ……え?

 さっき泣いてただろう?

 困惑していただろう?

 いやだわ!

 そんなことあったかしら?

 私の記憶になくてよ?

 おほほほほ!


 (…………若干、お姉様になった気が……)


 なんてね。

 嘘よ。

 嘘。

 心細くて泣いてたわ……。

 でもね。

 みんなの顔を思い出したら、そんな感情が消えたの……。

 …………テノール、怖い……。

 間違いなく。

 お説教は二時間なんかじゃ終わらないわ…………。

 という訳で。

 傍目から見たら、不気味に浮かんだ人形だったのを止めて。

 (直ぐ近くの)ベンチに腰掛けた不気味な人形の形をとった。


 ふぅ……。


 お空が青いわ……。

 とても綺麗ね。


 ……………。


 ……………………。


 …………………………………。 

 

『さて。そろそろ現実を見て、行動しようかしら!』


 私はそう言って気合を入れ。

 ベンチからよいしょと飛び降りて、煉瓦のしかれた広場に降り立った。

 それから――



「その前に。俺達に言うことがあるのでは……?」

『………………………』


 い、イヤだわ。

 なにやらとても恐ろしい低音が聞こえたの。

 もちろん。

 聞き覚えがないなんて、口が裂けても言わないわ!

 だって、彼は絶対に誤魔化せないんだもの!!

 で、でも。

 す、少しぐらい言い訳とか言い訳とか言い訳とか言い訳とかっ!

 言い訳とかをっ!

 そう言うのを考えなくてはっ!!



「お嬢様……?」

『…………………………………』



 ひぃ!

 なんか、左目の端に男性と思しき足が!

 おまけにそれを中心に藍色と黒の間みたいな、おどろおどろしい渦っぽいモノが……!

 ……ど、どどどどどうしよう!!

 怒ってる!

 テノール、メッチャ怒ってるよっ!!!!

 このまま下手なことでも言ったら、根に持たれて数日ねちねち言われるのは間違いないわ!!

 あと。

 私の食事がただの草になるっ!!

 それだけはイヤ! 

 絶対絶対ぜぇっっっったいにイヤっ!!

 あ。

 でも、でも……今日のこれからの計画が…………。

 だけどご飯が、おやつが……。

 私の生きがいがっ!!

 う~~~っ!



「お嬢様? 言うことがあるでしょう」



 ……怖い低音…………。

 私、『無駄な言い訳はするな。事実だけを話せ』って聞こえたわ……。

 いやね。

 テノールが思っていることと別の事をいうなんて…………。



「お嬢様。怒りますよ」


(訳)『家畜と同じ飯が食いてぇか』



 うん。

 それだけは絶対にやめてほしい……。

 切実に…………。 



『あの、ね……? その……私、皆をびっくりさせたくて―――』

「えぇ。事付けや書き置きも残さす本体のみを残して姿を消されましたからね。実に驚かせていただきましたとも」

『えっと……。お、驚いてくれたなら良か――』

「おかげさまで。屋敷中手が付けられないパニック状態で、一人残らずお嬢様探しに奔走しているため、お屋敷の事が何一つできておりませんがね」

『………………』



 テノールの言葉が冷たいし、棘だらけ……。

 顔?

 表情?

 雰囲気?

 そんなもの、確認し無くても分かるわ……。

 いいえ。

 足元だけ見ただけで十分よ。

 えぇ。

 もう十分怖いわ……。





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