今日は何の日?
「さて。セフィニエラ・サティ・ルフェイド。今日は何の日か、覚えているかな……?」
「そうね。何かしら? 私、心当たりはありませんことよ」
「…………」
「なにかしら?」
「はぁ……」
額に青筋が浮かんで、爆発寸前なお姉様。
……空気が重いです…………。
もちろん。
物理的に……。
ついでに絶句からため息を吐いた、衝撃発言の方は疲れたような顔ね。
この事から衝撃発言の方が振り回されている方だと、悟った。
『お姉様。いつも言っておりますが、どうか周りの方を労わってくださいませ』
「え……? 私、労わってますわよ?」
きょとんと、お姉様。
そんなお姉様に、私と男性は――
『…………え……?』
「……はぁ?」
驚愕した。
もちろん。
男性の『……はぁ?』は、とても低かった……。
きっと。
この方はお姉様で苦労しているのね……。
ついでに。
なにやら……熱い…………?
そんな気が……。
……気のせいかしら?
そう思って隣の男性を見つめた。
すると不思議なことに彼を中心に、陽炎に似た何かが揺らめいているの。
透明で、空間が歪んでいるようで……。
彼の後ろの風景がぐにゃりと歪んでいる。
……不思議ね。
まぁ。
この状況から見て。
おそらく自然現象ではなく、彼の魔力だとおもうの……。
なんて考えていたら。
彼がお姉様の名前を再びフルネームで呼んだ。
そして―――
「【眠れ】」
そう、告げた。
刹那。
怪訝そうにしていたお姉様が、その場に崩れるようにして姿勢を崩し。
煉瓦のしかれた足元に接触する前に、彼が受け止めた。
この間。
私はなにが起きたのか分からず、ポカンと見ていた。
「はぁ……。国家の重要会議の事すら、頭にないとはな……。果たして、こんなのが国に居て、本当に大丈夫なのだろうか……?」
将来が心配だ。
と。
国の将来を憂いだ男性は、私に『それでは失礼するよ』と声を掛け。
姿を消した。
……さて。
なぜかしら?
『先ほどの男性がお姉様を押し付けられている』
そういう気がするのは……。
まぁ。
私の気のせいよね!
……さて。
そろそろ現実に向き合おうと思うの。
こ こ は ど こ ?
…………この状況から早く抜け出すには、ものすごーく叱られるの覚悟で屋敷に帰るべきなのかしら……?
……でも。
絶対テノール怒ってるだろうから、長時間のお説教になると思うし。
心配し過ぎた料理長に締め上げられちゃうだろうし……。
ただでさえしゃべらない双子が全くしゃべらなくなっちゃうと思うの。
……さて。
ここで疑問が一つ。
それらの危険をおかしてまで、迷子から抜け出さなきゃなのかしら…………?




