女性が……。
と、まぁ。
そんな感じで自己嫌悪に沈んでいました。
「? こんな所に人形……?」
と。
直ぐ近くで女性の声。
その声に私は、人形でも近くに落ちていたのだろうと思い。
少しだけ顔を上げた。
「え……うご……?」
藍色のロングでタイトなスカートと、袖が膨らんで、胸元には大量のフリルが飾られた長袖の白いブラウス。
ブラウスの胸元には緑色のブローチを飾って。
結い上げられた髪は銀の、深緑の瞳の女性。
手には、日陰を作っているおしゃれな白い日傘。
顔はお人形のように綺麗で。
私はしっかりと見上げてしまっていることすら忘れて、ついついぼおっと見とれた……。
『きれい……』
「え……?」
不思議そうにきょとんとしている女性。
私は自分が声を発したことに気づくことなく、見惚れていた。
そうしていたら。
急に視界が高くなった。
『? あれ……?』
「貴女、生きているの……?」
お人形のように綺麗な方のお顔が直ぐ近くに……って!
『ほわぁぁああああ?!』
「?! な、何? どうしたの……?」
驚愕のあまり叫んでしまった私に驚いた女性。
彼女はきょろきょろと周囲を確認し、不思議そうに小首を傾げ、私に問う。
だから、どうしたら良いのか分からくて私の小首をかしげた。
「? ふふ。可愛い。まねっこしてるの……?」
『いいえ、違います。ただ、突然叫んでごめんなさい』
「え? あぁ、私のほうこそ、びっくりさせちゃってごめんね?」
『え……あ、気にしないでください』
「でも……」
『大丈夫です。何でもないので』
「そう?」
『はい』
私はそう言って、心配そうな女性に笑みを向けると、女性も微笑んでくれた。
「そうだ。隣、良い?」
『……この状態で隣と言われましても、何もありませんが…………』
そう。
私は今、女性に両脇から抱えられて宙ぶらりんなの……。
「あ。ごめんね。じゃぁ、一緒にお話ししてくれる?」
『え? お話ですか……? 私でよければ喜んで』
「嬉しい。で、話なんだけど――――」
と。
なごやかなお話しタイムと思いきや、左から藍色のバチバチ言ってる丸い球体状の魔力の塊が……。
私がそれを発見するより早く、女性は躱すべく。
行動を起こしていました。
……でもその際に、舌打ちが聞こえたような気がするけれど、気のせいね。
もう。
だぁれ?
(町だけれど、田舎というよりド田舎な感じの)町でこんなぶっそうなものを放つ人は……!
危ないわ!
「ちょっと!! そこの変態女装癖! なに私の妹になれなれしくっ……」
『お姉様? さきほどのは、お姉様ですの?』
理由次第では怒りますよ?
もう!
危ないじゃないですか!
「リース! 今すぐそいつから離れて!!」
『お姉様……。私の質問に答えて下さいませ』
「もう! そんなの良いから!! ソイツから離れなさいリース!」
『はぁ……。お姉様。この方が何をなされたというのですか?』
まったく。
突然の襲撃だなんて、失礼極まりないわ!
「そうだよ。婚約者に向かって、この仕打ちはあんまりだろう?」
『そうですわ。お姉様。婚や――――え……? 婚約者?!』
「ん? 嗚呼そうだよ」
「違うわ! 私はこんなの要らないわっ!!」
『え? だって貴女は―――』
『女性ですよね?』
お姉様の叫びを無視し、そう問いかけようとした私の言葉は、女性の姿を見た瞬間に消えました。
だって。
私を宙ぶらりんにしていた女性はいつの間にか。
ボタンが第二ボタンまで外れた白いカッターシャツに、黒のベルトがついた藍のスラックスをはいて。
襟足の長い銀髪に、何かを含んだような深緑の瞳の男に変わっていたんですもの……。
……先ほどの、女性はどこへ…………?
喉にたんが絡まって咳が出るけど、インフルからの解放を喜んで!
あ。
インフルでお家に監禁されてる方。お大事に。ゆっくり休んで下さい。
インフルがまたお家に来ていない方と、来ているけれどまた大丈夫な方。(意味ないかもですけど)予防をばっちりして下さいね!
じゃないと痛い目に遭いますよ! お身体を大切に!




