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名門貴族の変嬢 作者:双葉小鳥

第一章 名門貴族の変嬢

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第一話 はじまり

 しんしんと降る雪の中、私は【みすぼらしい】という言葉そのものの様な、私と同じくらいの年頃の女の子を拾った。
 父様と母様は、そんな私を見て。
 仲睦まじく微笑んだ。
 私は拾った女の子を風呂に入れ、私が着れなくなった服を着せた。
 だってその子、私と同じくらいの年だというのに、私の着ていた服がぶかぶかだったから。
 お古なのにその子は喜んだ。
 なぜかわからない。
 でも、気にしないことにした。
 名前を聞いたら、『わからない』って。
 その子は言った。
 だから、『【ミリー】って呼んで良い?』
 って。
 聞いたら、喜んで頷いた。
 だからそう呼ぶことにしたの。
 これが。
 私、リスティナ・ファスティとミリーの初めての出会い。

 その初めての出会いから数年。
 ミリーは私付きの侍女になった。
「ねぇ。ミリー」
 私は紅茶を注いでくれている、色白の肌に、ミルクティ色のふわりとした髪質の髪をボブカットにしている、茶色の瞳のミリーに声をかけた。
「はい。お嬢様」
 優しげな顔をさらに優しく、ふんわりと微笑むミリー。
 今の彼女にあのころの様なみすぼらしさは皆無。
「路地裏に、一人で行っちゃダメよ……?」
「藪から棒にどうしたんですか?」
「いいえ。ただ、そう思っただけよ」
 そういって微笑めば、不思議そうな顔で小首をかしげるミリー。
 ……………本当に、大丈夫かしら?
 心配ね。
 あぁそれと。
 ミリーを屋敷に連れてきて直ぐ。
 私は剣と、槍。
 それから、多少才能のあった魔術を極めるため、父様にお願いして教師を雇ってもらいました。
 理由など、言わずともわかりますよね?
 この無自覚天使のためですよ……。
 まったく。
 一人で町を歩かせれば人間ホイホイ並みに人を集め。
 その集まった人間がまともじゃないという特典つき。
『そんな特典いらない』と。
 幾度絶叫しかけたことでしょう。
 護衛さえ、舌を巻くほどです。
 あのときはどれ程慌てて父様に懇願したことか……。
 はぁ…………。
 まぁ、そんなこんなで成長したわ。
 ミリーは『天使』とか『紅茶の妖精』って程に可憐に。
 私は黒髪に菫の瞳のせいか、『性悪女』って言葉が合う顔かしらね。
 ミリーと並んだら私の【性悪顔】が際立つの……。
「はぁ……」
「お嬢様? どうしたんです?」
 コテンと首を傾げたミリー。
 その無害そうな顔を見て、ますますため息が出そうになった。
 だって、私がそんなことしたら。
『何かを企んでる』って勘違いされてしまうもの。
 悲しいわ……。
「お嬢様。いつもの事ですけれど、本当にどうしたんですか?」
「……いいえ。何でもないの。何でもないのよ」
「そうですか。ならよかったです」
 ミリーはそういって、また、ふんわりと笑った。
「あぁ、そうでした! 旦那様がお嬢様にお話があるそうです」
「そうなの? わかったわ。どこに行けば良いの?」
「はい、書斎に来てほしいとのことです」
 私はミリーにそう言われて、父様の書斎に向かった。
 もちろん。
 ミリーも連れて。


 ―――――――
 ―――――

 書斎の扉をノックすると、室内から「入りなさい」と声が聞こえた。
「失礼します。御呼びと伺いましたので、参りました」
 私はそう言い。
 室内に目を向けた。
 そこには、床に座り込んでいる母様。
 どうしたのだろうと思い、近づくと。
 脱け殻のように生気を感じさせない表情で、涙を流していた。
「母様? どうしたの?」
 そう問うけれど、母様は返事をしてくれない。
 どういうことかわからなくて、父様に目を向けた。
 そしたら、父様の隣には父様にそっくりな銀髪に空色の瞳を持つ…………男の子。
 私は表情を変えない父様と、脱け殻の様な母様。
 それと。
 困惑の表情を浮かべる、父様にそっくりな男の子。
 そんな三人を見て、理解した。
 『この男の子は父様が外で作った子』だということを…………。
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