オレとあいつと仁義なき戦い
荷解きを済ませなんだかんだで一週間が過ぎた
模様替えの最中もあいつはオレのことを不思議そうに見ていて出て行ったりする気配は見せない
それどころか思いっきりくつろいでいてクッションを枕にして堂々と寝っ転がっている
おそらく浮遊霊の類いだろうしそのうちいなくなるだろうと思っていた
しかしプライベートの空間で彼女でもない女がいるのは正直かなりストレスだった
仕事初めの帰りにオレはどうにか嫌われるための行動に出た
30万くらいの貯金を使いまずは女の子のフィギュアを適当に買い漁り部屋に飾り壁も二次元の女の子のちょっとエッチなタペストリーを貼りいかにも女の子に生理的なダメージを与える部屋になった
今思えば客人を招き入れることなどできない恐ろしい空間に魔改造してしまったと黒歴史の1ページとなっている
あいつはオレがそんな奇行をするたびに飛び上がり目のやり場に困るのか辺りをキョロキョロする
こうかはばつぐんだ!
オレはあいつの反応に満足していた
あとはあいつが出て行けばオレの王国は安泰、萌えなグッズはオークションや友達に押し付ければ万事解決!
なんて思っていたんだがまったく出る気配を見せない
それどころかハマってしまったのかオレが新しいものを買うたびに覗き込むようになった
しかたがない、プランBだ!プランBはなんだ?
あぁ?ねぇよそんなもん
そう、なかったのでオレはGoogle先生に相談することにした
正直こういったオカルトに頼るのは嫌だったが仕方が無い
まずオレはあいつの目の前で裸になった
あいつは慌てて顔を手で覆う
これはいけるんじゃないか?期待に胸を膨らませ白目をむき「びっくりするほどユートピア!!」と連呼しながらケツを叩き跳ねながら布団を昇り降りする
あいつはΣ(・□・;)って顔でオレの奇行を見守る
それを見たオレは更に動きを加速させる
10分ほど経ったところで喉がカラカラに疲れが見え始めた。日頃運動してなかったツケだろうか布団が足にひっかかりずっこけ鼻をぶつけた
ミー子さんがこいつの頭大丈夫か?とオレに軽蔑の眼差しをぶつける
オレだって好きでこんなことやってんじゃねぇんだよ!と大人気なく猫に向かって弱音を吐くとミー子さんはどうでもいいと言わんばかりにあくびで返す
ズドン!と下の階の人からお怒りの一撃が響く。オレはすみませんでした!と全裸で下の階の人に向けて土下座をしておいた
これ誰かが見ていたら間違いなく終わりだな
あいつはというとまた洗濯機に入り怯えていた
まだいるのかあのヘッポコ、また仕切り直しとなりオレの戦いは続くこととなった
次に部屋の隅に時計回りで塩を盛るという方法を試してみた
オレは仕事から戻りコンビニで塩を購入し帰宅した
部屋に入るとまずミー子さんがおかえりと迎えてくれる
つづいてあいつもにこにこしながらやってくる
オレはあいつをシカトしミー子さんを撫でるとさっそく部屋の隅に時計回りで塩を盛った
だがなにも起こらない
あいつはミー子さんの目の前で指を(「・ω・)「な格好をして遊んでいる
ミー子さんもその指を追いかけて猫パンチを繰り出す
もうどうすりゃいいんだ!
完全にお手上げモードだった。天気がいいある日のことだ
オレはベランダの外であいつが手すりに体重をかけている姿を見つけた
これはチャンスと窓を閉めて反応を見る
でもなんだろう、どこか悲しそうな顔をしていた
これはあくまでオレの憶測に過ぎないがもしかしたら出たくても出れないんじゃないかと思ったんだ
そしたら今までオレがやっていたことがなぜかバカらしく思えてきて結局あいつが戻るまで窓を開けっ放しにした
あいつが戻ってくると窓を閉めて部屋の片付けを始めた。壁に貼ったタペストリーも撤去しスッキリさせる
だがあいつは何故か(´・ω・`)な顔をする
不服なのか?
あいつの前でタペストリーを貼り直す
するとあいつの顔が\(´∀`*)/となる
どうやらあいつは変な方向に汚染されたらしい
深夜になると決まってオレを起こしアニメを見せろとせがむようになった