眠れる森の美女2
「あのー!!
誰かいますかー!?」
姿が見えなかったので、出来るだけ大きな声で言ってみた。
すると、声はピタリと止んだ。
「……あれ?」
青年の声が聞こえた瞬間、少女の動きは止まった。
リスは、心配そうに寄り添っていた。
「声…っ。
男の…人の声…」
その声は、震えていた。
「……、ごめんなさい…リスさん…。
私……今日はもう、遊べないわ…」
そう言って、少女はリスを離しベッドに潜り込んだ。
リスはしぶしぶ…といった様子で窓から出て行った。
「……あ!クー!
お前どこに行ってたんだよ!」
青年はリスを連れて、茨の森を離れて行った。
─次の日─
「あー!もう!
何でまた…」
リスはまた、茨の森に来ていた。
「昨日女の子の声が聞こえたし…。
やっぱり誰かいるのか…?」
青年は塔を見上げていた。
カリカリカリ…
「まぁ、リスさん。
いらっしゃい」
少女は昨日と同じようにリスを部屋に入れた。
「昨日はごめんなさいね。
今日は何して遊びましょうか?」
少女がリスと遊ぼうとすると、また、声が聞こえた。
「あのー!!
ひょっとして塔の中に誰かいるんですかー!?」
「……っ」
昨日と同じ、男の人の声。
「あの人は……リスさんの、飼い主…?」
リスが頬擦りをしたのを確認してから、少女は外を覗いて見た。
そこには、1人の青年がいた。
「……あ」
青年は、塔の窓からこちらを見ている少女を見つけた。
その肩にはリスがいる。
「………」
青年は、何も言えなかった。
少女の美しさに、目を奪われたからだ。
「……あのっ」
話しをしようとすると、少女はピューッと、塔の中に戻ってしまった。
「……あり?」
青年は拍子抜けした気分だった。