シンデレラ3
パチパチパチ…
歌い終わると、俺の人が拍手をしてくれた。
「いやあ。いいものを聴かせてもらった。
これ、少ないけれど受け取っておくれ」
それは、ほんの少しのお小遣い。
気持ち程度だけど、感謝が詰まったありがたい物。
男の人は、満足して去っていった。
「…素敵な唄だね」
ソニンに褒められ、照れくさくなる。
「そんなことないわ。
…あ、はいコレ」
私は頂いたお金をソニンに渡した。
「え?
でもコレは…」
「私はソニンのお手伝いをしたの。
それはソニンのお金よ!」
ソニンは戸惑いつつも、それを受け取った。
「レイラ…あの…」
「何をしている!レイラ!」
いきなり聞こえた怒声。
「お父さま!」
たまたま通りかかった、お父さまだった。
「まったく…。
またそんな格好をして!
お前は貴族の誇りというものがないのか!」
「いーやー!
もっとお手伝いするのー!」
お父さまに無理やり引っ張られ、暴れる。
暴れた時に、靴が片方脱げたけど、お父さまは構わず進んだ。
だんだん遠ざかっていくソニンを見ながら、私は溜め息をついた。
あれから数日後。
何やら町が騒がしく、お義母さまもお義姉さまたちも出かけているなか、私は1人、屋敷にいた。
が、いきなり足音が聞こえてくる。
「レイラ!
ちょっと下に降りてきなさいっ」
「あら、お義母さま。
出かけてたんじゃ…」
「いいから早く!」
お義母さまに無理やり連れて行かれ広間に着くと、そこにはお義姉さま方と、何人かの騎士。
それと重臣らしき人と、煌びやかな男の人がいた。
一目で、王子さまだとわかった。
けれど…。
「……ソニン?」
ソニンに、とても似ていた。
でも彼は汚い服を着ていたし、靴磨きもしていたし、まさかそんなはずはない。
そんなはずは…
「やあ、レイラ。
数日ぶり」
あったみたい。