シンデレラ2
この国の王子さまは、婚約者を探しているらしい。
噂で聞いた話だけど、かなり我が儘なんだとか。
自分で決めた人としか結婚しないと言って、城を出て行った、なんて噂まである。
義姉たちはどうにか妻になろうと、色々頑張っているみたい。
「…私にはよくわからないわ」
王子さまなんて興味ない。
私は、普通に暮らしていければいい。
そんなことを考えながら外を眺めていると、1人の男が目に留まった。
汚い服を着て、靴磨きをしている男。
「まぁ、素敵!」
私はクローゼットに仕舞ってあった小汚い服に着替えて、外へ飛び出した。
実は、普通の女の子が嫌がるようなモノが大好きな私。
お掃除も好き。
お洗濯も好き。
汚い服も好き。
泥まみれになるのも好き。
人に、奉仕することが好き。
悪く言えば偽善者なのかもしれないけど、私は好きだからやってるだけ。
何と言われようと構わない。
「ねぇ、そこのあなた!」
私は男に駆け寄った。
「名前、何て言うの!?」
いきなり声を掛けられた男は驚いていたけど、小さな声で答えてくれた。
「……ソニン」
「ソニン、ね!
私はレイラ!
ねぇ、靴磨きをお手伝いしてもいいかしら?」
思っても見なかったことを言われたからか、男はひどく驚いていた。
「でも…」
「何でもするわ!
……あ、お客さま」
いかにも貴族、という感じの男が椅子に座ると、ソニンは靴を磨き始めた。
私は何をしようか考えて、そして思いついた。
「…旦那さま。
靴を磨かれている間、唄を歌っても宜しいでしょうか?」
「唄かい?
ぜひ聴かせておくれ」
男の人の許可を得て、唄を歌う。
基本的に何でもできる私は、唄も割と得意だ。
暇つぶしにでもなるなら、と思った。